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上関原発安全柵設置 また中止
2010年4月17日(土)掲載
砂浜に寝転んで抗議する祝島島民一人一人に移動を呼び掛ける中電社員ら=16日午前9時20分ごろ、上関町長島田ノ浦
上関町で上関原発計画を進める中国電力は16日、同町長島田ノ浦海岸で、敷地造成や海面埋め立て工事用の資機材を搬入する仮桟橋安全柵設置作業の着手を15日に続いて試みた。しかし、反原発派の同町祝島島民らが仮桟橋周辺に座り込んで作業を阻んだため、中電は昼すぎ、同日の作業を中止した。作業中止はこれで4回目。

午前8時すぎ、中電の社員60人、作業員10人、警備員50人の計120人が予定地に到着。祝島島民や反原発支援者ら約70人は同5時前に田ノ浦の砂浜に上陸し、仮桟橋周辺に座り込んだ。

中電社員らは午前9時すぎ、「作業を行います。その場から移動してください」と呼び掛けたあと、砂浜に座り込んだり、寝転んでいる島民ら一人一人に移動を訴えた。島民らは「地元の理解を得てから始めてください」「海を守っているだけ」と応じなかった。

中電が同町から得た占有許可で作業区域外への移動を要請していることに関し、反原発支援者が「砂浜は占用許可より、だれもが使える自由使用が優先する」と主張。これに対し中電は「占用許可は海岸法による海岸保全区域で、排他的に利用する権限を有している」との見解を示した。

作業区域は仮桟橋の両脇4メートル。安全柵は仮桟橋を囲うように高さ2.5メートルの鉄製柵を長さ12メートル設置する計画。反対派は仮桟橋の下やそばにテント、土のうを設営して昼夜、抗議活動を展開している。

中電は午前11時ごろ、仮桟橋の手すりに占用許可区域を示す看板12枚を設置した。しかし、「安全に作業ができる状況にない」として午後0時15分ごろ、この日の作業中止を決めた。

上関原発を建てさせない祝島島民の会の山戸貞夫代表は「中電は口で言うお願いと態度が逆で、真摯(しんし)さが見られない。これまでやってきたように妥協はしない」と反発している。

中電上関原発準備事務所の松蔭茂男副所長は「これ以上交渉を続けると危険な状況になると判断し中止を決めた。一日も早くこの作業を実施してほしいという多くの町民の声もある。これまで祝島の方々から聞いた声を集約、分析し、今後、作業を安全にどう進めていくか検討したい」と話した。
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