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【正論】権威は皇室に連綿として在る 立命館大学教授、大阪大学名誉教授・加地伸行 (1/3ページ)

2009.4.10 04:47
このニュースのトピックス皇室

中国皇帝はあくまで権力者

 中国の皇帝と言えば、絶対的権力者というイメージがある。

 確かに皇帝は権力の最頂点に立っている。しかし、権力を振るったあの秦の始皇帝といえども、すべて独断専行したわけではない。例えば称号についての審議を重臣に命じ、重臣は有識者の意見を聞いてから、「皇帝」という称号が妥当という答申をしている。

 その後の歴代皇帝も、一般に、重臣との会議(朝議)の上に立って決断している。そうするのは、皇帝の地位が永遠に安泰というわけではなかったからである。

 例えば、歴代皇帝208人の内、臣下に位を奪われて殺されたり、王朝が倒れて自殺した者は63人。この他、病死者の中に毒殺されたという噂(うわさ)のあった場合を入れると、無念の死者はさらに増えよう(樸人『帝王生活』)。

 王朝の最後は無惨(むざん)である。例えば、明王朝最後の永暦帝は清に敗れて今のミャンマーに逃亡していたが、清王朝はミャンマーに兵を入れて恫喝(どうかつ)し、帝や皇太子を捕らえ、ともに斬首した。皇太子わずか12歳。それだけに終わらなかった。それから55年後のこと。ある王子は逃れて生き延び隠れていたのだが発見され処刑された。76歳の一農夫としてやっと生活していたのに(同『帝王生活続編』)。

歴史や人間の在り方に差

 このような権力闘争と異なり、我国の皇室は別の道を歩んだ。

 時を遡(さかのぼ)ると、奈良時代、中国の律令制に倣って我国も律令制にし科挙制を立てた(考課令)。科挙制とは秀才・明経(めいけい)・進士(しんじ)・明法の科ごとに試験選抜して、合格者を中央官僚に任用する制度である。これは中央集権化するために必要な人材を得る方法であった。

 しかし、我国では成功しなかった。と言うのは、律令制は国家が土地を所有して中央集権を図るわけであるが、まもなく荘園という私有地が現れ、それが拡大され転形して、実力で土地を私有する武士団が登場し、律令制が空洞化してしまったからである。

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