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【正論】子育ての楽しさ湧く制度作れ 政治評論家・屋山太郎 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:正論
官僚追随で政治判断なし
麻生政権が財政出動の真水(実際の財政支出)で15・4兆円という史上最大の景気対策を打ち出した。事業費全体では56・8兆円になるという。効果の定かでない景気刺激策をかき集めて、かくも巨大な財政赤字を積み重ねるというのは一種のバクチのようなものだ。GDP(国内総生産)比で150%を突破した長期債務残高には恐怖心さえ感じる。だから何もするなということではない。
かくも借金が累積したのは、過去の景気刺激策の効果が低かったことを証明している。日本の景気刺激策といえば、官僚が各省、各局から対策を積み上げてきてホチキスでとめるやり方だ。国策を見据えて不要な役所をとり潰(つぶ)す、新しい制度を導入するといった国策遂行のための政治判断が欠けているのだ。
日本の国策のうち最重要なものの一つは少子化対策だろう。日本の出生率は2007年には1・34だった。しかし、人口を維持するには2・07が必要で、このままいけば日本は2030年には65歳以上の人口が31・8%になると予想されている(国連世界人口予測2006年版)。先進国はいずれも少子化に悩んでいるが、これを克服するに至ったのがフランスだ。フランスの出生率は1994年には1・65まで落ちたが、2008年には2・02まで回復した。このため、2030年になっても65歳以上人口は23・2%にとどまるという。
「今年限り」では効果薄い
今回の景気対策で与党は3〜5歳の子どもに今年に限って年額3万6000円の特別手当を出すことにした。ちなみに民主党は1人月額2万6000円を義務教育の終わるまで支給することをマニフェストにうたっている。自民党の「今年限り」ではとても少子化対策とはいえない。民主党の2万6000円でも、子どもが増えるという効果は出ないだろう。