2010年2月19日 8時26分 更新:2月19日 12時53分
【ワシントン斉藤信宏】米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、金融機関に融資する際の金利(公定歩合)を現行の年0.5%から0.25ポイント引き上げ、0.75%とすることを決めた。19日から実施する。引き上げは06年6月以来、3年8カ月ぶり。金融危機に対応した非常時の政策から通常の金融政策に移行する「出口戦略」に向け、大きく踏み出した。
FRBは「金融市場の情勢が引き続き改善している」ことを考慮した措置と説明し、「FRBの貸し出し機能の正常化に寄与するだろう」と指摘した。一方で、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は事実上のゼロを維持。さらに「今回の措置で経済見通しが変わることはなく、金融政策のいかなる変更もない」とあえて言及し、市場に早期の利上げ観測が広がることをけん制した。
FRBは08年12月、FF金利の誘導目標を史上最低の年0~0.25%に引き下げ、事実上のゼロ金利政策を採用。公定歩合も0.5%に引き下げていた。
FRBの利上げについて、菅直人副総理兼財務相は19日の閣議後会見で「結果として円安になっていることもあり、我が国経済にとってはマイナスとは思っていない」と述べた。
19日の東京外国為替市場は、FRBの公定歩合引き上げ発表を受けた米利上げ観測からドルが買われ、円相場は一時、約1カ月ぶりに1ドル=92円台をつけた。【坂井隆之、清水憲司】