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【暮らし】

勝手にメール?受信料請求 携帯のオプション契約

2010年4月15日

 ソフトバンクモバイルの携帯電話に、契約した覚えのない情報サービスのメールが届き、受信料が請求された−。こんな訴えが読者から寄せられた。契約時の販売店のミスが原因らしいが、背景には、値引きと引き換えに多数のオプション(追加サービス)契約を求める販売手法がある。 (稲田雅文)

 名古屋市の男性会社員(48)は二月中旬、母親(81)が携帯電話代の支払いに使っているクレジットカードの明細書を見て驚いた。月千三百円ほどで使えていた料金が、四千三百円に跳ね上がっていたからだ。

 携帯を母に買い与えたのは昨年二月。通話だけできれば良いと余分なサービスは削った。過去の明細を調べると、既に昨年七月から料金が上がっていることが分かった。増額分は月ごとに異なり、すべてメールの受信料。それが一月分は三千円にもなっていた。

 母はメールをしない。思い当たったのは、ソフトバンクから頻繁に送られてきた情報メール。同社のお笑いイベント「S−1」の経過が逐一送られてきて、削除に手を焼いていた。

 同社に取材すると、高くなったのはこのメールの受信料と判明。当初は無料で、七月から受信料が有料になっていた。二月の契約時には、このサービスの説明は一切聞いていない。男性は「勝手にメールを送って受信料を取るのは、ひどいのでは」と憤る。

 同社広報部は「店頭での説明が十分でなかった可能性はあるが、勝手に送ることはない」と説明。一方、契約した販売店は「店のミスかもしれない」という。店頭で、店員が契約内容を入力する端末では、最初、画面が多数の追加サービスをすべて契約する設定になっていて、客が契約しないサービスを店員が一つずつ外す操作が必要。「混雑時だと外し忘れが起こり得る」と話す。

 多くのソフトバンクの販売店では、携帯電話を売る際、販売店の手数料を無料とする代わり、さまざまな追加サービスを付けることを条件にしている。

 この男性も勧められるまま、「パケットし放題」などいくつかの追加サービスを一カ月だけ契約した。しかし、「S−1」については覚えがない。申し込まなかったメールサービスの受信料が請求されていたのだ。

 「オプションを契約しないと、携帯の機種が変更できないと思った」。愛知県の主婦(43)は機種変更時のトラブルを訴える。

 主婦はソフトバンクの販売店で二月に機種変更した際、月五百二十五円で漫画が読み放題になるサイトに登録するなど、複数の追加サービスを一カ月間、申し込んだ。オプション契約と引き換えに販売店の手数料を無料にする条件を告げられる一方、機種変更そのものにも追加サービス契約が必要であるかのような説明を受けたという。

 サービスを外すには店頭に来る必要があるとも説明されたが、実際には一カ月後、自分で携帯を操作して解除できた。女性は「解除を忘れていると、数千円も払い続けることになる」と、追加サービスの危険性を指摘。販売店に不信感を募らせている。

 追加サービスの契約をセットにする理由を、ある販売店長は「契約を取り付けると、携帯電話会社から販売店にインセンティブ(手数料)が支払われる仕組みがある。単なる機種変更は利幅が薄く、追加サービスを付けないと利益が出ない」と明かす。

 ソフトバンク広報部では「一人一人の契約にインセンティブを払うことは確かだが、オプション契約は強制ではない。ただ、強制と取られるケースがあることは聞いており、指導を徹底したい」としている。

 

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