2010年2月24日 20時13分 更新:2月24日 20時23分
法相の諮問機関・法制審議会は24日の総会で、殺人罪の公訴時効を廃止し、人を死亡させたその他の罪で現行の倍に延長する刑事訴訟法改正の要綱を決定し、千葉景子法相に答申した。政府は3月、法案を国会に提出する。
過去の事件でも時効が完成していなければ適用対象となる。今国会で成立すれば、八王子市スーパー強盗殺人事件(95年7月)や、東京都葛飾区の上智大生殺害事件(96年9月)などの時効は廃止される。
これらの事件を視野に諮問から4カ月でのスピード答申となった。政府がまとめた法案概要も答申通りの内容で、施行を公布と同日とした。
一方、民主党は昨年、「悪質な重大事件に限り中断を認める」との案を示した経緯もあり、党内には一部で反対論も残る。法務省政務三役は、与党議員を対象に開く政策会議で複数回説明しているが、依然理解は得られていない。
また、同日、刑の一部を執行猶予する制度を盛り込んだ刑法改正と、保護観察期間中にゴミ拾いなどの社会奉仕を義務化する更生保護法改正の要綱も答申された。【石川淳一】
答申を受け全国犯罪被害者の会(あすの会)代表幹事の岡村勲弁護士は24日、東京・霞が関で記者会見し「今も刻一刻と時効が迫っている被害者がいる。早急に立法することが必要だ」と話した。
岡村弁護士は「被害者の処罰感情は時と共に増幅し薄れることはない。時効は加害者の逃げ得を許し、正義に反する」と強調。人を死なせた罪だけではなく重い障害を残す傷害罪についても時効を廃止すべきだとの考えを示し、「今後の課題としたい」と話した。