ドイツ・デュッセルドルフの空港で16日、出発便の再開を待つ旅行者たち=AP
ウィーンの空港で16日、出発便の再開を待つ旅行者たち=ロイター
17日、帰国便が突然キャンセルになり、ぼうぜんとする日本人観光客=ローマ・フィウミチーノ空港、南島写す
激しく噴煙を上げるアイスランドの火山=AP
アイスランドの火山噴火による欧州の空路の混乱は17日も収まらず、日本人の出張者も足止めを余儀なくされている。火山灰の影響は同日、さらに東のベラルーシやウクライナに広がり、航空機の離着陸を停止したか予定している国は計29カ国に及んだ。陸路も利用して帰国を急ぐ人は南へ、東へと移動。生鮮食料品や薬品などの物流も滞り始めており、長引けば、くらしにも深刻な影響が出そうだ。
欧州の大動脈であるロンドン近郊のヒースロー空港。島津製作所に勤める京都市の増田潤一さん(43)は17日、フィンランド経由で関西空港に向かうはずだった。陸路での移動も考えたが、高速鉄道が満席で断念。21日発の便の予約を取り直したものの、「英国を飛び立てても、フィンランド上空が飛べないなら帰れない」と空を見上げた。
現地法人を置く日本企業の多くで、出張や4月の人事異動に伴う帰国が滞っている。「アルジェリア勤務を終えて帰国しようとしていた人がパリで足止めをくっている」(大手商社)。
日本からの出張者など旅客への影響は大きい。日本航空の利用客だけでも、2千人余りが欧州各地で足止め。同社欧州・中東地区支配人室(ロンドン)の畠山隆久旅客・国際グループ長は「都市によってはホテルが取れないところもある」と話している。
帰国を急ぐ人々は、「迂回(うかい)路」を求めて、数少ない稼働中の空港があるイタリアへ向かった。ローマのフィウミチーノ空港に17日、多くの日本人観光客が押し寄せた。
新婚旅行でイタリアを訪れた浜松市の会社員、野末純也さん(30)と妻の愛子さん(28)は16日に独フランクフルト経由で帰国する予定だった。航空会社のカウンターに約6時間並んで17日の成田行き直行便に振り替えることができたが、同日朝その便もキャンセルされた。18日の直行便を予約したものの、純也さんは「会社に連絡して週明けまで休みを延ばさなければ」と疲れ切った様子で話した。