現・歌舞伎座の最終公演。人気演目と豪華な顔がそろった。
1部は歌舞伎座建て替えをあてこんだ、だんまりの「御名残木挽闇爭(おなごりこびきのだんまり)」から。三津五郎の景清がさっそうと花道を入る。
続いて「熊谷陣屋」。相模、藤の方らへの思いが重奏的に表現される、吉右衛門の熊谷の「物語」が見もの。坂田藤十郎の相模、富十郎の弥陀六、梅玉の義経、魁春の藤の方とそろう。
最後は勘三郎、勘太郎、七之助による迫力ある「連獅子」。
2部は「寺子屋」から。幸四郎の松王丸は、後半の息子の小太郎と兄弟の桜丸の死を嘆くくだりに情感が強く出た。玉三郎の千代、仁左衛門の源蔵、勘三郎の戸浪、時蔵の園生の前と好配役。
「大川端」は菊五郎のお嬢、吉右衛門のお坊、団十郎の和尚。錦絵をほうふつとさせる世界を堪能できる。最後は坂田藤十郎の愛らしい「藤娘」。
3部は「実録先代萩」から。芝翫の浅岡が若殿、亀千代(千之助)と国元から訪ねてきたわが子、千代松(宜生)へのそれぞれの思いを情味豊かに表現した。子役2人も素直な好演。幸四郎の小十郎、橋之助の鉄之助。
最後が「助六」。団十郎の骨太な助六と玉三郎のあでやかな揚巻の取り合わせがいい。菊五郎の白酒売が、ほど良い柔らかみを出す。周囲も豪華で見応えあり。左団次の意休、仁左衛門の門兵衛、勘三郎の通人、三津五郎の福山かつぎ、福助の白玉、東蔵の満江。28日まで。【小玉祥子】
毎日新聞 2010年4月15日 東京夕刊