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どうして日本人は貯蓄ができなくなったのか

【政治・経済】

2010年04月15日 掲載

退職後の生活資金 40%が「ゼロ」と回答

 2年後、団塊世代の第1陣が65歳を迎え、完全な年金受給世代に入る。「超高齢社会」の到来である。ところが、サラリーマンの多くは退職後の生活について準備不足であることが、フィデリティ投信が行った1万人を超すサラリーマン(20~50代)調査で分かった。
 それによれば、公的年金の給付額を知っている人の中で9割弱が、退職後の生活費は「公的年金だけでは不足する」とし、退職後に必要となる生活資金は、公的年金を除いて約3000万円と見積もっている。だが、実際に準備している資金の全体平均値は約500万円で、「ゼロ円」の人が全体の4割にのぼった。同調査は「老後難民」の出現を警告する。40年近く働いてきたのに、どうしてこうなるのか。
 給料や退職金が住宅ローン返済に消えたり、ボーナスが自動車ローン返済に回っているなどの事情もあるだろうが、それだけではない。
「一番の理由は、長引く不況でサラリーマンの収入が大きく減ったからです」
 経済評論家の山崎元氏がこう指摘する。10年以上にわたって、現金給与は対前年比マイナス続きで、年収がガタ減りしたことに尽きるという。
「00年代半ばに、“いざなみ景気”がありましたが、儲かったのは企業だけでした。会社は成果主義とか株主重視というもっともらしい理由で、社員の給与を減らしたり、非正規社員を大量に雇用して浮かした人件費を企業に貯め込んだのです。経営陣の役員報酬は30%ほど上がり、株主は高い配当を受け取り利益を享受しました。しかし、一般社員の給料はドンドン下げられてしまったのです」(山崎元氏)
 サラリーマンの給料は、自民党政権の無責任な政策の犠牲にもされた。教育費用がまさに象徴的だ。世界の主要国のほとんどが、授業料を無料にしているのに、日本は小学校から大学まできっちり徴収。小学校から大学まで私立だと1人約2000万円、公立でも5、600万円かかるといわれる。
「小泉・竹中政権は、教育現場に市場原理を持ち込んで、本来国が負うべき教育費用を家計に押し付けました。そのため、親の年収が950万円以上と高収入でなければ東大に合格できないなどという、異常な学歴格差を生んでしまったのです」(教育評論家の尾木直樹氏)
 国や企業にいいようにしゃぶられ、子どもも産めない環境にされたサラリーマン。おまけに長期の不況下では十分な老後資金など貯められるはずがない。民主党政権が始めた子ども手当、高校無償化がせめてもの救いだが、いかんせん遅すぎた。
~2010年04月15日以前の記事~