「なぜ岩国だけ艦載機移転を進めるのか」「消化不良。これで終わりにさせない」―。米空母艦載機の岩国移転推進の政府方針を受け、中国四国防衛局が17日に岩国市で始めた住民説明会。米海兵隊岩国基地や愛宕山地域開発事業跡地そばの会場では、住民が激しい抵抗を示した。
基地に最も近い川下地区の川下小では約170人が参加。「なぜ政務三役が来ていないのか」。防衛局の中村範明局長を前に、住民が口火を切った。
防衛局は、鳩山政権が在日米軍再編を検証の結果、抑止力維持などから艦載機移転を計画通り進めると説明し、理解を求めた。
住民側は反発。新政権が「再編に見直しの方向で臨む」としたことに触れ、「見直しを検証にすり替え、自公政権から事務引き継ぎをしたにすぎない」と厳しく批判した。
騒音への懸念も相次いだ。防衛局は、滑走路沖合移設や防音工事の「効果」を強調したが、住民は「これ以上やかましいのはごめんだ」と反論した。
愛宕山跡地は米軍施設転用に反対が集中する一方で、「福利厚生施設や野球場に」との提案もあった。
続いて愛宕小。防衛省が取得費を計上した愛宕山跡地のふもとで約130人集まった。米軍住宅化に反対する住民団体代表は、跡地の民間活用を盛り込んだプランを提示。しかし、中村局長は米軍への提供前提に説明した。住民側は「中に何を造るのか」「苦しんでいる住民の了解を得るのか」などと詰め寄る場面もあった。
【写真説明】中村局長(左端)の説明を聞く住民(岩国市の川下小)
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