デフレに苦しみ、10年2月期連結決算で89億円と過去最悪の最終赤字に陥った吉野家ホールディングス(HD)の安部修仁(しゅうじ)社長は15日、毎日新聞のインタビューに応じ「値下げ以外の新しい発想で復活を目指す」と強調した。14日付で事業子会社「吉野家」社長も兼務した安部氏は自ら現場を指揮し、早期の巻き返しを図る考えだ。【聞き手・浜中慎哉】
--吉野家社長の兼務を決めた理由は何ですか?
◆吉野家はグループの屋台骨。他の牛丼チェーンの低価格化の影響が出て、今年に入って客数は落ちているし、収益も悪化している。グループの能力を吉野家に結集する必要がある。私が社長を兼務することでスピーディーに対応する。
--今後、何からどう取り組みますか?
◆短期、中期、長期の観点からいくつか案はある。まだ具体的には言えないが、例えばメニューは数を増やすのではなく、吉野家独自のお値打ち感を訴えていく戦略を考えている。短期のものは夏には始めたい。
--牛丼の通常価格の値下げを考えていますか?
◆消費者の低価格志向はしばらく続くと思うが、他店が安いからといって同調して下げても、収益が出ないと意味はない。値下げするつもりはない。
--10年2月期は過去最悪の最終赤字。営業損益も約8億円の赤字でした。
◆11年2月期は営業黒字25億円が目標だ。コスト構造を見直し、利益率を5%アップする方針だ。
--不採算店閉鎖を加速するなどリストラは考えていますか?
◆従業員を減らすことまでは考えていない。
--国内需要が伸び悩む中、海外にはどう打って出ますか?
◆大きな市場の中国で出店を増やしたい。現在234店だが、5年後には1000店を目指したい。
毎日新聞 2010年4月16日 東京朝刊
4月16日 | 聞きたい:吉野家HD・安部修仁社長 |
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