[お知らせ]
元社長 野副州旦氏の辞任の経緯と当社の見解
野副氏が横浜地方裁判所川崎支部に申し立てていました「取締役の地位保全の仮処分」が、野副氏側から突然取り下げられました。この通知が裁判所から当社へ、4月8日に送達されましたので、これを機に今までの経緯および当社の見解を、以下のとおり説明させていただきます。
[2月26日付け辞任取消通知書受領]
2月26日付け内容証明郵便で、野副氏側から間塚会長宛に辞任取消通知書が送付される。当社受領日は3月1日(発送が金曜日であったため)。この書面の写しが、当社取締役会の全メンバーにも送付されていた。内容は以下の通り。
- 昨年9月25日の辞任を取り消すこと
- 臨時取締役会の開催を要求すること
- 3月3日までに誠意ある回答がない場合には、法的または事実上の措置をとること
なお、事前に野副氏側からこのようなことを示唆する連絡は一切なかった。
[3月6日臨時取締役会で野副氏の相談役解任を決議]
- 3月5日から複数のマスコミによる連日の報道が始まった。
- 野副氏側はマスコミに積極的に対応していると思われ、当社は、野副氏との信頼関係は壊れたものと判断し、3月6日に臨時取締役会を開催した上で、野副氏の要求を拒否するとともに、野副氏の相談役解任を決議した。
- 3月6日、一連の報道に関して、9月25日の野副氏の辞任についての背景の説明を東京証券取引所に適時開示した。
1 地位保全の仮処分について
3月15日、野副氏が、地位保全の仮処分を横浜地方裁判所川崎支部に申し立てる。
[内容]
当社の取締役への復帰を求める。辞任は、当社の詐欺・強迫または錯誤にもとづくものとの理由。
[経緯]
- 裁判では、審尋期日という、両者の言い分を主張し、証拠を出すなどの場が3月23日、4月6日の2回設定された。
- 当社は、野副氏の主張に反論をするとともに、野副氏に辞任を求めた際の録音データや、野副氏辞任の背景となった調査結果などを、証拠として裁判所に提出した。
- 野副氏は、仮処分の申立において、裁判所に対して、当社の審尋をしないで(すなわち当社側からの主張を聞かずに)、決定を出すよう求めていたが、これは裁判所に認められず審尋が開始された。
- 4月6日、第2回審尋期日に、裁判所より、当事者双方に対して、さらなる主張や証拠提出の予定があるかとの問いに、双方からその予定はないと回答したことにより、仮処分手続は結審した。
《4月7日、野副氏は、株主代表訴訟などについて記者会見を開催した。取締役への復帰は求めていない、外部調査委員会を設置して辞任の経過を明らかにしたいなどと主張した。》
- 4月8日、野副氏が裁判を取り下げたという通知が裁判所から当社に送達された。取り下げは、裁判が結審した4月6日、つまり野副氏記者会見の前日にされていたことが判明した。
[当社の見解]
この野副氏の取り下げについては、非常に疑問を感じている。裁判所は、客観性・公正さが担保された、究極の外部調査委員会。もし、野副氏がマスコミに向けて言うように、外部調査委員会の判断が必要ならば、お互いの言い分や証拠を出し合った裁判所の判断を得るべき。今回の野副氏の結審後の取り下げは、誠に遺憾である。
しかも、野副氏は、裁判所の判断は避けながら、記者会見ではこれまでと同じ主張を繰り返している。さらに、野副氏は、「取締役として復帰することは求めていない」などと、事実に反する主張をしている。
2 辞任に至る経緯
[ニフティプロジェクトと某ファンドの関わり]
(2009年2月の指摘)
- 2009年2月上旬、野副氏主導にて、当社の子会社であるニフティ株式会社の再編、具体的には某IT企業との経営統合が経営課題として採り上げられた。
- その際、野副氏は、某ファンドをこのディールに関与させることを考えていた。一方で、当該ファンドについては、複数の金融機関から、好ましくない風評があるとの情報が提供された。
- 当社が当該ファンドと取引等の関係を持つことはFUJITSU Wayに照らし相応しくないとの判断に至り、秋草取締役相談役から野副氏に注意し、野副氏もこれを認め、「当該ファンドは怪しげなので外す」と明言した。小倉常勤監査役も、野副氏から、「あのファンドは怪しげなのでやめました」という報告を受けた。
- しかしながら、野副氏は、当該ファンドの日本における代表者について、自分が最も信頼する人物だと公言していたので、間塚代表取締役会長、大浦取締役、山室監査役、小倉常勤監査役、秋草取締役相談役、黒川相談役は、当該ファンドの動向に引き続き注意しなければならないと考えていた。
(指摘後)
- その後、当該ファンドはニフティの売却案件から外れたという前提で、某IT企業によるニフティに対するデューデリジェンスなどが進行した。そうしたところ、ニフティが売却されるらしいという情報が金融業界に広まり、複数の買収提案、それも価格的に高い提案が当社に持ち込まれた。
- 野副氏も、当初予定の某IT企業に対する売却を中止し、ニフティの売却は一旦白紙に戻した。この間、ニフティの売却については、当社の経営会議や取締役会などの機関決定は一切なされていない。
- 2009年7月、野副氏がニフティの売却案件再開を、当社担当者を通じてニフティに通知した。
- 調査結果では、野副氏は、某ファンドの日本における代表者と相変わらず連絡をしていることが判明した。
- 複数の調査会社による調査でも、当該ファンドについては好ましくない結果が報告された。
- ニフティの売却案件について、引き続き、当該ファンドの日本における代表者が会議に参加していることも判明した。
- 野副氏の辞任後の調査では、野副氏も、その人物とのメールのやりとりで、「ファンドをはずす」と明言した後も、当該ファンドがニフティ売却案件に関与することを認めていたことがわかった。
(2009年9月)
- 2009年9月、間塚代表取締役会長、大浦取締役、秋草取締役相談役で協議し、野副氏とその人物の関係は非常に強く、また怪しいのではずすと自ら明言しながら、なおも関係を継続し、プロジェクトにも関与をさせていることは、当社の代表取締役としては不適格であるとの判断に至った。そこで、野副氏に確認して、もし野副氏とその人物との関係が調査結果どおりであれば、野副氏には辞任してもらうこと、辞任が受け入れられない場合には代表取締役を解職するという方針で、社外取締役の皆様に相談した。
[当社の見解]
社長の中途辞任あるいは解職は、異例のことであるが、問題は、当社の代表取締役社長としての適格性である。そのファンドの風評・評価について、それが真実であると立証されないかぎりは、関係をもって良いというものではなく、むしろ、その風評・評価が相当程度一致しており、万が一その風評・評価が事実であった場合に生じるリスクが極めて大きいということであれば、たとえ個人的に信頼する人物であったとしても、当社の代表取締役社長という立場にある限りは関係を自粛する、当社の事業には関与させないという判断が必要である。それがグループ17万人の従業員を預かるトップであり、かつFUJITSU Wayの最高の体現者としてのとるべき態度である。
この方針で、野中取締役、伊藤取締役、北川取締役、石原監査役、山室監査役、三谷監査役に状況・調査結果を説明し、全員が了承した。
(9月25日当日)
- 取締役会開催前に、野副氏に対して、事情聴取と弁明の機会を持った。
- 野副氏は、当該ファンドは絶対にニフティの売却案件に関与させてはならないと認識し、そう指示していたこと、また野副氏が親交のある当該ファンドの日本における代表者は、当該ファンドの代表者の「手先」「窓口」として機能していると認識していること、一方で、その人物については個人として現在も付き合っており、ニフティの売却案件についても仲介をベースに頼んでいると弁明した。
- この内容は、概ね調査結果どおりだったので、当初の方針どおり野副氏に辞任を要請した。
- 間塚代表取締役会長、大浦取締役、山室監査役、秋草取締役相談役、山本顧問、そして書記役で安井法務本部長が出席した。
- 野副氏が、辞任届、顧問契約書に署名した。
- その後の定例取締役会にて、野副氏の取締役辞任を決議した。
[当社の見解]
一部で報道されているような、取締役会を無視し密室で辞任を迫ったという事実はない。取締役の多数の合意の上で、役割分担として、一部のメンバーで野副氏に辞任を要請したもの。仮に辞任しない場合には、取締役会で代表取締役の解職を議題とする予定であり、野副氏にもこの旨を伝えてあった。
また、取締役会での解職ではなく、辞任という方法を提案したのは、野副氏自身が問題を認識して決断するのであれば、あえて解職というような手段をとるよりも穏当であろうと考えた結果。
※なお、野副氏の辞任の背景となった調査結果、そのほか当社が得た情報については、情報提供者を含む第三者に多大なご迷惑をお掛けする恐れがあるため、その内容を明らかにすることはできません。ただ、これらの資料は、野副氏に辞任を求めた際の録音データも含めて、地位保全の裁判において、証拠として裁判所に提出しています。したがって、裁判所は、これらの全てを見て、野副氏の辞任が詐欺や強迫などによるものであったかを判断できる状態でした。
3 辞任理由の開示について
[経緯]
- 当社は、2009年9月25日の野副氏の辞任の際、病気を理由として開示した。
- 野副氏に辞任を提案する前に事情聴取を行った。この際、たとえばインサイダー情報の提供や、金品の授受等、違法行為などがなかったかを質問し、野副氏は「そのようなことはなかった」と回答した。
- 問題としている企業が当社のビジネスに関係しているのは、ニフティの売却案件のみと思われた。
- 確認の結果、野副氏には違法行為がなさそうだったことより辞任を提案した。
- 野副氏と合意の上で、病気辞任を理由にした。
- この際、背景事情の内容が内容であるだけに、当社が問題と考えた企業に風評被害を与えないことや、野副氏の名誉、また当社の風評も考慮した。
[当社の見解]
第三者への風評被害を考慮した結果の辞任理由開示でしたが、結果としてはこのような状況となり、野副氏が辞任を決意した背景についても開示するということになった現在では、株主・投資家の皆様、また東京証券取引所様をはじめ多くの関係者にご迷惑をおかけしたことは深くお詫び申し上げます。
4 提訴請求について
- 3月30日、野副氏から小倉常勤監査役宛てに株主代表訴訟を前提とした提訴請求が送付される。
- 被告は、間塚代表取締役会長と秋草取締役相談役の2名。
- 内容は、野副氏が不当に辞任させられたために、すでに実現が確実だったニフティの売却により得られた利益が失われたというもの。
- 本提訴請求については、現在、法律に従い、監査役会で対応している。当社も提訴請求の内容は把握している。
[当社の見解]
野副氏は、2009年9月25日の事情聴取の際に、ニフティの売却を現在進めようとしているのかを聞かれ、「ニフティの売却というのではなく、ニフティの企業価値を高めるためにどのような案があるのか検討している段階で、特定の企業に売却することを決めているわけではない、現在は3案くらいが検討されているのではないかと思う」と自ら述べた。また、社内でも、経営会議や取締役会などで機関決定したことはなく、ニフティの売却が決定間近であるとの認識は全くなかった。
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