父の日を前に、「男のおしゃれ 変身編」(毎月第2木曜掲載)の公開講座が5月30日、松屋銀座本店(東京都中央区)で開かれました。おしゃれのプロ集団「おじさん変身させ隊!」が、読者モデルの森田勲さん(50)=埼玉県深谷市=と村上治男さん(56)=大阪府豊中市、本社の与良正男・論説委員(51)の3人を変身させました。当日の模様を2回に分けて紹介します。【小林多美子、写真・岩下幸一郎】
週末でにぎわう紳士服売り場にステージが特設され、買い物客ら約40人が“受講”。モデル3人が華麗に変身するたびに、会場は歓声と拍手に包まれた。
★スタイリング剤活用
まずはヘアスタイル。毛先が軽くウエーブしたくせ毛を横に流している与良委員は、以前かつらと勘違いされ、ショックだったという。「髪をぴたっと整えてしまうと不自然に見える。ウエーブを生かした動きをつけ、軽さを出しましょう」と富川さん。
ただ流すだけだと平面的になってしまう。毛先をつまむようにワックスをつけ、額が透けて見えるようにすき間を作り、自然な動きをつけた。与良委員のように丸顔の人は、前髪を上げて高さを出し、外に向けて動きを出すと良いという。
★余分な毛はカット
余分な毛を切るだけで顔の印象を一気に若返らせるまゆ。与良委員はまゆ山が濃く、上に出ているのが特徴。富川さんは「まゆが顔の個性になっているので、変えすぎるとその人らしさがなくなってしまう」と注意する。特徴を生かし、伸びた毛を整える程度にとどめた。
トレードマークのひげは、口角の周りをカット。口角の下までひげがあると、ほおのたるみが目立ってしまう。
村上さんは屋外での仕事が多いため、真っ黒に日焼けしている。紫外線は肌にダメージを与えるため、富川さんは、男性でもUVカット効果のあるアイテムを使い、保湿を心掛けるようすすめる。オールバックにしていたヘアスタイルは、ワックスで立ち上げ、軽快な印象に仕上げた。
森田さんは、やや重めだった耳の周りの髪をカットし、ムースをつけてハリを出した。湿度の高い梅雨時は、髪がぺたっとなりがちでスタイルも決まりにくい。ドライヤーで髪を根元から立ち上げるように乾かすと持ちがよくなるという。スタイリング剤で固定させつつ、重くならないよう注意して動きとハリを出した。
次は着こなし。テレビ番組のコメンテーターで背広のイメージが強い与良委員に、黒部さんと宮崎さんが提案したのは、明るいグリーンを基調にしたリラックス感のあるコーディネート。「今年はグリーンとピンクが流行色。ぜひ取り入れてほしい」と黒部さん。
淡いシャツジャケットにネイビーのパンツを合わせた。配色のコントラストを際立たせると、活発な印象を与えるという。明るい色や暖色系を「進出色」、暗い色や寒色系を「後退色」といい、地味な印象を変えたい人はトップスや顔の周りに進出色を持ってくると良い。パンツは、すそをロールアップしてカジュアルに。デッキシューズやトートバッグでマリンテイストを出した。
★ほのかな香りに挑戦
さらに、富川さんが「挑戦してほしい」と話すのが香水。最近は男性向けにもフローラル系やかんきつ系のさわやかな香りが増えている。「存在感を主張するというより、ほのかに清潔感を出すような香りがおすすめ」という。ジンジャーなどスパイスも利かせた香りなら、男性でも取り入れやすい。父の日のプレゼントにも最適だ。=次回は11日に掲載
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▽オンワード樫山商品・技術・マーケティング開発部メンズ課長、黒部和夫さん
▽松屋専門課長・宮崎俊一さん
▽資生堂ビューティークリエーション研究所・シニアビューティーディレクター、富川 栄さん
▽同ビューティーアーティスト・篠塚豊良さん
毎日新聞 2009年6月8日 東京朝刊