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警官発砲:男性死亡 警察官2人を付審判と決定 奈良地裁

 奈良県大和郡山市で03年、警察官が窃盗容疑などで追跡中の乗用車に計8発発砲し、助手席にいた東大阪市の高壮日さん(当時28歳)が死亡した問題で、奈良地裁(一谷好文裁判長)は、同県警の警察官2人を特別公務員暴行陵虐致死と同致傷の罪で審判に付す決定をした。決定は起訴と同じ効力を持つ。同致死罪の1人は、付審判決定を受けた事件では全国で初めて裁判員裁判で審理される。

 決定は14日付。当時の巡査長、東芳弘被告(33)が同致死罪で、当時の巡査部長、萩原基文被告(34)が同致傷罪で、それぞれ審判に付された。

 決定などによると、03年9月10日午後6時45分ごろ、大和郡山市の国道24号で、信号無視を繰り返し、パトカーに衝突するなどした乗用車に向けて、萩原被告が拳銃1発を発射し、高さんに頭蓋骨(ずがいこつ)骨折を負わせた。さらに東被告が発射した1発が、高さんの首に命中。同10月5日に低酸素脳症で死亡させたとされる。

 一谷裁判長は「高さんは運転しておらず、運転能力を奪う必要はなかった」などとして、違法な拳銃使用だったと判断した。

 高さんの母金順得さん(72)=東大阪市=が03年11月、発砲に関与したとされる警察官4人を殺人と特別公務員暴行陵虐致死の容疑で告訴。奈良地検が06年1月、不起訴としたことから、付審判を請求していた。

 また、金さんは県と警察官4人に計約1億1700万円の損害賠償を求めて提訴。奈良地裁は今年1月、警察官の「未必の殺意」を認めたが、「発砲は正当だった」として請求を棄却した。

 15日に奈良市内で記者会見した金さんは遺影を抱きながら、「うれしい。息子も喜んでいると思う。一般の人に裁判に入ってもらい、二度とこのようなことが起きないようにしてほしい」と話した。

 今谷和也・奈良県警監察課長は「決定は残念だが、拳銃使用は適正だったと考える」と述べた。【高瀬浩平、上野宏人】

毎日新聞 2010年4月16日 19時23分

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