「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」が20日に行われる。今回から実施校を抽出する方式に変わったが、佐賀県はすべての公立小中学校が参加を希望し、これまで同様、全員が参加する。現場にはテスト不要論も根強い中で、県教委は「全国平均クリア」を目指す。
学力テストは小6と中3が対象で、国語と算数(数学)がある。基礎を問う「A問題」、活用の「B問題」があり、さらに「朝食の習慣」や「携帯電話の有無」などの生活態度調査も加わって、成績との関連も分析できる。佐賀県の昨年の成績は、中3で国語、数学とも全国平均を上回った地区が多い一方、小6は活用力を問う問題が低迷していた。57億円という費用が問題視され、今年から抽出方式に変更された。
佐賀県は川崎俊広教育長が「学習する態度まで尋ねており質が高い。単に何点取れたかではなく、より深い分析が可能で生かしやすい」と、積極参加の意向を示し、すべての市町教委が、抽出校以外も参加する方針を決めた。
ただ、全員参加は少数派。文科省の2月時点のまとめでは、佐賀を含め、秋田、石川、和歌山、山口、高知、福岡、長崎、大分、宮崎、鹿児島の11県だ。九州が目立つ。
佐賀県教職員組合の本村政敏書記長は「日ごろの指導の中で子どもたちの弱点や伸ばすべき点は把握できる。現場の負担を増やすだけ」と、予算を教員増などに振り向けるべきと主張する。
昨年まで全国で論議を呼んだ公開方法は、今年も県内5つの教育事務所(佐城、三神、東松浦、杵西、藤津)単位になる。大阪府などは市町村別まで出したが、佐賀県教委は「過度の競争や序列化を招かないよう」という文科省の意向を受け、学校数の少ない町では学校の成績が判明することを懸念し「地域的な傾向をとらえるのに十分な単位」として教育事務所単位にする。
テスト結果は4カ月後に分かるが、活用方法には見えにくい部分もある。県教委は、教育事務所ごとに「学力向上チーム」を設け、「成績の低かった学校などに指導方法などをアドバイスし、昨年は一部科目で成績が上がるなどの成果がみられた」と話す。
教職員には、成績と生活態度調査の関連が分析できる独自の解析ソフトの使用を推奨しているが、活用は現場の教員に委ねられているのが実情。「どれだけ利用されたかは把握していない」という。
川崎教育長は「教員はいわば〝個人事業者〟で、自己完結しがちな面もある。分析結果から客観的に自身を見つめ、改善のきっかけにしてほしい」と話す。
【写真】全員参加方式から抽出に変更される「全国学力テスト」。県内では全員参加が維持されて20日に実施する=佐賀市の本庄小学校(昨年4月)
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