米国人上司からパワーハラスメントを受けた上に解雇させられたのは不当として、元在沖米軍基地従業員の安里治さん(48)=北中城村=が、雇用主である国を相手に従業員としての地位回復などを求めた訴訟の判決が14日、那覇地裁(田中健治裁判長)であった。判決は解雇を無効とし、国側に解雇以降の給与の支払いを命じた。関係者によると、基地従業員の解雇をめぐって裁判になり勝訴したのは全国で初めて。安里さんは「これは氷山の一角。(国は)労働者の人権を守ってほしい」と訴えた。
国側は上司に対する安里さんの言動を「脅迫的」とし、それを解雇理由としたが、判決は「脅迫に該当するとは解されない」「秩序を乱す行為の『重』とは認められない」などと指摘し、上司らの主張の信用性を否定。その上で解雇理由に当たる違反行為は認められないとして、解雇無効と判断した。
そのほか国側が主張する安里さんの違反行為についても「制裁措置として解雇が許容されるものではない」とはねつけた。安里さんの言動が米軍上司の指摘するような違反行為に該当するとしても「制裁解雇は解雇権の乱用」と批判した。
沖縄防衛局は控訴について「判決内容を検討し適切に対処したい」と述べた。
全面勝訴に安里さんは「感無量だ。労働者の人権が守られず自殺に走ってしまう人もいる。判決が救済の糸口になればと思う」と話した。
代理人の池宮城紀夫弁護士は「基地内の労働は安里さんと同じ境遇で人権を無視されながら頑張っているのが実態。基地内労働者に勇気を与える意義深い判決」と評価。「国は米軍の言いなりではなく米軍をきちんと正して日本人労働者の人権を守る雇用政策をとるべきだ」と訴えた。
裁判で安里さんは2002年10月に転勤したキャンプ・フォスター内福利厚生部の車両修理部門で上司から場当たり的な業務指示や嫌がらせを受けた上、07年12月に「上司に対し身体的な危害を加えると脅迫した」などの理由で、不当な解雇処分を受けたと訴えていた。
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