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新属の鯨の化石 高崎・吉井町で発見          

ジョウモウクジラと命名

「ジョウモウクジラ」と命名されたクジラの化石(16日、富岡市の県立自然史博物館で)

 県立自然史博物館(富岡市)は16日、高崎市吉井町の約1100万年前の地層から見つかったクジラの化石が、新属・新種のヒゲクジラと判明したと発表した。「上毛」にちなんで「ジョウモウクジラ」と命名。研究結果は、米専門学術誌「古脊椎(せきつい)動物学雑誌」に掲載された。化石は17日から5月9日まで、同館で一般公開される。

 群馬古生物研究会員でみどり市職員の清水勝さん(41)(桐生市境野町)が2002年5月頃、高崎市の鏑(かぶら)川の安中層群原市層から見つけた。堆積(たいせき)した当時は水深約180〜1800メートルの海だったという。

 化石は、75・5センチの頭蓋(ずがい)と、下あごの骨や背骨などで、体長推定約4メートル。絶滅したヒゲクジラ類のグループ「ケトテリウム科」に分類される。進化の過程で、現在のナガスクジラ科などにつながる系統から枝分かれした。今回の化石は頭頂骨が広く露出し、鼻骨の位置がやや前にとどまっているなどの特徴があり、同館は「クジラの進化を解明する上で重要な手がかりになる」としている。

 鏑川周辺では当時、ほかにも多くの化石が見つかっていた。清水さんは土日まで待てずに出勤前の早朝、河原にやって来て、砂や泥が付いて団子状になり、半分が水につかっている状態の化石を見つけた。「これまでいろいろな化石を見つけてきたが、こんなに大きなクジラの骨は初めて。バールを使って掘り出すときは、頭や下あごと分かるにつれ非常に興奮した」と話した。

 国内でクジラ類の新属は、02年の三重県、08年の広島県での発見以来3例目。

2010年4月17日  読売新聞)
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