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【正論】政治家もうつ病に理解深めよ 精神科医、国際医療福祉大学教授・和田秀樹 (2/3ページ)

2009.4.14 03:39
このニュースのトピックスメンタルヘルス

隠すことでリスク高める

 自殺予防に最も有効とされるのは、地域の人たちに精神疾患に対する正しい知識を提供し、その偏見を取り除くこと、そして、援助を求めることへの抵抗を減らすとともに、どこに援助を求めたらよいかを伝える啓蒙(けいもう)活動、自殺予防教育とされる。

 実際、この対策でフィンランドは、現在の日本の自殺率より高い状況であったのを改善し、3割以上も自殺者数を減らすことに成功した。新潟県の旧東頸城郡では、メンタルヘルスに対する正しい知識を提供するとともに、高齢者のうつ病を早期に、集中的に治療するなどの対策を行ったところ、約10年の間に高齢者の自殺率がなんと7割以上も減った。

 国会議員にうつ病が一人もいないという発言を前述したが、実は、うつ病というのは、かなりありふれた病気である。アメリカの統計では、生涯のうちにかかる率は男性で5〜12%、女性では10〜25%におよび、WHOの推計では現時点でうつ病になっている人は3%に上る。

 実際に、涙目になったり、空虚感、体重減少、不眠、疲れやすさ、思考力や集中力の減退などの症状のうち5つ以上が2週間以上続けば、うつ病と診断される。

 テレビの記者会見で涙目になっていた上に、体重減少や不眠を報道されるなど診断基準にあてはまると思える政治家は最近でも複数いた。おそらく、同様の状態に現時点で陥っている政治家もいるだろう。現実に、過去には、何人も自殺した政治家がいた。

 しかし、自民党幹部の発言を聞く限り、自分がうつ病だと告白している政治家はいないということなのだろう。うつ病とわかっていて、隠さないといけないと思っているなら、政界にはまだまだうつ病に対する偏見が強く残っていることを意味する。

 逆に、こういう状態になっても単なるストレスだなどと思って、医者にかからないとすれば、これは自殺やうつ病に対する知識の不足を意味する。ここで、無理をすることで、自殺のリスクが高まるなど、本人のメンタルヘルスにはさまざまな悪影響がある。

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