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【プロ野球】広島・前田智 5790日ぶりサヨナラ打2010年4月17日 紙面から ◆広島4−3中日必死に食らい付いた打球は、浅尾の頭を越え、前進守備の二遊間を割った。広島・前田智は一塁ベースに達すると、すぐにナインにもみくちゃにされた。寒空の下、祝福のウオーターシャワーも浴びた。だが、それも心地よく、笑顔がはじけた。 最高の舞台が整えられた。同点の9回裏、1死から四球と2単打で満塁。この時点でスタンドが呼んでいた。怒とうの『前田コール』。これに応えるように登場した。「1打席(だけ)の出番。何とかしたいという気持ちでした」。チーム一丸によるここまでの踏ん張りに応えたかった。 初球の151キロ速球、2球目の142キロフォークと空振り。オープン戦での打席数も少なく、今季8試合で無失点と難攻不落だったセットアッパーの球に目が付いていかない。「開き直りました」と最後は自らの力を信じた。そして少し高くなったフォークを中前にはじき返した。 糸を引くようなきれいな打球でないが、執念が宿っていた。1994年6月9日の阪神戦以来、自身4度目のサヨナラ打。実に5790日ぶりに自らのバットで劇的フィナーレを演出した。そして初めてマツダスタジアムのお立ち台に上った。 昨年は故障もあり、プロ入り後初めて1軍出場なしに終わった。年齢を考えれば背水のシーズン。しかし、11日の横浜戦では686日ぶりとなる本塁打を放ち、この日は主役となった。「こうやって自分に与えられている場所は喜ばしいこと」。立場は変わったが、孤高の天才の目はまだ死んでいない。 (島田明) ▽広島・野村監督(サヨナラ打を放った前田智について)「最後の相当プレッシャーがかかる場面で何とかしてくれた。非常に大きい。本人も少しホッとしているんじゃないか」
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