[PR]
ニュース:国際 RSS feed
【正論】異質中国との歴史研究のリスク 井上寿一 (3/3ページ)
このニュースのトピックス:正論
それでも戦争をとおして共産党権力が確立していく中国と、戦争と民主化を同時に進めていく日本との国家間関係史として、日中関係史を構築することができれば、政治的なイデオロギー対立を相対化して、議論を深めることができるだろう。
日中歴史共同研究の日本側座長北岡伸一教授によれば、今回の研究は議論の「入り口」だという。共同作業の第2期においては、以上に述べた点も含めて、研究のいっそうの進展を求めるとともに、私たち国民一人ひとりも、それぞれの立場から何らかの形で、日中関係の歴史を考え続けていかなくてはならないと思う。日中歴史共同研究の成否は、同じアジア地域の隣国でありながら、異質な他者の中国と日本が共存できるか否かの試金石だからである。(いのうえ としかず=学習院大学教授)