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生活保護費が膨れ上がり財政圧迫、個人市民税収の半分に相当する自治体も/神奈川

2010年4月18日

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 景気低迷に伴う生活困窮者の急増で県や市の生活保護費が膨れ上がり、財政難に拍車を掛けている。2010年度当初予算では、生活保護費総額が個人市民税収(見込み額)の約半分に相当する自治体も出現。雇用情勢の大幅な改善が見通せない状況で、財政難にあえぎながら「社会保障の最後の砦(とりで)」を堅持する自治体の苦悩があらためて浮き彫りとなった。

 神奈川新聞社の調査によると、今年1月現在の県内の生活保護世帯数は、前年同期比14・1%(1万1439世帯)増の9万2384世帯。これを受け、県(町村分を負担)と県内19市が10年度当初予算に計上した生活保護費は16・2%(316億円)増の計2265億円に膨れ上がった。その75%は国の交付金が充てられるとはいえ、義務的経費全体の増加につながり、さらなる財政硬直化が懸念される。

 「就労支援で資格を取ってもらっても働き口がなく、八方ふさがりの状況だ」。市内の30世帯に1世帯の割合、2万300世帯が生活保護を受ける川崎市。地域によっては減少傾向にあった保護世帯数が、08年秋の世界同時不況以降、「異常な増加傾向」(保護指導課)に転じた。10年度の生活保護費は、同市が1年間に見込む個人市民税収額の46・9%に相当する510億円に上った。川崎に次ぐ高比率の横浜市は38・7%、座間市が38・5%の順だった。

 生活保護費の前年度比増加率が県内最大の35・4%(2億円)となった三浦市。生活保護費の50%近くを医療扶助費が占める。被保護者の高齢化率が高い上、不況の影響のためか若年層の入院患者も増加傾向。300世帯の家庭を3人のケースワーカーで訪問するが、「突発的な入院などに対応できなくなる」と、5月から面接専門員(非常勤職員)を配置する。

 雇用情勢は依然として先行き不透明な状況で、大和市では「以前は職業安定所への相談を勧めていたが、困窮していれば即申請につなげる」と、漏れなく救済する方針。ある自治体の担当者は「この制度は最後の命綱。今後どんなに増えても要件を満たす以上は、取りこぼすわけにはいかない。景気の好転を待つだけだ」と話した。

 ◆生活保護費 国が定める最低生活費に収入が満たない生活困窮世帯に対し、最低生活費から収入を差し引いた差額を国と自治体が支給する給付金。支給額の75%は国が負担するが、残りの25%は市、町村部においては県の負担となる。日常生活に必要な費用に充てる「生活扶助」、アパートなどの家賃に充てる「住宅扶助」のほか、教育扶助、医療扶助など8項目の費用が設定されている。

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