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【正論】「脱官僚」が泣く鳩山政権の混乱 屋山太郎 (2/3ページ)
人事局への機能移管もなし
同法案にはこのほか「行政刷新会議」と「税制調査会」が盛り込まれ、すでに枝野幸男氏が行政刷新担当相に任命された。刷新会議の専門委員会には国会議員が充てられることになっているが、刷新会議は行政の贅肉(ぜいにく)を削(そ)ぐ役割。国家戦略局は骨格を作る役割で、重要度は格段に違う。
戦略局長の法的位置づけの強化、スタッフに大幅に国会議員を登用するなどの大幅修正を加えるべきだ。現法案では官僚が政治の大本を握る姿は変らない。
(2)の国家公務員法改正案の肝は「内閣人事局」の設定である。
内閣人事局長には、官房副長官の1人を充て、約600人の各省幹部の人事評価をする。次官、局長、部長を同一の職制とみなして、局長を部長に降格することもあれば、部長を次官に抜擢(ばってき)することもできる。これまでのように局長で失敗しても、なお、次官に昇任するようなことは防げるかもしれない。
しかし、現法案では、2300万円もらっていた次官を1800万円の局長や1500万円の部長に降格しても、給料を下げることはできない。いくら能無しでも給料を下げることができないのは給与法に手をつけないからだ。
麻生内閣で提出されて廃案になった「内閣人事局」構想では、人事院の給与法にかかわる機能、総務省の職員定数にかかわる機能を引き離して内閣人事局に集合させることになっていた。機能移管に抵抗する当時の谷公士(まさひと)人事院総裁と甘利明行革担当相との派手なバトルが話題になった。結局、甘利氏は断固、人事院総裁を押さえて法案をまとめた。
しかし今回の「内閣人事局」案では人事院、総務省からの機能移管は全く行われていない。
給与法改正にも手を付けず
給与法がいじれないから部長に降格された元次官が2300万円の高給を定年までもらい続けることになる。天下りをなくし、しかも降格減給がないのでは公務員の給与は上り続ける。総務省の計算だと国家公務員の給与総額は2割増える。そこで原口一博総務相は「早期退職制度を考えざるを得ない」といいだした。