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【昭和正論座】日欧関係の重要性認識を 京大教授・高坂正堯 昭和50年5月17日掲載 (4/4ページ)
このニュースのトピックス:英王室
しかし、そうした努力は日欧関係が独特の意味で重要であることを認識することによって始まる。今回のエリザベス女王の訪日が、そうした認識へのひとつのきっかけとなれば、それは日英間の「戦後」を終えた以上の意味を持つことになるだろう。(こうさか まさたか)
【視点】 高坂正堯論文を読むにつけ、国際政治の「遠交近攻」は真理であると思う。日本周辺にはロシア、中国、北朝鮮という重武装国家がひしめいている。太平洋を隔てた米国はこの地域にニラミを利かせ、さらにかなたの英国は日米と比べても利害関係の生々しさがない。
かつての日英同盟も、いまの日米同盟も、これら地政学的な距離が重要な要素であった。軍事費を10年以上も2けたでのばす中国が、近隣諸国に強調する「友好」は、腹黒さがあって額面通りには受け取れない。高坂氏はだからこそ、政治的に色彩の薄い日欧関係を重要視すべきだと力説する。東アジアの地域偏重主義に対する警鐘でもある。(湯)