一昨日、東大でノーベル賞科学者を集めた「決起集会」のようなものがありました。研究室で中継を流していたのですが、残念ながら、仕分けの議論そのものを聞いて、それを踏まえた発言をしたパネリストはいなかったようです。利根川進氏が質問に答えるのを聞きながら、何度か「利根川先生、あなたのおっしゃっていることはだいたい仕分け側が言ったことと同じです」とつぶやいてしまいました。
しかし、問題はノーベル賞のみなさんが退席されてからの第二部です。こちらも誰も仕分けを聞いていないようです。それ以上に問題だと思ったのは、あれではいったい誰に何を理解してほしくて開いた会かわからんという点でした。僕には、結局「科学は偉いのだから、だまって言い値で出せ」というふうに聞こえてしまいましたが、いかがでしょう。
敵はたくさん作ったのに対し、科学の味方を増やすことはできなかったのではないでしょうか。
ニュースによると
......................
行政刷新会議の加藤秀樹事務局長は26日、「(仕分け人は)誰ひとりとして科学技術を否定していない。そういうことを見も聞きも知りもせず、『非見識』というのは非科学的だ」
......................
とコメントしたようです
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091126/plc0911262253029-n1.htm
これはその通りだと思います。東大からの中継を聞きながら、いったい何に反論しようとしているのか、僕には理解できませんでした。僕はニセ科学批判の文脈で「存在しない仮想的に反論するパターン」に何度も出会っていますが、それとあまり違わない気がして、げんなりしました。
内輪の決起集会をやるのはかまわないけど、全国に中継して訴えようというなら、もうちょっと勉強するとか戦略を練るとかしないと
会場からの質問者の中に、きちんと仕分けの議論を踏まえたかたがおられて、僕の考えでは、あれが当日もっともまともな発言でした。しかし、残念ながら影響力はなかったようです。
以前僕を授業に呼んでくれた横山広美さんが司会されていましたが、横山さんは本当にあの会はあれでいいと考えておられるかのかどうか(ひそかにメールで教えてください)
それから、今日の朝日新聞科学面(大阪では21面)の記事は問題点をよくまとめています。
さて、慶応大学医学部G-COEが仕分けに対する声明を出しています。
岡野・末松両教授名で出されたこの声明を未読のかたはぜひ読んでみてください。かなりよくできていると思います
http://www.gcoe-metabo.keio.ac.jp/news/20091125.html
あ、仕分けの議論はニコニコ動画などで聞けます。僕はこれまでニコ動を避けていたのですけど、このためにアカウントを取りました。ひとつにつき1時間強です。興味のある問題だけでいいので、未聴のかたは聴いてください
取り急ぎ
[追記]
仕分けというのはなんの決定でもなく、もちろん彼らに予算を決める権限などありません。そして、僕たちが警戒しなくてはならないのは、途中の議論がすっ飛ばされて「結論」だけが財務省に都合よく利用されることでしょう。だからこそ、仕分けの議論の中身を知っておくべきだと思います。せっかくオープンに議論されたのだから。
たぶんうまく伝わってないと思うけど、もちろんあらゆる問題について「仕分け側が100%正しい」なんて話ではないのですよ。若手支援とか、そりゃまずいんじゃないのというような議論もあるわけです。そのいっぽうで基礎科学としては歓迎すべき意見も出たことも理解したほうがいい。
この記事に対するコメント[185件]
1. TAKESAN — November 27, 2009 @10:18:49
私は一部の途中から見始めました。
きくちさんもつぶやいておられましたが、あの場で「討論(あれのどこが討論なのか、私には解りません)」していた方々は、果たして外部に公開されていたのを認識していたのかどうか、と。
あなた達は、学術研究において、他者の主張を批判的に検討する際、きちんと論文を参照・引用して行いますよね、なのにそれが無く、その形跡すら感じさせないのは何故ですか、仕分けの音声を聴くなり、文字起こしされていたのを読むなりしていれば、いくら何でもあんなやり取りにはならんのでは? と。なんだか、孫引きで原著を参照していない論評を見ていた気分でした。
これは、アカデミズムの外にいる者の率直な感想です。仕分けでもプレゼンテーションがあまりにお粗末な人達がいたように(私が聴いた、学力調査関連のものも、仕分け人はある程度クリティカルに指摘していたのに、説明側が全然ダメな回答しか出来ていませんでした)、外に公開するものなのにアピール出来ていないんじゃ、と感じます。決起集会の様子を見せられた、というのはその通りですね。
毛利氏のプレゼンはすごい、と話題になりましたが、実際聴くと、確かに「全然違う」のですよね。仕分け人が怯むくらいに。いずれにしても、実際のやり取りはいくつか参照しておきたいところです。
2. ハッター — November 27, 2009 @10:12:29
仕分け議論の中身を知っておくというのは本当に大切なことだと思います。中身を追っている研究者は割と冷静なような印象を持っています。
ただ、当事者である科学者も深く中身を掴んでいない中で、一般の多くの人たちは、テレビで切り取られた、利益にならない科学を切り捨てるショーをある部分爽快に見ているんじゃないかと心配です。そういう科学に対するネガティブな印象は残念ですけれど、私の周りの、中高生の親御さんには増えています。それで、子供の進路にも影響がでている例もみました。あくまで個人的体験ですが、科学の裾野の拡がりとして考えるといい事ではないように思いました。
そういったレベルの科学への悪印象への対抗策として、第一部はわかっててやってらっしゃるという風に思いました。
第2部はおっしゃるとおりとても残念な感じでした。
3. TAKESAN — November 27, 2009 @10:41:48
仕分け人は悉く、きちんと勉強していてクリティカルに問題点をついていった
などという主張がしたい訳ではありませんので、誤解無きよう…。
(こういうの書いておかないと、何、仕分け人を擁護するのか? 的なよく解らん反応を食らいそうなので)
4. abc — November 27, 2009 @10:40:41
しかしその正論が通じないのが民主党政権。
政府に残された時間は非常に少なく、仕分けしたものを更に詳しく吟味し議論し予算を詰めていくことは2度手間と判断して、本番であるはずの予算編成権のある者たちの間での吟味は行われない、もしくは浅いまま仕分け結果が追認されてしまうと思ってます。
何よりも、仕分け作業に政府の今後のビジョンや戦略が全く見えない時点で、仕分け作業は単なる茶番にしか見えません。
帝政ローマで行われていた「パンとサーカス」のサーカスそのものです。
このようなコストカット優先のショーを国内のみならず、国外にも見せつけることでどんな国益があるんでしょう。
政府は将来に対してノープランですと大宣伝しているようなものです。
先進各国及び、中進国は、これを拍手喝采で見ているでしょうね。
>政府は将来に対してノープランですと大宣伝しているようなものです。
実際にプランがないのだから仕方ないでしょうね。というか、日本国民が望んでいるのは「スカッとするショーをみたい」だけで、ほとんどの国民が「政府というのは将来のビジョンを国民に示して、そのビジョンに到るプランを具体化するものだ」なんて考えてもいない訳ですからね。別に外国に隠したって「ノービジョン・ノープラン」であることはミエミエですからね。
自公政権の頃から、日本国民は政治にビジョンなど求めてこなかった訳です。そしてその政権の末期に「小泉劇場」といわれるように、「政治とはショーの様に楽しむためのもの」という認識が定着します。そして日本国民は、今でも「政治とはショーの様に楽しむためのもの以外のなにものでもない」と考えていますからショーは続くでしょうね。日本国そのものが破綻するまでね。
6. 通りすがり — November 27, 2009 @14:14:17
くれぐれも「モンスターサイエンティスト」なんて
いわれることがないように
ま、それは冗談として、「通りすがり」的な名前はご遠慮いただきたく。
8. うーむ — November 27, 2009 @14:35:53
9. 通りすがり — November 27, 2009 @14:35:42
あなたの思い込みでしょう。
自民党のナァナァな決定の仕方が
「国民にヤバいところを見せない点でいい」
という人は、いままでいいカモにされてたんですよ。
>政府に残された時間は非常に少なく、
>仕分けしたものを更に詳しく吟味し
>議論し予算を詰めていくことは
>2度手間と判断して、本番であるはずの
>予算編成権のある者たちの間での吟味は行われない、
>もしくは浅いまま仕分け結果が追認されてしまう
>と思ってます。
あなたならそうするんでしょうね。
しかしね、普通の人はいいかげんに
物事を決めたりはしないんですよ。
いったい、何の仕事をしてるんですか?
まさか、政治家じゃないでしょうね?
という点には同感です。
なぜこれらが仕分けの対象に選ばれたのか、などいくつもの疑問はありますが、自民党政権時代にぐちゃぐちゃに絡み合ってしまった制度を腑分けするプロセスをオープンにやろうという考え方自体はよいと思っています。
これだけで終わられては意味がないのですが、対象事業を変えつつ来年以降も続けられるのであれば、いいのではないでしょうか
「仕分けでおしまい」にされては困りますから、注意しなくてはなりません
11. kipuka — November 27, 2009 @14:51:14
今回の仕分け作業によって科学技術予算が大幅に削減されることになったと思っている人が多いようですが、それは誤解です。今回仕分けられた科学研究予算は、理化学研究所などの独立行政法人予算(スーパーコンピュータなど)と、競争的資金のうちの先端研究と若手研究者育成と外国人研究者招へいだけです。基盤研究(S)と若手枠を除く科研費は仕分け対象になりませんでした。したがって、今回の仕分けで日本の基礎研究予算を激減させる判定が下ったと恐れるのは杞憂です。
12. 電気屋 — November 27, 2009 @14:38:04
>「科学は偉いのだから、だまって言い値で出せ」というふうに聞こえてしまいましたが、いかがでしょう。
聞こえました。がっかりしました。
ナゼ斬られたかも、ナゼ斬られるべきでないかも、いずれも具体的な言及がなされていないよーでした。
ニュースで短時間に切り取られたものだけですから、 もしかしたらもー少しは「反論」と呼べるものがあったのかも、と期待しましたが、どーもホントになかったようですね。
対して慶応大学医学部G-COEの声明には、ナゼ斬られたかも、ナゼ斬られるべきでないかも、キチンと説明がありました。これならナットクです。
いずれにしても件の決起集会の報道からは、ノーベル賞受賞者の権威をカサに着ての発言としか感じられませんでした。それはすこぶる非科学的です。なんというか、「上から目線」かよ!みたいな?
もしコレらの報道が正しくなく、実際にはキチンとした具体的な反論があったのなら、彼らはこーした報道に強く抗議しなくちゃいけません。それほど報道された彼らの言いよーは紋切り型でした。アレは少なくとも反論とはいえない。
科学者なんですから、ただ叫ぶばかりじゃなくきちんと反論して欲しい。
大事なことなのでもー一度。がっかりです。
13. 通りすがり — November 27, 2009 @14:54:19
昔の第5世代コンピュータ計画について
どう思っているんだろう?
第5世代の悪夢(?)を思い出している人は少なくないでしょう。
まあ、それとはずいぶん違いますが。次世代といいつつ同世代なんで
>「通りすがり」的な名前はご遠慮いただきたく。
じゃ、上の名前で。
え?別にやらしくないですよ
んでは、それでよろしく
17. 技術開発者 — November 27, 2009 @16:03:19
仕分け作業でスパコンの説明が「世界一」にこだわったなんて話を見ていてね。条件反射というかパブロフの犬を思い出したんですね(笑)。
訳分からない事書いている見たいですが、私はもう20数年前だけど、本省に出向させられて、いわゆる大蔵省とかへの概算説明に関わっていた事もあるのね。でもって、その頃によく言われたのが「細かい話は資料に書くだけ、話すときはインパクトのある話をしろ」なのね。まあ、ずいぶん昔の話なのでその後変わったかも知れないけど、私の感じではたぶん変わっていなかったのね。つまりスパコンの用途とか、その計算で得られる成果なんて説明よりも「世界一」を強調して説明するというのが、まあ普通だったということね。財務省への説明と仕分け作業じゃ違う訳だけど、そこは条件反射ですよ、ベルが鳴ればよだれが垂れるのと同じで、「必要性を説明しろ」と言われると自動的に「世界一です」なんてね(笑)。なんかそんな感じがして仕方ないのね。
政権が変わった意味がわかっていなかったことと、今となっては世界一がほとんど不可能なことはわかっているという二点で問題なのでしょう。
それはそれとして、東大の決意表明は「誰に向けたものかわからない」というのが問題です
19. あいあん — November 27, 2009 @15:26:56
「ノーベル賞・フィールズ賞受賞者が集合」という分かりやすい形なので、新聞等が取り上げるわけで。
おそらくあの参加者で事前に打ち合わせはほとんどして無いだろうし、
声明文・要望書は誰かが書いたものを追認する形だったことは容易に想像できます。
きくちさんらが仰る様に
「仕分けの議論を踏まえたコメントをするべきだ」
「仕分けの動画を見てないんじゃないのか」
など、こうした方が良かったと思った点は私にもありますが、
「対策を練ってからやる」と「早いアピール」のバランスは難しいところですし、
今回の声明の良い点を取り上げずに議論するのは少し違う気がします。
21. koma — November 27, 2009 @16:46:07
FだけがSPARCでやる、となった時点で技術的にそれはない選択だと思いますが。
仕分け人は現に方式についての指摘もしてるわけですし
予算なしはともかく、方式の再検討が妥当と考えます。
同じお金を掛けるならという視点が抗議する側にないのは気になります。
22. ブランク永井 — November 27, 2009 @16:52:17
「科学」は実は偉いかもしれません。
「科学技術」だと少々微妙ですが。
「科学者」となると、これはもう偉くはないでしょう。
23. 芹沢 — November 27, 2009 @17:07:11
技術の蓄積は確かに重要です。ノウハウの積み重ねによってしか得られないものもあるし、権利が伴う世界でもあるので他国に握られて言い値で買うしかない状況は宜しくないと思われる。
一方で知識の世界では、誰が発見したって同じことです。いや研究者にとってはある意味死活問題な部分があるにせよ、アメリカの発見だから日本の研究者が利用できないというようなことはない。
で、スパコン構築は技術だがスパコンによるシミュレートから得られるのは知識。
知識を活用したいのであればスパコンが国産である必要はないし、1台の巨大なシステムである必然性もない。
技術を得たいのであればやれるところまでやってみるしかないけれど、1位であることの意義は皆無で、ノウハウさえ得られればそれでいい。極論、スパコンとしては実用にならなくても、その知見が次の実用機に生かせれば充分。
そもそもどっちを目的としているのかすら切り分けできてないように見えます。つまるところあの場では「国内の研究に生かすため開発やめてスパコン買ってくる」に落ち着くのか「スカラー機のノウハウ蓄積のため規模の小さいプロジェクトを組み直す」のか、それとも「この規模でなければ得られない成果」を明示してプロジェクトを継続するのか、実はたったそれだけの話なんじゃないかと思うんですが、役人は最初から煙に巻くつもりで判ったような判らないような話しか用意してない、研究者は何を説明したらいいのか把握してない、仕分け人の端的な質問が理解できない/あるいは真っ向から答えたくないために話が一切噛み合わない。酷いものです。
基礎科学は単純にコスト還元できるようなものではないけれど、応用科学はむしろ応用による効果を示さねばならないものなんじゃないですかね。ノウハウの蓄積が何に生きるのか、構築にかけたコストでどれだけ研究のコストが下がるのか、あるいは産業への波及効果がどの程度見込めるのか。
24. 技術開発者 — November 27, 2009 @17:19:46
>それはそれとして、東大の決意表明は「誰に向けたものかわからない」というのが問題です
なんかここにも条件反射みたいな面を感じてしまうんですね。なんていうかな、あそこに集まられた先生の業績は確かに素晴らしいのね。ただ、なんていうかな、結構若いときから「注目された人」で「良い仕事」と見られた人が多い気がするのね。もちろん努力も人一倍されて、その結果として注目され仕事も光が当たっていたわけだけどね。
なんていうか、「世界一」じゃないけど「世界から注目される研究です」というインパクトを出して自分の研究を押せた人という気がするのね。そういう華やかさの無い研究者が私がやっていたような役人から「インパクトの有ることを言ってくださいよ」なんて言われても「こういう事で必要でして」とモゴモゴと地味な説明しかできないという経験はあまりおやりでない気がする訳です。
>結局「科学は偉いのだから、だまって言い値で出せ」というふうに聞こえてしまいましたが、いかがでしょう。
「偉い」というか「私の仕事は偉いと言われていて、それは多くの人が認めて居るんだ」が結構早い時期から言えた人の、やっぱり条件反射みたいな感じをうけますね。
とまあ、地味仕事に明け暮れる末端研究者の僻みがやっぱり入っているコメントになりました(笑)。
ここでいうIT基盤技術というのは
ハードウェアとしてはCPU、GPU、MM、SSD、周辺回路技術(マザーボード)、通信技術等になります。
又ソフトウェアとしてはOSやAPL等があります。
いずれも大部分海外に依存している状態であり、科学立国というより産業立国としてやっていけなくなると思います。
IT基盤は、ハードウェア開発・生産のためにも重要ですが、知的生産の効率向上のために必須です。
このような理由付けが説得力があると思います。
26. keiji — November 27, 2009 @18:11:34
また、「世界一を目指すべきだ」、「世界一を目指すから、(研究者が)必死になってアイデアを出すんだ」とおっしゃってました。
益川先生は、研究一筋の方のようですから、研究管理とか、予算配分のことは、先生に伺うのが筋違いという感じもしましたね。科学の大切さをおっしゃりたい気持ちは伝わってきますが、金のことになると、それだけではすまされないでしょう。
利根川先生も、「世界一を目指さなければだめだ」とおっしゃってましたが、江崎玲於奈先生は、「世界一でなければだめだということではない。もっとよく説明すべきだ」というようなことをおっしゃってましたね。江崎先生は、民間会社の研究所で研究なさった方で、研究所の管理運営も長いことなさってますね。
27. koma — November 27, 2009 @18:35:21
あの「世界二位では」のひとことがクローズアップされたばかりに
こんな形になるのはやはりおかしいと思います。
今回の仕分けで削減したのはもっとマスコミ的に溜飲の下がるモノがありそうなのに
報道のしかたがこうなのはなにか理由があるんですかね?
28. 生物物理若手大阪支部長 — November 27, 2009 @20:51:52
最近そちらにうかがっていませんが、以前はそちらによくお邪魔していました。
私も見ましたが、論点がずれているように感じました。
現状のシステムに無駄や改善点があるのは多いに事実です。
しかし、科学技術予算は中長期的な国家戦略として位置づけるべきです。
今すぐに削減、凍結では一気に業界規模が縮小します。
それを元に戻そうとすると更なる年月が必要で、その間に科学技術だけでなく、国力全体が落ちてしまう事が最も危険なのだと感じています。
よって、主張すべきは、無駄や制度上の問題を認めた上で、それでもいきなり削減は駄目だという事です。
そして、国家戦略と科学技術政策の将来設計をセットで提示し、段階的に新制度へ移行していく為の議論と時間が必要だと訴えるべきだと思っています。
ところで、12/5(土)に生物物理若手と生化若手の共同セミナーを行うのですが、「若手が科学技術政策に対してどう向き合うべきか?」を議論する場を設置する事になりました。
そちらにも広報メール流そうと思うので、ぜひ宜しくお願い致します。
しかし、必要なのは一般市民の応援を貰うことであって、一昨日のあれのように、市民もマスコミも文科系も金融もすべて敵に回すようなやりかたに意味があるとは思えません。誰に何を訴えたいのか、僕にはまったく理解できませんでした。
それにひきかえ、上にも書いたように、慶応医学部G-COEの声明はかなりよくできています。
今、次のエントリーでちょっと書きかけているのですが、若手支援については、事業の枠の外にあるはずの制度の問題を理由として、来年度の事業縮小を提案しており、これはまずいのです。制度改革とセットでなくてはならないはずですが、それは仕分けの仕事ではない。
先端研究補助金は制度全体を扱っていたから「制度を整理しなさい」でよかったわけで、同じロジックは若手支援に適用できません。
僕は若手支援を削るべきではないと考えていますが、ただし、「支援は当然である」ではだめでしょう。なぜ若手研究者を国が支援するべきなのかを一般市民にわかるように説明しなくてはならないはずです。それはできるのではないでしょうか。ただ、一昨日の人たちにはそれができなかった。
行政刷新会議による事業仕分けが進むなか、藤井財務大臣は、刷新会議が予算の廃止や
縮減を決めた事項については、予算編成における復活を認めない考えを示しました。
TBSニュース
ttp://news.tbs.co.jp/20091125/newseye/tbs_newseye4292961.html
面白いように予想通りの展開になりました。
仕分けは仮決定と思って油断してるとこうなるわけです。
時間が無いから?2度手間だから?公開の場で決定したことを翻すと支持を失うから?
結局はポリシーや将来のビジョンのないコストカットショーで決まってしまう。
31. maeda
— November 27, 2009 @21:36:37
以下は、ついったーでつぶやいた事の繰り返しです…
まず、『科学は将来の実用的利益につながる(可能性がある)から金をかける価値があるんだ』という論法はよくないと思います。それでは「じゃあ投資効率を示せ」という話にしかならない。それに、研究者自身は将来の実用的価値のためなどではなく現在の学問的価値のために研究をしてるはずで、いささか不正直だと思います。
また、『科学に投資とかコストとかの概念を持ち込むのは不見識』というのも(恐れながら言わせてもらえれば)傲慢だと思う。金が足りなくて死ぬ人も多い大不況のさなかでも、科学は神聖なんだから黙って聖職者に金を差し出せ、と聞こえる。そこまで神聖不可侵なものでしょうか?
(このあたり、きくち様のご意見と重なるところがあるように思います。)
実際には、学問というのは、スポーツとか芸術とかアニメとかゲームとかと同列の娯楽でしょう。面白いから勉強(プレイ)する、トッププロのスーパープレーはノーベル賞をあげて賞賛する。大部分の大学教員はトーナメントプロというよりレッスンプロですが。
娯楽だから、いま即座に娯楽としての価値があって金がもらえる。『そんなことに、そんなに出せるか。お前みたいなヘボなプロはクビじゃ』と私なんぞは言われちゃうかもしれないけど。
もちろん、医学とか工学とか農学みたいに「たまたま実用的価値と学問的価値が近い学問」もあるけど、学問一般で見ればそれは特殊例に過ぎない。学問的価値とは、実用的かどうかと別の尺度だと思う。数学・文化人類学・考古学・理論物理学…人の命を救ったり暮らしを楽にしたりはしなくても、人を感動させる優れた業績というのは全学問分野にあるわけで、学問的価値としてはどれが劣っているという事も無い。
スパコンに関しては…皆様おっしゃる通り、スパコンが研究の道具(買ってきても別によいもの)という話と、スパコン自体を作る研究、という話がごっちゃになってしまっていると思います。
最後に、色々な声明に出てくる「資源の無い日本では科学技術が」とか「国際競争力が」とかは、経済学をかじった人から見ればトンデモとしか言いようが無い、説得力を削ぐだけのフレーズだと思うので避けた方がよいのにと思います。メーカーが競争してるような意味では国と国は競争してませんし、科学技術の開発競争で勝とうと負けようと、輸出するものが無くなっちゃう(資源が輸入できなくなっちゃう)心配など論理的に有り得ないのですから。(興味ある方はWikipedia「比較優位」の項や、 http://www31.atwiki.jp/anti_deflation/pages/15.html
僕は量子計算とか量子暗号に興味があったのですが、「量子計算機ができるとRSA暗号が解かれてしまうから、量子暗号の研究が必要」というマッチポンプのような論調が出てきて、嫌になってしまいました。本当にそう信じているならどうかしているし、信じていないのに言っているなら嘘つきです。量子計算機が実用化される頃にはRSA暗号なんか時代遅れになっているに決まっているではないですか。
それよりはドイッチュのように「量子計算は多世界を実証する」と言ってもらうほうが正直でいいでしょう。僕はこの意見そのものには賛成しませんけども。
僕は、基礎科学は社会にとって重要なものだと考えています。本当に難しい問題が起きたとき、最後に頼りになるのは科学の基礎だと思います。基礎科学を絶やす国は碌なことにならないだろうし、若手研究者を育てない国も碌なことにならないでしょう。どんなに不況でも基礎科学を残すべきだと考えますが、ただその規模は経済と相談せざるを得ない。何度も書いたように、「言い値で出せ」は通らない。
33. hir — November 27, 2009 @23:53:54
民主党の方が「文化大革命」と胸を張って言ってしまった痛々しい言葉を受けたものではないでしょうか。
本当に文化大革命になってしまわないようにしなくてはなりませんね
問題なのかも...
大学で、きらびやかに言葉を飾って沢山のお金を貰って研究をして、
如何にも成果が出たような論文を発表してあっても、
実際に使える技術か確認してみると全く駄目で、
既存技術をちょっと改良するだけの方がいい結果が得れたりします。
大学は遊びの場なので、それがいけないとは思いません。
ただ、貧乏ならば貧乏なりのやり方があると思うのです。
日本は貧乏だし、これから人的資源も少なくなるのだから、
金と人と物を湯水のように使えなくても、貧乏だからこそ、
身の回りにある物で何か出来ないか一生懸命工夫をするように
考え方を切り替える必要があるように思います。
ただし、それを「役に立つ」と嘘をついて売り込んでも碌なことにはならないわけで。
37. ほるほる — November 28, 2009 @00:50:48
日本の金融資産も外貨保有額も世界一なのですが…。
人的資源も、わずかな人口減少率を見れば少なくなるのは遙か先です。
嘆く前に、客観的な数値で状況を正しく把握するべきでしょう。
38. たかぎF — November 28, 2009 @00:59:22
http://mercury.dbcls.jp/w/
39. 個人的には — November 28, 2009 @00:44:11
僕自身は、千年の射程で考えれば、
人類の行為で一番役に立つのは純粋数学だと思っています。
それまで明確でなかった基本的な思考の枠組みを
一般的な形式で明確に定義してくれるからです。
恐らく最終的に人類を救ってくれるのは、こういうものでは無いかと
学生の頃から妄想しています。
純粋数学は、諸科学が盛んでないと、
きちんとした形の発展は無いと思います。
但し、今の、役に立たない研究をするために、
飾り立てた言葉でごまかして予算を取るという方向は
違うかもとも思います。
でも、学問はある種の詐欺のようなものだから、
今のやり方は間違っていないかもとも思います。
(遊びですから、お客さんが集まってなんぼなので...)
実用外の遊びはとても重要ですが、
懐具合にあった遊び方はあると思っています。
日本では、ちょうど、今頃が変わり時かもしれないと思います。
41. トミオ — November 28, 2009 @03:58:09
42. 念波 — November 28, 2009 @06:02:33
戦略の有無も去ることながら、利害関係者とその身内しかいないのでは、外部を意識した反応なんか期待できないんじゃないかなと感じています。一部にそういうセンスを備えた人が、もしいても、周囲の「身内で理解しあう連帯感」に揉み潰されてしまうのではないかなと。
44. keiji — November 28, 2009 @06:59:30
現代は科学の時代。科学は現代では権威なんだと思いますね。「科学は偉いのだから、だまって言い値で出せ」みたいな態度でも、それほどたたかれません。防衛予算だと、戦闘機一機分で母子家庭をもっと楽にしてやれるみたいな意見が必ず出てくるのですが。スパコン作るなら、生活保護増やせみたいなコメントは聞かれませんでした。
「スパコンは世界一じゃなきゃだめ」なのかどうかは分かりませんが、私のような文系、一般市民だと、世界一になってくれるとうれしいです。
以前、小泉首相が、ノーベル賞受賞者を50人出す、なんて目標をかかげたとき、野依先生が、「下品だ」と批判されていましたが、しかし、わかりやすくはあります。
世界一とかノーベル賞何人とかを喜ぶのは後進国心理かも知れませんが。
確かに、仕分けの科学技術に関する結論がよいとも私は思っていません。仕分け人がパーフェクトであるかどうかもわかりませんし、1時間ですべてをぱっぱと決められてもどうかと思います。
しかし、今回それに対して出てきた科学界のリアクションも、何か的外れになってしまっているように思います。特に、偉い方々が「俺の意見を聞け」とばかりに上からドン、と話を持っていくのは、今度は国民感情を「逆に逆なで」するのではないか、という危機感を持たざるを得ません。
一般の国民は、科学技術の有用性も理解している一方で、仕分けについても好感を持っているように思います。そして、偉い方々についてはやっぱり特権階級的な意識を持っていると思うんです。「俺の意見を聞け」的な姿勢が、私たちがせっかくアウトリーチなどで積み上げてきた、こつこつとした情報発信という体制を丸ごとひっくり返してしまうのではないかというおそれを強く感じます。
毛利さんのプレゼンがよかったといわれるのは、確実に敵を峻別していたこと、そして何をして欲しいかを明確にすることによって、相手を見方に引き込んだことでしょう。いたずらにへりくだるわけでもなく、だからといって、上からがん、ということもなかったのですし。
私たちもまず「敵」は何か、そして何をして欲しいのか、そのためには私たちが何をできるのか、ということをはっきり伝える必要があるでしょう。ムードではだめなんですよね。
研究費の制度的欠陥はたくさんあるわけですから。
47. うーむ — November 28, 2009 @10:03:49
48. 芹沢 — November 27, 2009 @22:54:21
科学研究の類って10年20年先を見ながら積み上げてゆくしかないものですが、国策としてのヴィジョンとなるとあくまで先を予想した上での有利不利の問題になってきますので、そうすると見通せるのは精々数年の範囲。それ以上は情勢の変化に伴ってヴィジョンそのものが変わってしまう。
つまり、そもそもが科学の要求する長期視野と国策や経済って一致しないんですよね。
で、まあ当初は妥当に思われたが情勢の変化や目論見の甘さで妥当でなくなってしまうのはまあ仕方ないと言えば仕方ない。
ただ、じゃあそうなってしまったものをどう扱うか、という点でどうも日本は面子だかなんだかに重きを置きすぎて判断誤り易いような印象がある。「ここまで金かけておいて、今更成果なしで済まされない」みたいな。
ギャンブルでもビジネスでも、投資して失敗するのは決して珍しいことじゃありませんが、その時どれだけ早めに見切りを付けるかというのは大変重要です。間違いなく行けると思えば惜しげなく投資を続ける。そうでないなら早めに手を引いて損失を最小限に抑える。
GXロケットだってスパコンだって、やるに越したことはないと思います。単純にそれがもたらす効果そののは原則としてプラスだろうと。
ただそれが、今提案されたプロジェクトプランそのままで大丈夫なのかどうか、かかったコストに見合う成果が見込めるのかどうか、そういう見方をした時、あまり筋が良くは見えない。
で、仕分け人はそこのところをきちんと理解した上で会合に臨んでいるようで、「これは筋が悪いように思うんだけど、そうでないなら筋の良さを説明してよ」と要求しているに過ぎない。
それに対して「世界一になるという夢が」とか「今更他の方法には乗り換えられない」などと噛み合わない答えしか返せない、いやそれどころか明から様に煙に巻こうとしかしてない、これでは凍結以外の結論を期待する方が無理でしょう。
49. ○ — November 28, 2009 @10:31:45
予算を最終的に決めるのは仕分け人でもなければ一般国民でもなく、現政権の民主党議員の人たちです。緊急の決起集会という事でしたので、議員の人たちに圧力をかけるのが狙いで、理解してもらいたいという戦略ではないと思います。具体的にどう理解させるかと考えると、時間も人手も人脈も全く足りない。ノーベル賞受賞者というブランドを前面に出してくるのは妥当な戦略でしょう。
確かに第二部はとってつけたようでぐだぐだになってましたので、そういうごたくはやめて「現政権はノーベル賞受賞者を敵に回すことになるが、それでいいんだな?」ってだけにした方がよかったと僕は思いますが、それだとまあ内部で反発があるんでしょうか。
科学の問題でもなんでもなく、基本的に予算の取り合いの話です。政府は予算を削らなければならず、いろいろごたくを並べてはいるものの、仕分けによって予算を削減する意思がある事は明白です。科学側のトップで政治的感覚のある者(おそらく大多数だと思いますが)がそれを嗅ぎ取って、それが具体的な形をとる「前」にカウンターをかけた形でしょう。具体的な形をとられてしまったら、もう遅いのです。そのへんは具体的な形がなければ無いものとみなす、科学の考え方とは違うのかもしれません。
とりあえず今喧嘩してる最中なんで、筋トレとか修行の話は後回しにした方がいいんじゃないかなあ。トップの動きでなんかまずい事があると思ったら、まずい部分をフォローするか、まずいと思うけどフォローしないか、まずいと口にだすけどフォローしないか、あるいは全く離反するかという事であって。まあこの場合結果はわりとすぐに明白になるでしょう。
スパコンの音声を1時間全部聞いた東大情報系院生です.
(東大の決起集会には参加していませんし,音声聞いていません.また,情報系と言っても広いので,私はスパコンは専門外ですし,私の領域ではスパコンを使わなければ出来ない研究はまず見ません.)
以下,私の議論についての解釈を述べます:
結論から言えば,私は,あの仕分けの場は,説明者:「1位は無理でも京速は日本に絶対必要」,仕分け人:「そうですか.京速は何とかします」で済んだ話だと思っています.
まず,仕分け人は非研究者だけではなく,円周率πの値の計算の世界記録を作っている金田康正先生や,惑星科学者の松井孝典先生も入っていらっしゃいます.このお二方は,「1位は取れなくても仕方ないが,京速(10P)の計算速度は日本に必要」という点では一致していたと思います.
ところが,説明側が「1位」と「京速」を区別して説明できていませんでした.そのため,
説明側:「1位は重要」(これ,京速は重要っていいたいんだろうなぁ…)
仕分け人:「1位だけに意味があるのですか?2位になってしまったときの対策は?」
説明側:「1位は〜で重要」(だから,その〜って1位じゃなくて京速の効用でしょ?)
「京速なら1位が取れる」という前提のプロジェクトなので,混同する気持ちは分からないわけではないですが.
この京速と1位の混同以外にも,ハードウェアに大きな変更があったのにソフトウェアには大きな変更が考えられていない,といった不備がいくつかあって,見直しという結論になってしまったようです.
あと,「シミュレーションの精度が虫眼鏡と顕微鏡ぐらい違う」といった例えを使った方が,スパコンの必要性が一般の人に分かってもらいやすいと思うのですが,この手の例えが仕分けでは出てきませんでした.これが言えてれば,「日本だけ虫眼鏡で研究して顕微鏡に対抗するのか」と続けることで,「じゃぁ,必要ですね」流れに出来たと思います.
51. 下から目線 — November 28, 2009 @14:44:50
>シグマプロジェクトの方でしょう。
それじゃ意味がないなぁ
第5世代コンピュータの場合、
これで学位とって大学に職を得た人が
少なからずいるわけで
で、それは当人にとっては御目出度いだろうが
一般人にとっては別にどうでもいいわけで
52. 下から目線 — November 28, 2009 @14:48:01
科学者のほうも、今回の事態を
「自分達の要望を反映させるいい機会」
と考えるほうが、得かと思いますよ。
役人は自分の都合でしか考えてないですから。
プレゼンがそのことを象徴してると思いますよ。
実際、毛利さんがやったのはそれです
たとえば、研究費が何十種類もあるのを整理・簡素化したら、事務経費が削減できて、実効的な研究経費は減らないということになるのかもしれない。そういう仕分け側の問いかけは研究者と利害が一致するはずなんですが
54. 白痴が足を引っ張る — November 28, 2009 @15:02:39
金持ちは羨ましいから、一回ビンボーになれよ
という観点からでしか見れないから。
先生方がどんなに苦労して今まで来られたのかを話しても、卑屈な人間達には何も聞こえないだろう。そしてそれが一般の私たちにどれほどの利益をもたらしてくれているのかも、考えることができない。いや、考えたくないだけ。
だって自分たちの不幸を他人にまき散らしたいだけのくずばかりだから。
56. Clara Haskil — November 28, 2009 @17:14:51
事業仕分けでは,科学を含む広い意味での文化活動の価値が否定された訳でも,そういう活動に真剣に取り組んでいる人々の価値が否定された訳でもないと思います。理性的であるべき科学者たちが不確かな情報に振り回されているのを見ていると,何か,非常に寂しい気がします。
不況の中、科学だけが聖域ではありえないということは科学者も当然頭にいれておくべきで、それでも科学は重要だから投資してくださいと言わなくてはならないのだと思います。
だからこそ「科学は偉いのだから、言い値で出せ」ではだめなのだと考えています。
58. 青木重幸 — November 28, 2009 @19:14:04
『多くの人が失業中であることを忘れないでほしい。来年度の予算の50パーセント以上を国債で賄わなければならず,国の累積債務が900兆円に迫るという事態であることを,科学者のような国の指導的立場にある人たちにこそ,真剣に考えてほしい。』
とのことですが、デフレ不況で「多くの人が失業中である」のだから、政府支出を(減らすのではなく)増やすのが正しい方向でしょう。「政府はインフレになるまで、日銀に国債をばんばん買うよう要求してください」、「買ってくれなかったら、政府紙幣を発行して財源にあててください」、「支出削減の話はインフレになってから考えてください」と言って欲しかったですね。
59. かいもの
— November 28, 2009 @19:17:03
『科学は重要だなんて話をするんではなくて、研究の評価、予算が役人に丸投げになっている現状に対して、科学者の視点で評価予算などを決めるシステムを提案すべきだ』
それから
|<-----無駄----->|<-----有益----->|
これが
|<-無駄->|<-----有益----->|
こうなればいいけど、結局
|<-----無駄----->|<-有益->|
こうなるに決まっている。
既得権益を簡単に手放せれるのなら、こんなにグダグダになっていない。
|<-無駄->|<-----有益----->|
ですし、それは科学者にとっても意味のあることですから、我々としては単に「減らすのはけしからん。仕分けは何もわかっとらん」と繰り返すのではなく、よい方向に向かうように意見を出すべきではないでしょうか
61. YMN — November 28, 2009 @21:07:27
字を見ると「きょうそく」と読みたくなり、「けいそく」と聞けば「計測」に行ってしまいそうです。
10ペタ(「じゅっペタ」ではゴロが悪く「テンペタ」と読むのでしょうか)よりは一字でスッキリということなのでしょう。
意味を考えさせる言葉として、悪くはないです。
言われなきゃ、読めないですが
63. 下から目線 — November 28, 2009 @21:35:33
>|<-----無駄----->|<-有益->|
>こうなるに決まっている。
>既得権益を簡単に手放せれるのなら、
>こんなにグダグダになっていない。
その悲観主義、無意味
64. gihi — November 29, 2009 @05:42:10
科学政策に関する公開質問状というのが出ているそうです
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1249777100#CID1258102215
東大情報系院生さんや、仕分け側がなにも分かってないと思ってそうな人とかは読んでないんじゃないかな? 読みませう。
ていうかきくちさんこういうのはリンク張りませう。あとどうでもいいですが本文で「仮想敵」が「仮想的」になってます。
研究内容がまともでも、研究費を得るための「宣伝文句」が嘘であれば、その宣伝文句はニセ科学と同類ではないでしょうか。
一口に「ニセ科学」的宣伝と言っても、ざっくり言って、製品自体がまともな場合とそうでない場合と2種類あると思います。
例えばマイナスイオン・ドライヤーは前者の場合に該当するかもしれません。
66. バルタン星人 — November 29, 2009 @16:42:46
スレの主旨からは離れますが、日銀云々の前に「政府は国債をばんばん発行して、インフレになるまで名目支出を増やして下さい」がより適切
67. 青木重幸 — November 29, 2009 @21:11:10
スレの主旨からは離れますが、日銀が国債をばんばん買ってくれないと、金利が上昇しますでしょう。政府紙幣発行か、日銀が国債を政府から直接購入してくれるなら(今はできませんね)簡単でよろしいのですけれど。バルタン星では国債の直接引き受けはありですか?
68. 蟻 — November 29, 2009 @22:46:12
と並べると、「ちょうそく」が一番早いように聞こえます。
あっ、答えを出すだけなら「憶測」が一番早いかも。
69. バルタン星人 — November 29, 2009 @23:09:54
>「政府は国債をばんばん発行して、インフレになるまで名目支出を増やして下さい」
>首尾よくインフレ期待を醸成できた場合、名目金利は上昇すると思います
で,「首尾よく」行く可能性はどのくらいあるのでしょうか.特に直接 58 青木さんの
>「政府はインフレになるまで、日銀に国債をばんばん買うよう要求してください」
を起こそうとする以上の可能性と効果が得られるのでしょうか.66 を見ると時間的な順序の問題もあるようなので,直接 58 に行かずに 66 をやり,それが「首尾よく」いかなかった場合のタイムラグによる損失見積もりなども含めて論陣を張らないと,69 に依拠する(ように見える)議論をなぜ支持するのか全く分かりません.
名目支出と名目金利,そしてこの2語の関係すら分かっていないので,この本読んで勉強してこい,という良い本があるなら紹介頂けるとさらに助かります.
71. バルタン星人 — November 30, 2009 @00:30:32
72. かとう — November 30, 2009 @00:40:45
>>「政府はインフレになるまで、日銀に国債をばんばん買うよう要求してください」
>
>を起こそうとする以上の可能性と効果が得られるのでしょうか
財政法5条より、日本銀行は国債の直接引き受けは出来ません。
#それをバルタン星人さんが突っ込んだのかなと思ったけれど、
#その後の青木重幸さんのコメントで、青木さんは、引き受けじゃなく
#民間金融機関からの買いとりの話のつもりだったようで。
#まあ、そこの議論に対しては、
#「国債引受先の確保の為に、財務官僚を日本郵政に入れたんで、
#大丈夫でしょう。」って返すかな。
それに対して、日本銀行の金融調整として公開市場操作というのが
あり、民間金融機関から国債や手形等買い取ったりする事が出来ます。
あとは、民間金融機関へ国債を担保として貸付をしたりします。
結局、日本銀行はたくさん国債を保有してます。
その国債の代わりに、紙幣を市場に出しているわけで、結果紙幣の
量が増える事で、インフレをさせる事を狙ってます。
もう一つのインフレ政策は、昔で言う公定歩合の変更ですが、だいぶ
前から1%を切っていて、今0.3%なのでもうこっちはどうしようもないです。
で、その後のバルタン星人さんの話を読むに、国債を発行したら
どうかって話じゃなくて、そもそもの国家予算の支出を増やす事で
景気刺激をするべきで、今の民主党政権の国債発行を減らす事に
こだわっている姿勢にダメだししているんだと思います。
あと、「名目」金利とは、「実質」金利と対になってる言葉ですね。
名目金利とは、たぶんQSMさんが普通に使ってる利子と同義だと
思っていただいていいです。
実質金利とは、今QSMさんが銀行に預金してあって、その利子が
10%だとしましょう。
この時、日本のマクロ経済のインフレ率15%だとするとQSMさんが
銀行にお金を預けていても、額面は増えるけど、実質的な財産は
目減りしています。
名目と実質はそういう関係です。
73. ミリメートル — November 30, 2009 @01:19:55
>「日銀がどうするか以上に政府が名目支出を増やす(と期待される)ことがインフレ期待の形成には重要である」
「財政政策のみでインフレを起こすことはできない。インフレを起こすには、消極的容認であったとしても、金融政策の協力は不可欠」という主張であれば、当然のことですね。
「金融政策の協力無しに財政政策のみでインフレを起こせる」ということであれば、どこか議論の場を提示して頂けると助かります。金融・経済のライターで飯を食べているものとして、大変興味があるので。
ここで展開する議論ではないと思いますが、財政政策のみでインフレが起きるというのはバルタン星人さんも望む結論ではないと思ったのでコメントしました。
74. バルタン星人 — November 30, 2009 @01:33:51
一言だけ。国債を発行して名目支出を増加させることは、単なる財政政策でしょうか?
>一言だけ。国債を発行して名目支出を増加させることは、単なる財政政策でしょうか?
国債の増発は単なる財政政策です。
国債増発により政府の名目支出は増加しますが、金融政策によって通貨供給量が変化しない限り、それは民間にまわるお金を政府が略奪することになります。略奪するため結果的に金利は上昇しますが、それは悪影響の他には何ももたらしません。
かなり乱暴な単純化ではあるのですが。
76. バルタン星人 — November 30, 2009 @02:17:40
77. バルタン星人 — November 30, 2009 @02:21:06
78. かとう — November 30, 2009 @02:59:47
バルタン星人さんは、違うレイヤーに居ました。
>バルタン星人さん
国債を通貨だって言う人、そんなに多いですか?
最初に言わないと、他の人と議論できないと思う。
政府発行紙幣は通貨かってのは、藩札だとか軍票だとか、公債と同じような
意味で作ったものもあるから、公債か通貨か微妙って話にはなるけど。
79. アルビレオ — November 30, 2009 @03:10:29
取りあえず、もうちょっと続いていいと思いますよ。
#誰かさんとの、無理問答より面白いしね(笑)
81. バルタン星人 — November 30, 2009 @08:33:21
国債をばら撒いたときにも、同様のことが起こると見るかどうかですね。
82. うさぎ林檎 — November 30, 2009 @12:05:46
一昔前は計算機(古くて申し訳ない)リソース販売が営業の大きな部分を占めていたり何ぞして、
(外国から買ってきてカスタマイズした)解析コードの計算実行そのものを請け負ったりしたわけです。
国から予算を貰っているところは(どこも一緒でしょうが)1年間の予算をきっちり使い切ります。
何故なら「使い切らないと次年度の予算が削られる」これを回避するためだけにね。
で、年度末に何が起こるかというと……無限ループ回して実績を作るなんてことがフツーに横行したわけです。
勿論今では状況が違うでしょうね(あー、でも最近慌ててノートPCを何台か買ったなんて話は聞いたなぁ)。
ですが「本当にこんな立派なスパコンなんて必要なんかいな?」と若かりし私は疑問を持ったり
税金を払っている一人としては、もうちょっと有効に使えんもんかなと思ったりしたものでございます。
この程度の話は皆さんよーーくご存知だとは思いますが、何かこう……色々ダメな感じがするわけです。
83. LiX — November 30, 2009 @12:51:27
どの分野でも予算の枠を決めるのはお役人なので、大枠を削れと言われたら、お役人がらみの無駄だけが確保されるのではないかという不安があります。
よその国のようにお役人の中にポスドクを増やしてもう少し専門のことが分かるようにするのが先だったかもしれません。
84. 技術開発者 — November 30, 2009 @12:10:32
>Clara Haskilさんへの返答は難しくて、それの為の準備になる話なので、取りあえず、もうちょっと続いていいと思いますよ。
との考え方もありそうなので、少し説明しますね。通貨というのをその量で考えずに流通のスピードで考える事になります。少し江戸時代の話を例として話しますと、江戸時代に札差しが凝った別荘作って吉原の太夫を呼んだりして豪遊をする訳ですね。その凝った別荘を造るための材木が材木商から買われ、腕の良い大工の棟梁へ手間賃やご祝儀が渡される訳です。大工は実入りが良かったと言うことで、初かつおが売り出されると多少高くても買い、それを売った魚屋も「儲かった」と酒屋から晩酌の酒を余分に買う。これが、景気の循環です。寛政の改革で100万両を越えるご家人の借金を帳消しにした訳ですが、その結果として札差しの豪遊がピタリと止み、大工は仕事にあぶれ、それまで大工に売っていた魚屋の魚が鰯などの安いものとなり、その結果、魚屋の晩酌が減って酒屋も不景気なったのが寛政の大不況です。実際の所、消えたのは紙に書いた借用書の金額であり、江戸市中を流通していた通貨が増えたり減ったりした訳ではないんですね。
実は国債を増発する事の経済価値をみるためには、現在、皆さんが「貯蓄」として銀行などに預けている金がどこまで動いているかを考えないといけません。銀行が投資先にこまっておらず、皆さんの預金がきちんと早いペースで貸し出されて利息を稼いでいるなら、国債を出してもあまり経済的な意味は無いんですね、既に動いている金ですから。不景気で銀行も「貸し出し先」に困っている様だと、その金で国債を買った場合に、その金が銀行の金庫で滞留せずに市中に出回ることになります。でもって、現在の「平均消費傾向(100の収入がある時にどのくらいを消費に回しているかの国民全体の平均値)」は80くらいです。これは結構異常な数値なのです。高度成長期などは93くらいまで上がった時期があります。さすがに93の時代は、銀行などは貸し出し先よりも「預金」を集めるのに精一杯にならざるを得ないのですけどね。逆に80を切る平均消費性向というのも問題でして、銀行などの金融機関に金が滞留する可能性を示している訳です。
少し余談になりますが、国の借金が800兆円を越えているのは、確かに問題ではあるんですが、これを「ただちに返済(できないので安心だけど)」というのも問題なんです。というのは、上で言ったように、皆さんが預金した金が動きにくくなっている部分を預金で国債を買わせて流動性を作り上げてきたとすると、その金が銀行に戻っても、動かない訳で、さらに不景気を推し進める可能性はある訳ですね。国の借金を減らすなら減らすで、それも景気と相談しながらの対応が必要と言うことです。
せよ、現状は「銀行に金が無くて貸せない」ではなく、「銀行は
貸し出し出来る金はある。しかし、貸し出し先がない」であって、
(その旨、衆院財務金融委員会で、藤井財務大臣も答弁してましたが。)
お金が回らない状態なんですね。
そういう意味で、財務委員会で無利子、無課税国債の発行という提案
も出てました。
#バルタン星人さんとミリメートルさんで話してた、「国債発行は財政
#政策なのか金融政策なのか」は、ここまで視野を入れると、金融政策
#の一端にもなると言えると思う。
但し、政府側は提案は呑みませんが。
これは、タンス預金とか、裏金になっちゃって、表に回ってこないお金
を引き出すに一定の効果はある事は認められるが、裏金の様なものを
国家が消極的、事後的に認める事にもなりかねず、社会的に問題がある
から、やっていいものだろうかってレベルでの議論から始めないと、
議案になりえないって事でした。
86. 技術開発者 — November 30, 2009 @17:27:00
>現状は「銀行に金が無くて貸せない」ではなく、「銀行は
>貸し出し出来る金はある。しかし、貸し出し先がない」であって、
>(その旨、衆院財務金融委員会で、藤井財務大臣も答弁してましたが。)
>お金が回らない状態なんですね。
なんていうか、平均消費性向を考えるときには合わせて所得分布も見る必要があるんですね。平均消費性向はあくまで平均ですから、所得分布によ消費性向そのものが異なっていますからね。でもって、平均消費性向が90%を越えていた頃のいわゆる高度成長期の所得分布というのは、基本的に一山型なんですね。実は景気を市場に流通しているお金の量でコントロールする場合には、この所得分布が一山になっている「総中流」というか分厚い中流層を持っているのが最も良いんですね。総中流であっても基本的に一山の所得が上の方が消費性向は低くて貯蓄にはげみ、下の方は貯蓄する余裕が少なくて消費性向は高い訳で、その平均として平均消費性向が90%くらいだった訳です。
ところが、現在多くの経済解析が示しているのは所得分布が縦に伸びて、二山形のひょうたんに近づいていると言われます。それでいて、平均所得性向が80%というのは、ひょうたんの下のふくらみに比べて上のふくらみがひたすら貯蓄に励んでいる事を示していまして、実に景気のコントロールが難しい局面なんですね。
私なりに解析すると、「ちょっとインフレ政策を行うと、インフレ期待による好景気ではなく、スタグフレーション(景気悪化状態での物価の上昇)を引き起こしやすい状態」に見えたりします。そういう意味では市場に流通する資金の量のコントロールで果たして景気がコントロールできるかどうかは、よく考えた方が良いと思っている訳です。
87. QSM — November 30, 2009 @21:41:32
勉強不足ということだけは正確に理解でき,何となくの理解こそ最悪ということは承知しているので,きちんと勉強してきます.ありがとうございました.
88. やまたろう
— December 1, 2009 @10:10:08
今「全体の収入が限られている中で、どの分野にどれだけの投資を行うのか」という議論をオープンに、横断的に行うことが求められている(以降の「行政刷新会議」が担うべきところ)わけで、その前段階の準備作業が「仕分け作業」にあたると思います。
「全体の収入に限りがある」が前提ですから、各事業について「不要じゃないの」という問題提起から入るのはある意味当然です。たとえ世論では必要というコンセンサスがあるものでも、「代替方法は無いのか」「使い道は今のままでいいのか」「コストを減らす方法がないのか」という質問は共通事項になるはずです。
スパコンに限らず、科学への投資が必要であることには私も基本的に賛成です。しかし「どのように(How)いくら(How much)」というプレゼン部分は、内部の人だけでなく一般の人にもある程度納得のいくものでないといけないと思います。しかも、オープンに横断的に議論するということは、他の事業(経済対策や福祉や教育やその他もろもろ)に対する優先順位はどうなのか(つまり他の予算を削ってでも緊急にやらねばならないのか)ということも同時に問われます。
そういう意味ではスパコンのプレゼンはダメダメだったと私も思いますし、以降のアピール活動も世論の支持を得られているとは思えません。
もちろん、仕分け作業の議論の俎上に載っている他の事業とて、全く無傷では済まないし、それぞれの分野において反発や声明も出ています。しかし、「内輪向けのアピール」ではなく「対外的な共感」が得られていると感じられるのはごくわずかです(中には内部の人間ですら「これは無駄だよね」と思えるものもあります。それだけ、これまでの予算の使い方が不透明で無駄があったともいえると思います)。
いずれ国民全体から集めた税金ですから、翻って国民全体の利益につながる使い方であってほしいと思いますし、各分野の方々は、専門外の人間から見てどう見えるのかを、もっと意識する必要があると思います。これは自戒を込めて申し上げます。
89. 技術開発者 — December 1, 2009 @10:48:04
>今「全体の収入が限られている中で、どの分野にどれだけの投資を行うのか」という議論をオープンに、横断的に行うことが求められている(以降の「行政刷新会議」が担うべきところ)わけで、その前段階の準備作業が「仕分け作業」にあたると思います。
私なんかは、「1980年代に40%まで下げた累進課税の最高限度額をそれ以前の70%まで復活して税収を増やし、その税収を社会保障経費にあてる事で、国民の所得間格差を是正して中流層を取り戻して内需を拡大して外需依存体質を改めるべきだ」なんて意識があるんだけどね。まあ、国民の皆さんが、「そんな社会では生きたくない」と言われている現状では、言っても仕方ないのでね。
ただね、私が怖がっているというか不安がっているのは、生きている経済や社会というのは「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいなトンデモないつながりを現実として持っていると言う事ね。その昔、エルニーニョでアルゼンチンの鰯が不漁だと日本で豆腐や納豆の値段が上がったりする様な関係ね。
仕分け作業で国民の前に明らかに成った議論は一次の効果なのね。例えば「鰯の不漁が鰯の価格を上げる」みたいな部分なのね。なんていうか、鰯が上がって魚粉価格が上がり、魚粉から穀物飼料への転換が起こって、大豆の国際価格が上がり、大豆の輸入に頼っていた日本の豆腐が高くなる」という二次とか三次の話は当然見えてこない訳です。
>いずれ国民全体から集めた税金ですから、翻って国民全体の利益につながる使い方であってほしいと思いますし、各分野の方々は、専門外の人間から見てどう見えるのかを、もっと意識する必要があると思います。
なんていうかな、私自身は別にスパコンを止めようがダムを止めようがかまいはしないの意識があるんだけど、国民が「政府の支出が減るのは大歓迎」というのが少し怖いんですね。今朝の朝刊によると、日本の経済の現状は35兆円くらいの需要不足なのね。つまり、作り出せる価値に比べて消費できる価値が35兆円ほど足りないのね。この調整には二つのメカニズムがあって、需要が伸びる方向の調整と生産を落とす方向の調整ね。需要が伸びてギャップが埋まってくれると嬉しいんだけど、多くの国民が「苦しいから節約しなきゃ」と思っている状態だから、生産の方が調整される可能性が高いのね。そうなると雇用とかはさらに悪化する懸念があって、それが国民の消費意識を冷え込ませて、さらに需要が減少するというデフレスパイラルに落ちこむ懸念はかなり高まっている訳です。なんていうか、政府の支出のうち国債償還費以外の支出というのは、たいていその年度内で現実の物やサービスを購入して消費される「需要」ではあるので、それを5兆円絞れば、当然、「需要」が5兆円減るものだからね。
なんていうかな、「デフレ(不況)の局面だから、政府はあまり支出削減をするな」という論調の上で、「できるだけ、価値のある使い方をしろ」という議論で仕分けしているなら、私は歓迎するのだけど、「税収に合わせて支出を減らしたいから仕分けしている」だと、デフレスパイラルの引き金を引いている可能性があるのね。
>「1980年代に40%まで下げた累進課税の最高限度額をそれ以前の70%まで復活して税収を増やし、・・・
個人的にはこれには大賛成。
>国民の皆さんが、「そんな社会では生きたくない」と言われている現状
これって本当なのかな、国民の皆さんは本当にそう思っているのかな?というのが大いに疑問。
国民の預かり知らぬところで「これが国是だ」って喧伝されてるだけに思えるけど・・・。
91. やまたろう
— December 2, 2009 @09:41:29
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1259279544#CID1259632084
>なんていうかな、「デフレ(不況)の局面だから、政府はあまり支出削減をするな」という論調の上で、「できるだけ、価値のある使い方をしろ」という議論で仕分けしているなら、私は歓迎するのだけど、「税収に合わせて支出を減らしたいから仕分けしている」だと、デフレスパイラルの引き金を引いている可能性があるのね。
本題とは直接関係しないのかもしれませんが、現在巨額の借金(発行済み国債)を抱える国の会計において、赤字国債を増発してでも景気を刺激しようという政策については、私は基本的に同意できません。
目的は「お金が回る=経済循環をデフレにしない」であって、使い手が直接の国民なのか、国民から税金を徴収した政府が間接に使うのかは問われないはずです。もちろん、「笛吹けど踊らず」の言葉どおり、経済刺激政策を打ってもお金を持っている人が必ず使うとは限らず、また福祉分野などに限っては、政府が税金で吸い上げて使い道を強制するという方法も一理ありますが、国民の満足度及び実態的な効果から言えば、国民の消費を直接刺激する方法のほうが良いと思います。
しかし、直接政府の支出を行わなくても(あるいはその額が少なくても)景気を刺激する方法はあるわけです。経済産業省のエコポイントなどはその典型例だと思います(もちろんこれとて完璧な方法でないことは承知しています)。要は新たな市場を開拓すべき分野に消費・投資が集中するよう振興策を打つ一方で、淘汰すべき分野には規制・税負担を求めるという複合的な方策が必要だと思います。この点において、支出を削ることが直ちにデフレを誘発するわけではなく、まさに「使いよう」なのだと思います。
翻って科学への投資の話に戻りますが、以前述べたとおり、私は科学への投資が基本的に必要だと考えます。上記の市場開拓も、新商品の発出のベースには研究があるわけですし、多くの応用研究は基礎研究なくしては成り立ちません(理系分野に限った話かもしれませんが)。だからこそ、科学に携わる人たちは、経済への貢献という視点からももっと具体的にアピールするべきだと思いますし、自分たちの必要とする投資と経済への投資のバランスについても、もう少し気を配ってほしいと思うのです。
92. 技術開発者 — December 2, 2009 @10:23:43
>本題とは直接関係しないのかもしれませんが、現在巨額の借金(発行済み国債)を抱える国の会計において、赤字国債を増発してでも景気を刺激しようという政策については、私は基本的に同意できません。
なんていうかな、ケインズの総有効需要管理政策と民主主義の不整合というのが実は巨額な財政赤字として現れるんですね。景気の後退局面で政府が支出し、景気の回復上昇局面で政府が金を吸い上げて引き締めるという支出と吸い上げのバランスが取れていれば、特に赤字にはならない訳です。ところがね、景気が回復しはじめた時に金を吸い上げようとすると、国民が反発して、その政策を進めようとする政治家は落選するんですね。景気というのは波を打つわけですが、かくして、景気の後退局面では支出し、回復から加熱局面では特に金を吸い上げもせず放任という事になるので、財政赤字がたまるというだけなんですね。個々に見ると色々事情もある中で借金が膨らんで来たんだけど、基本の流れはこういうことなんです。
>しかし、直接政府の支出を行わなくても(あるいはその額が少なくても)景気を刺激する方法はあるわけです。経済産業省のエコポイントなどはその典型例だと思います
何か勘違いされている様な気がしますが、エコポイント制はきちんとした政府の支出ですよ。
なんていうか、景気刺激効果というのはいろいろな観点があるんですが、いずれにしても、何らかの支出を伴っているものなんです。できるだけちいさな支出で大きな景気刺激効果をもたらしたい訳です。とは言いながら、なにせ国民の「景気悪いから節約しよう」を打ち破る刺激策というのはなかなか無いものなんですね。
少し余談になるけど、前の世界不況の時のニューデール政策の評価というのもいまだに議論されていたりするんですね。たぶん世界史なんかでは、「大規模な公共事業(テネシー川の灌漑工事とか)で景気を刺激したとか教わってこられたと思うんですね。実はニューデール政策で行われたのは公共事業だけではなくて、政府による労働者の大量雇用とか、会社が首切りしたり賃金を下げたりするのを禁止する法律とかいろいろあるんですね。でね、ある人は「全てが効果的だった」と言うし、別な人は「公共事業は効果があったが雇用対策は効果がなかった」っていうし、中には「どれも効果が無かった。回復したのは戦争という大消費が起こったからだ」なんて言う人もいるのね(笑)。日本の自民党御用学者は「公共工事は効果があったけど、雇用対策は効果がなかった」という評価を採用しているので、皆さんもニューデール政策=公共工事と教わっているし、自民党も景気対策=公共工事でやってきたから、やまたろうさんが、私が財政出動というと「公共工事の事だろう」と思われるのも無理は無いんだけどね。別に支出の仕方は色々考えられるけど、何らかの支出は必要という事ね。
上の総有効需要管理政策と民主主義の不整合の解決策として一つのモデルとして考えられるのは、高負担高福祉国家だったりするんですね。なんていうかな、景気の波に合わせて減税したり増税したりせずに、最初からかなりの額をとっておいて、取られるのを普通のことにしてしまう訳ね。でもって、社会保障のために使うように支出を大きく組んでおくと、社会保障費というのは結構景気によって動くんですね。不況になると失業手当とかで支出が増え、好景気になると減ったりしてね。つまり社会保障費というのは自動的に景気の波に合わせた支出になるんですね。これを「ビルトインスタビライザ機能」なんて言う事もあるけどね。
ついでにいうと、社会保障の充実は国民の景気感による需要の増減を安定化させる効果もあるのね。なんていうか、平均消費傾向なんて話を書いているけど、入った収入のうち消費に回されない部分は貯蓄なのね。でもって、社会保障の貧弱な国の国民は、不景気になると可処分所得のうちの貯蓄に回す部分を増やしやすいんですよ、将来不安に駆られるからね。でもって好景気になると反動的に消費が増える(笑)。つまりね社会保障が貧弱だと国民そのものが景気の波を大きくする訳です。
なんていうかな、私は「日本国民に嫌われる政策」と承知しながら、高負担高福祉国家論を述べたりするんだけどね。実のところ、安定して資本主義経済を営みたいなら、高負担高福祉国家というのは理論上悪くないものなんですね。もちろん、やまたろうさんをはじめとする日本国民は「社会保障の充実なんて、資本主義の敵だ」としか思われないだろうということは承知の上で書いています、そう教わって来たんだから仕方ないよね(笑)。
93. kurita
— December 2, 2009 @11:03:25
> エコポイントなど
「完璧な方法でない」どころか、仮にどんなにうまく行ったとしても、「35兆円くらいの需要不足」には何ケタも足りません。 焼け石に水滴くらいの影響も与えられないと思いますよ。
> 淘汰すべき分野には規制・税負担を求める
規制や重税を課すことで「淘汰すべき分野」を根絶やしにしろと? そもそもどこのだれが「何が淘汰されるべき」かを決めるのでしょう? あまりにもムチャクチャな発言ですよ。 第一、その「淘汰すべき分野」ってのがあるとして、それがこの不景気の原因であるとか、景気回復をジャマしているとかいう証拠があるのですか。
94. やまたろう
— December 2, 2009 @11:44:20
近いのと長いので引用は控えますが、まずエコポイントについて言及した際、“直接政府の支出を行わなくても(あるいはその額が少なくても)”と書いたのは軽率でした。エコポイントが政府の支出を伴う(ポイント付与=値引き分は政府が負担する)仕組みでレバレッジによる景気刺激策の面があることは承知しておりましたが、誤解を招く表現だったと思います。
また、ケインズの総有効需要管理政策と民主主義の不整合の説明を通じ、「不景気局面での財政出動」の意義についても理解が深まりました。ありがとうございます。
最も、技術開発者さんがおっしゃるとおり、景気拡大局面での財政引締めが国民全体の同意を得られない(今までの経過のとおり)ことはほぼ自明であり、その前提においては、不景気局面だからといって「単純な量的財政出動」に全面的には同意しがたい、という考えはまだ変わりありません。もちろん、それに変わるレバレッジ効果の高い確実な政策があるかといわれると、すぐには思いつかないのも事実ですが。
あと、技術開発者さんのおっしゃる「高負担高福祉国家論」(北欧諸国のような制度をイメージすればよいのでしょうか)に関して、選挙の結果としてこの論が排斥されてきたであろう事実は認めますが、少なくとも私自身は「社会保障の充実なんて、資本主義の敵だ」などとは毛頭考えておりません(私とて、そう遠くない未来には老後を迎える可能性があるわけですし、いつ被介護者になるか分かりません)。
私の表現がそう汲み取れるものであったら、たぶん技術開発者さんおっしゃるところの「風が吹けば桶屋が儲かる」式の仕組みを不勉強であるところによるものと思いますし、以後気をつけますが、私があたかも反対論者の代表者であるかのような決めつけはおやめください。
私も横道の話題を拡大してすみませんが、もう少し説明させてください。
>脱線した話題に乗っかって恐縮ですが、
>> エコポイントなど
>「完璧な方法でない」どころか、仮にどんなにうまく行ったとしても、「35兆円くらいの需要不足」には何ケタも足りません。 焼け石に水滴くらいの影響も与えられないと思いますよ。
私はエコポイントが「35兆円の需要不足の唯一の解決策」だと申し上げたつもりはありません。景気刺激策は複合的な要素が絡み合うものですから、政府全体として横断的に取り組むべきものであり、エコポイントについては(不完全ながら)レバレッジ効果のある政策の一つとして例示したまでです。
“焼け石に水滴くらいの影響も与えられない”かどうかは確たるデータを持ち合わせていませんが、家電業界や自動車産業には一定の効果はあったのではないでしょうか?
※予めお断りしますが、私は特定の政策の良し悪しを語っているのみで、政治上の志向・主張に拠っているものではありません。
>> 淘汰すべき分野には規制・税負担を求める
>規制や重税を課すことで「淘汰すべき分野」を根絶やしにしろと? そもそもどこのだれが「何が淘汰されるべき」かを決めるのでしょう? あまりにもムチャクチャな発言ですよ。 第一、その「淘汰すべき分野」ってのがあるとして、それがこの不景気の原因であるとか、景気回復をジャマしているとかいう証拠があるのですか。
技術革新により新規の市場を開拓する商品があり、既存の商品に取って代わるのを加速するための方法として提案したものです。あくまで「景気刺激」が先であり既存商品を「不景気の原因」というつもりはありません。
また“淘汰すべき”という言葉を用いたときにイメージしていたのは、環境負荷施設等(排煙を出す工場や旧式の燃費の悪い自動車など)を低環境負荷型に切り替えるための手段としての「環境税」的なものの導入です。まあこれとて国民全体の同意が得られるかどうかは分かりませんが、少なくとも民主主義の原則に乗っ取って決定されるべきものとは思います。
96. 技術開発者 — December 2, 2009 @13:32:09
>私があたかも反対論者の代表者であるかのような決めつけはおやめください。
ごめんなさいね。ここ10年くらいでずいぶん性格が悪くなりましてね(もとから、そんなに良かった訳でも無いけどね)、なにせ、小泉政権の頃は、日本中が新自由主義経済国家論に浮かれている様な状態だったでしょ。新自由主義では高負担高福祉国家論なんてのは、とにかく敵視されたものですからね(笑)。
>景気拡大局面での財政引締めが国民全体の同意を得られない(今までの経過のとおり)ことはほぼ自明であり、その前提においては、不景気局面だからといって「単純な量的財政出動」に全面的には同意しがたい、という考えはまだ変わりありません。
とはいえ、デフレ局面を放っておけずに財政出動を行おうとしているのは、前の自民党政権も今の民主党政権も変わりませんよね。なんていうかな、不可抗力みたいな面があるんですね。「来年の種籾は残さなくてはならない」という農民が飢饉の時にどうにも生きて行けなくて種籾に手を付けるような感じかな。
種籾に手をつけなくて済むようにするためには、「種籾に手を付けるな」というだけじゃなくて、飢饉の時に飢えない工夫をしなくてはならないのね。その工夫にあたるのが、景気の変動に関してビルトインスタビライザーとして働く社会保障の充実だし、赤字を出しておいて後の好景気で埋める税の取り方じゃなくて、最初からしっかり取っておいてしまえという高負担累進税制だったりする訳です。
>技術開発者さんのおっしゃる「高負担高福祉国家論」(北欧諸国のような制度をイメージすればよいのでしょうか)に関して、選挙の結果としてこの論が排斥されてきたであろう事実は認めますが、少なくとも私自身は「社会保障の充実なんて、資本主義の敵だ」などとは毛頭考えておりません
北欧のイメージで良いのだけど、たぶん、今まで「ふ〜ん、そういう国もあるのね」みたいな感じで捉えられてきたと思うのね。でもって、それに次ぐ国としてサッチャー以前のイギリスが「ゆりかごから墓場まで」なんて社会保障を目指したことくらいはご存じだと思うのね。でもってお聞きに成ったことがあるかどうか分からないけど「英国病」という話ね。「英国は社会保障を充実しすぎて、人が働かなくなって沈滞したから、サッチャーが・・・」なんてね。実は北欧も英国も社会保障の充実はやったんだけど意味が違うのね。
北欧は「資本主義を守ろう」としたのね。なにせソ連の直ぐ近くじゃないですか、もしも国内で労働者の暴動でもおきようものなら直ぐに昔のソ連が「労働者の仲間を救え」と攻め込んできて、共産主義化されそうな怖さがあって、それで社会保障を充実させてきたわけ。或る意味で「思想から資本主義を守ろう」としての社会保障なんです。でもってやってみたら、意外と資本主義と相性が良かったのね(笑)。
それに対してイギリスというのは「思想による社会保障の充実」の面があるのね。私自身がフェビアン社会主義者なので、批判するのはおかしいんだけど、その時期のイギリスはフェビアン社会主義が理念化してしまってね。漸進主義と言うんだけど、資本主義から穏やかに社会主義に移行するというのがフェビアン主義なのに急ぎ過ぎちゃって、企業を国有化したりして、沈滞を招いたというのが歴史の示すところね。
97. kurita
— December 2, 2009 @15:31:21
そんなことはもちろんわかってます。 しかし「何ケタも足りない」ものをいくつか合わせワザにしてみたところで、いぜんとして「何ケタも足りない」のですよ。 主義主張とは何の関係もない単純な算数の問題なので仕方ありません。
98. 技術開発者 — December 2, 2009 @15:20:20
>エコポイントについては(不完全ながら)レバレッジ効果のある政策の一つとして例示したまでです。
なんか出される話をことごとくけなすみたいで申し訳ないんだけどね。実は、お金の投入による景気浮揚効果でいうと、土木建築工事というのは結構効果が高いんですね。日本の場合、ハコモノ公共事業のやりすぎでして、真に必要な土木・建築工事があまりないのが問題なんですけどね。もし真に必要な土木工事が1兆円もあれば「景気対策にはそれをやる方が良い」とお勧めしたくなるくらいなんです。
なんていうかな、多くの産業が効率化されると、一つの製品あたりの必要な人間の数が減ってしまうのね。例えば200万円の自動車が1万台売れると200億円の需要が生まれるんだけど、その需要を満たすための雇用みたいな事になると、販売店の人とか運ぶ人そして工員さんが1000人/年くらいにしかならないのね。ところが、土木工事を1年掛けて200億円やると2000人/年くらいに成るわけです。こっちも、直接工事する人だけでなくて、鉄筋やらセメントやらを製造する人とか運送する人も含めるんだけどね。でね、この雇用確保に伴う景気浮揚効果が結構大きいのね。1000人の一次雇用が確保されると、その人がきちんと給料を貰って生活することで生まれる二次の需要とかもあるし、二次の需要に伴う二次の雇用確保の効果をだいたい3割くらいで計算するものだからね。なんていうかな、土木・建築というのは労働集約型産業の典型であり、それゆえに、投資に対する景気浮揚効果がたかくなる訳です。
>翻って科学への投資の話に戻りますが、以前述べたとおり、私は科学への投資が基本的に必要だと考えます。
こう言われて、ふと気が付いて科学技術関連へ資金投入の景気浮揚効果を考えてみるとね(データがないので計算出来ないから考えてみただけね)、結構景気浮揚効果は高い資金投入かも知れないと思ったんですね。というのはね、科学技術予算で買われる実験機器なんてのは、もともと台数があまりでないから、自動車なんかに比べて大量生産方式じゃなくて、同じ金額あたりの人の関与が大きいのね(笑)。唯一のネックは専門性が高いから、いわゆる一般の工員さんの雇用になずに専門家が残業して需要を満たすようだとあまりめでたくない(雇用効果が限定される)。
99. いしやま — December 2, 2009 @17:01:36
こちらこそ、考え足らずの意見に丁寧な解説を加えていただき恐縮です。脇道の話でROMの皆さんに有益かどうかはわかりませんが。
>真に必要な土木工事が1兆円もあれば「景気対策にはそれをやる方が良い」
「真に必要」という価値判断には議論あるところと思いますが、労働集約型産業の典型は農林水産業です(機械化が進んだとは言え、人手不足に悩まされているのはご承知のとおり)。
乱暴な話かもしれませんが、期限付公務員の身分で数万人単位を雇用し、農作業・林地の間伐業・漁業に投入すればそれなりの効果があるのではないかと。農閑期は災害復旧及び予防対策等の事業に投入できる期待もありますし。(雇用条件その他の問題で実現が難しいとは思いますが)
大量に生産される農林水産物は供給過剰となり単価が下がりますが、消費者にとっては安い国産農産物が手に入るのだから消費面での恩恵も多いでしょう。単価下落の影響を受ける農家には個別に所得補償を行うという方法もあるわけだし。(これももちろん異論はあると思います)
kuritaさんが「何ケタも足りない」「焼け石に水滴よりも意味がない」と仰るのも理解できますが、さりとて「何もやらなくても良い」或いは「そのやり方は間違っているが、代替案は出さない」では議論が進みませんので(もともと脇の話だったので、批判だけすればよいということだったのかも知れませんが)、この話については一度引っ込めます。
一応「焼け石に水滴程度でも、やるべきことはある(ただし、もっと効果のあることがあるなら、それに取って代わられるのもやぶさかではない)」という主張だけは掲げ続けます。
101. 技術開発者 — December 2, 2009 @17:25:18
>脇道の話でROMの皆さんに有益かどうかはわかりませんが。
脇道ではあるんだけど、一国の経済とか社会と言うことに関して、或る意味で国民は皆、真剣に勉強もして向き合うべきだろうと思うんですね。どんな専門の人でも、否応なしに国の経済状況や社会状況に振り回されるものだからね。そういう意味では、マスコミがついこないだまで「安売り販売店」を特集しては「不況の時は助かりますね」と報道し、デフレという言葉がでるなり、「物価が安くなってデフレスパイラルが」とデフレスパイラルの説明をはじめたのを見て、「まあ、説明しないよりマシ」と思ったり、「マスコミに経済の分かるのはいないのかよ」と情けなく思ったり・・・。私なんかは、今は「日本の場合もともと内需は冷え込んでいたから、少々物価が低下してもなかなかデフレスパイラルにならないだろう、下手にインフレ政策をうって円安局面が行きすぎると、スタグフレーションが・・・」なんて心配している(笑)。なんていうかな、こんな話の元になる経済学の知識は国民が基礎教養として持って、日常会話でf気楽に話し合うぐらいでないと、こんな経済状況の国では政策論議もできないのですよ。
日本型の外需依存というのの怖さは、食とか衣という割と生活に欠かせない物の輸入を拡大させてしまうということね。そのために生活必需品の物価が為替レートに連動しやすくなるのね。円安になると家電とか自動車は外国に売りやすく成るんだけど、貿易相手の国にとっては「買わなくても生きていける物」だからね。それに対してこっちは「生きるのに必要な物」の値段が上がっていく・・・怖いと思いませんか?
>乱暴な話かもしれませんが、期限付公務員の身分で数万人単位を雇用し、農作業・林地の間伐業・漁業に投入すればそれなりの効果があるのではないかと。
民主党の緊急雇用対策の中に森林整備というのがあったと思います。なんていうかな、実は自民党の頃でも林業従事者育成事業というのはやっていたんだけど、たしかやっている事業団が天下り事業団だということで、国民の皆さんというかマスコミにケチョンケチョンにけなされていた気がしますね。事業団が天下り事業団なのは問題だけど、それでその事業は価値が無いかの様な報道も多かった気がしますね。
私は田んぼより山の方が遙かに広いど田舎で育って、下刈りとか枝打ちとかも経験しているけどね。整備する山にたどり着くだけで疲れる様な仕事だからねぇ〜。私は体力が無くてドロップアウトした口ね、山仕事には。
102. ミリメートル — December 2, 2009 @22:07:52
>乱暴な話かもしれませんが、期限付公務員の身分で数万人単位を雇用し、農作業・林地の間伐業・漁業に投入すればそれなりの効果があるのではないかと。
たいした効果はないでしょう。しょせん失業対策のみで、土木建設業ほど資材を必要としないので、経済波及効果が限定的です。
また、農業は、投下した労働力によって生産量が左右されない傾向があるので、効果があまり見込めません。
さらに、農家に補助金を支給することは、WTOで問題にされる可能性が高く、農林水産業を振興しても自給率100%(食料も林業も含め)が見込めない以上、危険な賭けになります。
このように申し上げると、やまたろうさんは「対案を出せ」とおっしゃるかもしれません。しかし、そもそもこのアイデアが実施するに値する案であるかどうかが疑わしいものではないかと。こうした懸念があるからこれまで検討されていないのが実情であり、そもそもこのアイデアが案であるかどうかというところも詰める必要があるでしょう。
なお、農業の国家運営という試みは、ソ連のコルホーズ・ソフホーズ、中国の人民公社、カンボジアのPol Pot政権で失敗しています。それでもイスラエルのキブツはそれなりに成功しているので、見習う余地があるかもしれません。
103. かとう — December 2, 2009 @22:36:29
むしろ、WTOの要求の農作物の関税自由化を農業への戸別所得補償を出
す事で推進しようとしているって話もあるぐらいで。
(これは与党幹事長の腹案。)
農業への戸別所得補償は、関税自由化とは切り離された形の単独です
が、与党のマニフェストにもありますし、来年度からモデル事業実施
予定です。
危険な賭けじゃなくて、もう実施の段階です。
104. QSM — December 2, 2009 @22:37:26
>乱暴な話かもしれませんが、期限付公務員の身分で数万人単位を雇用し、農作業・林地の間伐業・漁業に投入すればそれなりの効果があるのではないかと。
技術開発者さんのコメントもありますけれども.Yahoo!ニュースだったと思いますが,誰かが講演会をして,ニートに農業や漁業をやらせたらどうかと言ったという記事がありました.コメント欄で「ニートのごとき根性無しどもに農業が出来るものか.農業をなめるな.」というコメントがありました.ニートが根性無しであるかどうかはともかく,自然と直接戦う農林水産業は生半可な覚悟で出来るものではないと言う事実に深く感動しました.やはりきつい仕事だから皆やりたくないわけですね.
戦術的な勝利で(仮に勝利があったとしても、ですが)戦略的な失策を帳消しにすることは決してできないのです。 たとえ「家電業界や自動車産業には一定の効果はあった」としても、似たようなことをいくつかやってみたところで、「35兆円の需要不足」はいつまでたってもけっして解決しません。 気合いや根性でどうにかなるような話ではなくて、前にも書いた通り算数や科学の問題です。 強引な例えをするなら、米軍の本土上陸に備えて竹槍を準備するような事に意味があるのか、と問われているのに、やらないよりまし、意味が無いと言うなら竹槍に代わる案を出せ、と言うようなものです。 米軍の本土上陸を想定しなくてはいけないような時点ですでに何かが大きく間違っているのであって、その枠内にもはや合理的な解決策は無いことを自覚しないことには、いたずらに犠牲を増やし、問題の解決を遅らせるだけです。 百年に一度の危機(←この数字はいい加減)ならば、過去百年間使われたことがない(←しつこいけどいい加減な数字)解決策を模索しなくてはならないのは当然でしょう。 ここはこういう事を議論する場ではないので、私もこの件についてはこれっきりにしますが、「焼け石に水滴をかけ続ける」のとは違う案に興味のある方はこちらをどうぞ: http://wiki.livedoor.jp/reflation/
106. 技術開発者 — December 3, 2009 @07:43:53
>ニートが根性無しであるかどうかはともかく,自然と直接戦う農林水産業は生半可な覚悟で出来るものではないと言う事実に深く感動しました.やはりきつい仕事だから皆やりたくないわけですね.
なんていうかな、体力的にドロップアウトした私が言うのも変なんだけど、体力があったら「そういう生き方も良いな」と思えるものではあるんですよ、農林業ってね。きついのはきついんだけど、研究所で予算関係の書類書きに追われているよりも、精神的にははるかに健康的な仕事なのでね(笑)。
89の書き込みで「1980年代に40%まで下げた累進課税の最高限度額をそれ以前の70%まで復活して税収を増やし、その税収を社会保障経費にあてる事で、国民の所得間格差を是正して中流層を取り戻して内需を拡大して外需依存体質を改めるべきだ」なんて事を書きましたけど、この「外需依存体質を改める」という部分と農林水産業の復興は大きく関係しているのね。私に言わせると、日本は輸出しすぎなんです。「日本で採れない日本で作れない物」を輸入するのに必要な外貨を稼ぐ以上に「売らなきゃ成らない」と思いこんで売るから、日本で採れたり日本で作れたりするものなのに輸入した方が安くなってしまって、そういう産業が衰退するのね。そういう意味では、きちんとした内需に支えられた産業に戻して、「日本で採れない日本で作れない物」を輸入するのに必要な程度の輸出にしたなら、決して農林水産業は「嫌われる」仕事では無いと思っています。今は、「やっても生きていけない」から人が従事しないだけなんですね。
少し理解して欲しいのは、ずっと言っている「高負担高福祉国家論」というのはとてもじゃないけど「直ぐにできる」とかいう話じゃないです。20年とか30年とかかけて、穏やかにもっていかないとならない話だと思います。本当にこういう将来ビジョンが最適なのかどうかも分からないのだけど、なんていうか、場当たり的に「内需が陰ったから輸出で稼ごう」とか「不況になったから減税しよう、公共事業をやろう」とかしてきた結果として今があるわけです。そろそろ、日本人も「20年先、30年先の日本がどういう国なのか」を真剣に考えても良い頃じゃないんでしょうか?
でもって、今の不況対策というのは、きちんとやるべき事ではあるんですね。20年先30年先を夢見ても、今つまずいて足を折ったらそこに達せられないからね。或る意味で「不況」あるいはそれが進んだ「恐慌」みたいなものをあまり軽視して欲しくないんですね。国がその対策を誤って国内暴動とか内乱まで発展すし、その傷跡がその後の回復も妨げるなんて事例は、世界中にあることだからね。遠い先もみなきゃならないし、つまずかないように足下も見なきゃ成らない。どっちかじゃないんです、どっちもなんですよ。
107. 杉山真大
— December 3, 2009 @12:11:23
http://6400.teacup.com/0120320354/bbs
証明らしい証明すらしていないってことを理解しているのだろうか・・・・・
108. 杉山真大
— December 3, 2009 @12:14:48
そもそも理科系エリートの「20年先、30年先の日本がどういう国なのか」って考えって、「高福祉高負担」の対極みたいなものだったんですよね。大槻義彦の旧著なんか科学的ネオリベの薦め(?)みたいなものだし、中村修二だってアメリカ的なネオリベバリバリの競争社会に憧れて国外脱出したのですから。
つか、理科系って「技術立国」というのか「競争による最適化」の恩恵を、概して受けていたって気がしちゃうんですよ。大学改革でも科学の成果主義でも推進した側って、学者では理工系の技術開発とかが絡んだり、更には「技術立国」を体現した様な製造業だったりしちゃう。その「最適化」が今になって行き詰っているのでは?と個人的には思ってます。
109. 下から目線 — December 3, 2009 @12:39:03
kuritaさんの紹介された「リフレ政策」を全面的に支持するものです。
いわゆる「百年に一度の危機」なのですから、100兆円くらいの国債を日銀に直接引き受けさせるくらいのことが必要だと考えています。
111. 技術開発者 — December 3, 2009 @12:47:48
>そもそも理科系エリートの「20年先、30年先の日本がどういう国なのか」って考えって、「高福祉高負担」の対極みたいなものだったんですよね。
それは理科系エリートに限らず、この国のエリート全て見受けられる事でしょうね。中谷巌なんかも留学した先で「かっちりと組み上げられた精密な経済学理論」に触れて新自由主義に傾倒して帰ってきたわけだからね。実の話、私も20年くらい前にかなり新自由主義に惹かれていたからね。彼がもし30年前に留学していたらケインズ理論に傾倒して帰ってきたんじやないかな(笑)。
なんていうかな、それぞれの時期みたいな感じを受けるんですよ。成長期の若者なら極限まで身体を使うスポーツも有益だけど、中高年になったらウォーキングみたいな穏やかなスポーツの方が向いているみたいにね。
なんいうかな、私は新自由主義そのものを否定もしていないのね。例えばこれから発展する国が、セーフティネットの充実と並行しながら新自由主義政策をとるなら、いつ方針転換するかという問題はあるけど、5年から10年くらいでめざましい発展を遂げられる可能性はあるのね。
なんていうかな、私はフェビアン社会主義者だから、一面では共産主義者でもあるんですよ。マルクスの「資本主義はその成熟の末に矛盾を解消するために共産主義に移行する」なんて歴史観を信じている訳ね。ただね、それが歴史の必然なら急ぐ必要は無いと思っているのね。資本主義の成熟に協力して行けばよいと思っている。或る意味で、世界中の資本主義の発達がバラバラなのはあまりめでたくないのね。世界中の国の資本主義経済がしっかり成熟することで、やがては共産主義になるのだろうと思っている訳ね。
112. kurita
— December 3, 2009 @16:35:54
学研の『科学』もついに休刊だそうです。
http://www.gakken.co.jp/news/hd/200912/20091203.html
113. 青木重幸 — December 3, 2009 @18:22:10
私も、この件についての書き込みはこれでやめます。失礼いたしました。
114. オキナタケ — December 3, 2009 @19:54:24
こんなことを言って得々としてるような業界には行かぬが吉。
つか、ネオリベの原型ってワルラスのいう「命題を証明する経済学」だったりしますが、ワルラスって理工系から経済学に転向したクチなんですよね。マル経とかケインズとかがアカデミックで幅を利かしていても、現実の経済政策はどちらかというと理工系出身だった方が作っていたり、経営面でもTQCで理工系が活躍したり・・・・・「火の玉教授」が理科系の作った成果を(非効率な)文科系が食い潰したなんて自著で書いているけど、そうした背景を考えちゃうとネオリベへの親和性という点では理系が強かったとも思えちゃう。
まぁ、そうした発想ってエリートには共通している面があるんじゃないかと思うのは同意しますけど、「出る杭は打たれる」ってのとは裏腹に日本においては世界的な知名度とか実績があると批判が殆ど無いってのは、「日本的」なのかも知れませんね。
116. エディ — December 3, 2009 @22:54:05
>以前僕を授業に呼んでくれた横山広美さんが司会されていましたが、
アニリール・セルカン「宇宙エレベーター」の書評を書かれた方ですね。
http://www.tokyo-np.co.jp/book/shohyo/shohyo2006072304.html
『読者対象を広げるためか、先端研究のことについてはあまり触れていない。だからますます現在のヒーロー、セルカンのことを知りたくなる。』
117. kurita
— December 4, 2009 @02:33:33
科学的な素養を持った人たちには、「パイの分け方」なんてセコい話ではなくて(もちろん、これが現在火急の問題であることはわかりますが)、「パイを大きくする方法」についても考えて活動していただければと思います。 その方が結局は「取り分」を大きくすることにもつながるはずです。
118. 技術開発者 — December 4, 2009 @08:37:26
kuritaさんが105で紹介されたリフレ政策ですが、私は疑問を持っています。たしかに、デフレの時は通貨量を増やし、インフレの時は通貨量を減らすというのが景気コントロールの基本ではあるんですが、その元になる需要−供給バランスがそういう基本的なコントロールの働く範囲を超えている気もするんですね。
かとうさんが85で紹介されているみたいに
>現状は「銀行に金が無くて貸せない」ではなく、「銀行は
>貸し出し出来る金はある。しかし、貸し出し先がない」であって、
>(その旨、衆院財務金融委員会で、藤井財務大臣も答弁してましたが。)
>お金が回らない状態なんですね。
という状況で通貨量の増大を行うことの意味がよく分からないんです。
実体経済の実態需要がなかなか伸びない(35兆円の需要不足)中で、通貨量の増大を測ると、その通貨は貯蓄に回り、実体経済の投資先ではなく、マネタリズム投機に回り、バブルを引き起こすだけのような気がするわけです。もちろんバブルは拡大期には速いペースの景気回復を引き起こす事は理解しています。しかし、バブル型の投機経済拡大は、そのコントロールが実体経済以上に難しいと考えています。
リーマンショック以前に短期間見られた物価上昇も、中国の原油需要や米国の燃料用穀物需要などの実体需要をマネタリズム投機がバブル的に拡大させていたものの様に考えています。そのため、リーマンショックが起こった結果として原油や穀物の国際価格が下がったわけです。もちろん実体部分的に合わせた揺り戻しもおこりましたけどね。
なんていうか、通貨量の増大は必要かも知れないと考えているのですが、それは有効な「需要喚起政策」と上手くマッチングするものでないとならない気がする訳ですよ。
119. Isshocking — December 4, 2009 @08:33:50
技術の標準化や宇宙開発、核軍縮、温暖化対策、はては捕鯨問題まで、他国に何かを協調してもらうためには科学の「格」が唯一外交メッセージの信用を担保します。(でなければ軍事力)
政治家や大企業経営者の口先三寸だけでは国際信用は得られないのだと思います。
ですから、スパコンの「なにがなんでも一位」も意味なしとはしません。国際標準化の流れ(プロミラミング言語やOS、I/Oもあります)の中ではエビデンスが重要視されます。1度でも一位になったところと、万年「そこそこ上位」では裾野の分野に影響してくることが考えられるからです。
科学技術予算を大幅削減することは、外交メッセージに少なからぬ悪影響があります。
前回の地球シミュレーターにはありました。
その違いはいろいろあるのですが、無理筋で一位を取っても、それは「見透かされている」ということでいいかと思います
121. 杉山真大
— December 4, 2009 @10:49:01
ただ、ロビンズが定義したように経済学って「稀少資源の最適配分」即ち分配が主たるテーマなんですよね。「パイを大きくする」ってのは経営学とか理工系が主たるテーマとしたものであって、そうして大きくしたパイを如何に使うのかを議論するのが経済学。
>技術開発者氏
かのバブルの起こりからして、円高によるデフレ克服だった訳ですからね。
尤も大勲位とかは内需拡大とか言っていたんだけど、現実にはネオリベ政策で寧ろ投機に金が向かったり、民活とやらで矢鱈乱開発が行われる結果になっちゃいましたから。
122. kurita
— December 4, 2009 @10:43:15
>>現状は「銀行に金が無くて貸せない」ではなく、「銀行は
>>貸し出し出来る金はある。しかし、貸し出し先がない」であって、
>>お金が回らない状態なんですね。
>という状況で通貨量の増大を行うことの意味がよく分からないんです。
6年前(!)の黒木さんのコメントから抜き出します。
===========================================
さらに「銀行貸出が増えないと景気が回復しない」という説を信じている人もいる。[中略]デフレを伴う長期不況下で政府が銀行に貸し出しを強制すれば不良債権は確実に増加しまくります。
===========================================
さらに、昭和恐慌でも米国の大恐慌でも銀行貸出が増加に転じるのは景気回復から3年から4年後だったことも知られています。 (実は理論的にも銀行貸出の増加が景気回復に遅れる方がもっともらしい。) 銀行貸出を先に増やすことによって景気を回復させるという発想はおそらく誤りです。銀行貸出という経路だけにこだわると失敗するでしょう。
===========================================
http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/keijiban/b0056.html#b20031210214535
123. Isshocking — December 4, 2009 @10:37:18
>なんていうかな、体力的にドロップアウトした私が言うのも変なんだけど、体力があったら「そういう生き方も良いな」と思えるものではあるんですよ、農林業ってね。きついのはきついんだけど、研究所で予算関係の書類書きに追われているよりも、精神的にははるかに健康的な仕事なのでね(笑)。
わたしは現役の農林業もやってます(小規模ですが)
農林業は金にならないだけで、ちゃんとやろうとするとケタ違いのスキルが必要になります。技術だけでも建築・土木・機械・電気・電子・薬学・化学・物理・生物、それに法律や行政手続、市場交渉まで。
ただ単に種を蒔いて移植すりゃいいってもんじゃないです。
もちろん全部を専門職のレベルで実務できるわけじゃないですから、取捨選択して自分の得意分野を伸ばしていくわけですが、そこらが他業種にない楽しみにもなります。
ある種のロビンソン・クルーソー的たのしみというか、ハックルベリー・フィン的楽しみというか。
わたしは50町歩ほどの山持ちなのですが、50年かよっててもいままで知らなかったクマガイソウやサルメンエビネの群落など、新しい発見があります。
素人が山作業するのはまず無理ですね。山では間伐にしても枝打ちにしても50m間隔くらいで作業します。5m離れると声も聞こえない藪の中ですから、つききり指導などできません。
どうも林業を持ち上げる都会の人は道端にあるような林地しかみてないのではないかと思います。
大部分の山はうっかりするとずるずると崖下に落ちそうな傾斜地を谷4つか5つ越えてやっと作業現場にたどりつくのですよ。
124. たろう — December 4, 2009 @12:39:59
Prof.Krugman自身否定しちゃったし…
桶屋が儲かる現実に対処する経済学が将来出来るのなら、それは非自明な解答を導出してくれると期待します。
へー、そうなんですか? ぜひ情報源を教えてください。
126. たろう — December 4, 2009 @13:05:39
上記blog内から参照出来る May1998論文を否定されてます。
127. 下から目線 — December 4, 2009 @13:25:09
>技術の標準化や宇宙開発、核軍縮、温暖化対策、
>はては捕鯨問題まで、他国に何かを協調してもらうためには
>科学の「格」が唯一外交メッセージの信用を担保します。
>(でなければ軍事力)
そう思い込んでる人が少なくないのは確かですが
だからその主張が正しいということにはなりませんよ。
実際、誤りでしょう。
>ですから、スパコンの「なにがなんでも一位」も意味なしとはしません。
>国際標準化の流れ(プロミラミング言語やOS、I/Oもあります)の中ではエビデンスが重要視されます。
>1度でも一位になったところと、万年「そこそこ上位」では裾野の分野に影響してくることが考えられるからです。
そういう安易な考え方が正しくないのは、第五世代コンピュータ計画の失敗でよくわかったと思ってましたが。
第五世代コンピュータ計画の場合は「世界一」とは違うけど、人工知能に適したマシンさえつくれば、みんながそれを使って人工知能のアプリケーションをどんどん作ってくれる筈、という思いこみがあったと思います。
しかし、実際にはそうはならなかったわけです。
人工知能の何がどう困難で、どうすれば解消できるか、について、答えを間違った、といわざるを得ません。
この事実は、いくら関係者に学位を乱発して、大学に押し込んで口をつぐませたところで、否定できません。
128. kurita
— December 4, 2009 @14:23:29
> 上記blog内から参照出来る May1998論文を否定されてます。
きっとこんなことだろうとは思ったけど、どうせ真の情報源はこのあたりでしょ? → http://bit.ly/7mspGE
好意的に解釈してもとても英語の論文を読む人の英文読解力とは思えない程の大誤読、悪く言えば... この場の品位を落としそうなので自己規制します。 ごめんちゃい。
↓ ちょっとネット上で調べるだけでもこんな親切な解説がみつかりますので、読んでみてください。 と言うわけで、このデマに関しては一件落着ということで。
http://d.hatena.ne.jp/hirokim21/20090530/1243616305
129. 下から目線 — December 5, 2009 @09:06:54
池田信夫氏のトンデモぶりをいくらあげつらっても、
黒木玄氏が正しい、ということにはならんがな
131. Isshocking — December 5, 2009 @09:14:29
>だからその主張が正しいということにはなりませんよ。
こういう、どの議論でも通じるようなことはなんの情報にもなりません。唯一絶対の真理以外提示するな、と?
>実際、誤りでしょう。
では、誤りであることを例をあげて証明して下さい。
というより、なんで断言できるかなあ。科学的実績がなければ科学データのからむ場面で発言に重みがなくなるのは理の当然ではないですか。
>そういう安易な考え方が正しくないのは、第五世代コンピュータ計画の失敗でよくわかったと思ってましたが。
エビデンスの意味わかってますか?
第五世代コンピュータ計画は企業も大多数の科学者も最初から相手にしていないものをほとんど個人の趣味プロジェクトで進めたものです。エビデンスなど最初から考えてなかったのです。
すでに有用性のエビデンスを持っているスパコンとは比較対象にならないです。
ただ、そのことと今回の次世代とは必ずしもきちんとつながっていないので。
世界最速級の開発に文句が出たわけではないですし。
地球シミュレーター2がTop500の30位あたりにいるのですが、ノード数が極端に少ないのが目を惹きます
133. 杉山真大
— December 6, 2009 @23:29:49
http://mathsoc.jp/proclaim/proclaim20091204.html
で、この声明文系の学会は全く入っていなくて、理系の学会ばかりなんですよね。しかも、従前の科学技術立国バリバリの発想。大阪府立大の文系切捨てといい、何かエゴとしか思えなくなっているのですが。
ただ、依然として「何が問われたか」をきちんと理解せずに、「仕分けはけしからん」になっているようで、残念です。
それがゆえに「エゴ」に見えるわけですよね。
毎日、このブログを楽しみに読んでいます。
後でニュースで菊池先生の顔を見て気づいたのですが、
フォーラムの終わりに一緒のエレベーターに乗っていたのが
菊池先生だったので、なんだか感激してしまいました・・・!
さて、私は科学の世界とは程遠い普通のOLですので
スパコン予算の問題に関しては、
「予算削減なんてして、日本は大丈夫?なんとなーく不安だナ。。。」
というレベルの人間です。
ただ、12月4日付けの朝日新聞、25面に載っていた
中村維男先生の『次世代スパコン 計画をゼロから立て直せ』を
読んで、スパコンが抱えている問題をちょっとだけ理解できました。
<古い記事ですいません。
asahi.comにはもう、この記事の記載がなかったので
URLを貼れませんでした。>
要は、スパコン計画が今抱えている問題は、
1)大規模なシステムだし、お金をかけるだけに、
汎用性に対する計画をもっと持たないといけないよ。
今のままじゃ広く世間に使ってもらえませんよ。
2)たとえ「えいやー!」で無理矢理、世界一を
実現できたとしても、今の設計では、すぐに抜かれます。
どうせやるんだったら、飛躍的に性能を高める設計を
今一度、考え直しましょう。
莫大なお金をかけているんですからね。
こんな理解でよろしいのでしょうか?
みなさん詳しそうなので、易しく、優しく教えてください。
余談ですが、私のような無知なOLでさえ、
今回の仕分けをきっかけに、
「日本の科学技術の未来、心配だワ〜!」と考えるようになったわけですから、
事業仕分けの結果、ある意味正解なんでしょうね〜!
(1)はビジョンの問題なので、逆に「地球シミュレーター」のように主目的を決めてしまうというのもひとつの道ですね。
137. moorhen — December 7, 2009 @17:48:31
> 大阪府立大の文系切捨てといい、何かエゴとしか思えなくなっているのですが。
本筋とは違いますが、何か誤解があるようなので一言。
大阪府立大学の理系が生き残るために文系を潰そうとしている、というイメージを持っていらっしゃるのかも知れませんが、それは全然違います。
大阪府戦略本部会議の議事概要
http://www.pref.osaka.jp/kikaku/senryaku/2122giji.html
からもうかがい知ることができますが、文系廃止は、大阪府の意向に沿った案です。今回の改革は「理系偏重」(というより応用科学偏重)ではありますが、理系の「エゴ」ではありません。
138. 下から目線 — December 8, 2009 @03:30:24
>>実際、誤りでしょう。
>誤りであることを例をあげて証明して下さい。
例えば、アメリカのブッシュ政権が地球温暖化対策に後ろ向きだったこと。
>科学的実績がなければ科学データのからむ場面で
>発言に重みがなくなるのは理の当然ではないですか。
地球温暖化否定論には科学的実績があったでしょうか?ないでしょう。
しかしながら、それには一定の支持がありましたよ。
139. 下から目線 — December 8, 2009 @03:39:38
>そこには地球シミュレーターショックも大きい。
>ただ、そのことと今回の次世代とは必ずしもきちんとつながっていないので。
多分、本当のところは、スパコン開発そのものに対する疑義ではなく、
「これで本当に目標とするスパコンがつくれるのかい?」という疑義かと思うんですよ。
そういう意味では
「いまの計画で大丈夫だ!」
という主張に対する"エビデンス"というか
"コンフィデンス"はないのかと。
計画で大丈夫だという確証があるかないかを問うたのが、例の「リスクヘッジ」発言でしょう。あれに対して「がんばります」としか答えられなかったから、要するに「エビデンスはない」なんです
141. 技術開発者 — December 8, 2009 @08:14:07
>余談ですが、私のような無知なOLでさえ、
>今回の仕分けをきっかけに、
>「日本の科学技術の未来、心配だワ〜!」と考えるようになったわけですから、
>事業仕分けの結果、ある意味正解なんでしょうね〜!
科学技術の未来に限らず、不安なものは世の中にいっぱいあるんですけどね。なんていうか、「安心したい」だけで動くと破綻しちゃう面もあるんですね。私は科学技術なんてのに、自動車の任意保険と同じ様な面を感じたりするんですね。もしも事故が起こったら、相手が高い高級車だったら、事故の相手が死んだり大けがしたら、その相手が高額所得者だったら・・・なんて考えて、対物・対人は無制限にして、ついでに同乗者も無制限にして、ひょつとして友人に運転して貰うかもと家族限定とか年齢制限も付けなくて、とかなり高い保険料を毎年かけながら、事故もなく掛け金は捨てていく、なんてね。 でもって、何か小さな対物事故でもやって、「保険に入っていて良かった」と思うけど保険使って等級が下がって掛け金が増えたのを機に見直してみると、対人・対物無制限は必要だけど、ほとんど家族以外に乗せないのに同乗者無制限はやりすぎだ。家族の他はまず運転しないから家族限定にしよ」なんて見直したりする訳ですね。なんとなく、今度の事業仕分けに近い気もするんですね。
まあ、家計に余裕があるとこういう見直しというのは起こらない物なんですけどね。家計が苦しくなると見直す動きも出てくる。ただね、別な所で「将来ビジョン」とか書いていますけど、なんていうかな、個々の家計の支出を見直すときに、家族のライフスタイルとか、将来設計みたいなものもきちんと考えるべきだろうと思うんですね。なんていうか「国の将来ビジョン」なんていうと、政治家が何を示すかみたいな意識に成ってしまうだけど、私が考えて欲しいのは国民一人一人の、「どんな国に住みたいのか、子供はどんな国で生きていって欲しいのか」から始まって組み上げていくものの様に思える訳ですよ。
142. かいもの — December 8, 2009 @10:13:13
> スパコン計画が今抱えている問題
ゆうこさんが家を建てるとします。
文科省:3000万円かかります。
ゆうこ:楽しみだわ。
文科省:2階建てになります。
ゆうこ:早くできないかしら。
次の日
文科省:事情があって1階建てになります。
ゆうこ:え〜〜〜〜?じゃあ、金額は安くなるのかしら?
文科省:やっぱり3000万円かかります。
ゆうこ:何かおかしいわ。
次の日
仕分人:本当に3000万円も必要なんですか?
文科省:(きちんと答えられない)
仕分人:1からやり直して、きちんと作ってください。
こんな感じ。
143. かとう — December 8, 2009 @11:13:20
未見なので知らないんですが、
中村維男先生の『次世代スパコン 計画をゼロから立て直せ』
って、そんな事が書いてあったのですか?
それはおいといて、スパコン問題について説明したって事ですか?
いずれにせよ、事業仕分けの所の話は間違ってます。
あと、例え中に出てくる「ゆうこ」さんは、どの立場?理研?
コンピュータ利用者?それらと無関係な国民?
たとえにも異議をとなえたい感じです。
>ゆうこさん
中村維男先生の記事自体未見なのですが、その記事の解説を
求められているのでしょうか?であれば、読んだ人が来るのを
待ちます。
それとも、「スパコン問題」自体の解説を求めてるのでしょうか?
>技術開発者さん
>私が考えて欲しいのは国民一人一人の、「どんな国に住みたいのか、
>子供はどんな国で生きていって欲しいのか」から始まって組み上げて
>いくものの様に思える訳ですよ。
別エントリに書きましたが、20-30代の人で、「子供は要らない」と
考えている人が約6割だそうです。
政治にビジョンが無いと言ってるけど、国民が将来ビジョンを必要と
してない風潮みたいです。
だから、政権交代が起こったのかと考え中です。
無定見ぶりを見せても支持率が下がらないのは、目先の事をやる
約束だけ守ってくれればいいと思ってる人が多いからなんでしょうね。
(別エントリで衆愚政治を皮肉ってらっしゃいましたが、ほんと衆愚
政治ですよね。)
144. Isshocking — December 8, 2009 @12:05:05
>政治にビジョンが無いと言ってるけど、国民が将来ビジョンを必要と
してない風潮みたいです。
それは違うと思いますよ。
例えば、ラーメン屋でラーメンを食べれば、そのラーメンが自分にとってうまいか、うまくないかはすぐわかる。
でも、じゃあ自分にとってこれが最高!というレシピを作ってラーメン屋に作業手順を指示して最高のラーメンを作れるかというと、できない。
ましてやラーメン屋の経営まで含めてレシピに責任を持つとなると、ちょっとね。
> 要は、スパコン計画が今抱えている問題は、
を書いています。『中村維男』は一切関係ありません。
> いずれにせよ、事業仕分けの所の話は間違ってます。
1200億円という金額は、事業仕分けでしっかりと論点になっています。
146. かいもの — December 8, 2009 @12:48:27
何か独自のアンケート、聞き込みなどして解析されたのでしょうか?
それとも根拠の全く無い決め付けでしょうか?
147. かいもの — December 8, 2009 @12:53:20
マスコミの偏向報道は、いろいろと問題になっていますが・・・
148. 技術開発者 — December 8, 2009 @12:45:09
>政治にビジョンが無いと言ってるけど、国民が将来ビジョンを必要と
してない風潮みたいです。
>だから、政権交代が起こったのかと考え中です。
う〜ん。政権交代に関しては少し違うかな、もともとの自民党政権にしても「場当たり政策」をやってきた訳ね。場当たり政策とビジョンの有る政策の何が違うかというと、政策後の評価の基準が違うわけです。場当たり政策だと、その政策の直近の効果の評価だけど、ビジョンがあるとそのビジョンに対する達成度が求められるからね。でね、実のところ場当たり政策の方が「腐敗しやすい」のね。その場しのぎの効果を上げとけば、その後は皆が忘れてくれるわけで、長期的にビジョンに対する達成度という評価にサラされないからなんだけどね。でもって国民は「腐敗に怒って政権を交代させた」様に見えるのね。
或る意味で、国民が「ビジョンなんて無い」という事に慣れすぎてしまっているので、腐敗の原因の一つにビジョンによる評価がないと言うことにも理解出来なくなっている気がするのね。だから、腐敗には怒っても、ビジョンを求める動きには成らないと言うところかな。
149. 技術開発者 — December 8, 2009 @12:56:01
なんていうかな、ラーメン屋ならそれぞれの人が「旨い」と思うラーメンを棲み分けできるよね。こってり味の好きな人はこってり味のラーメン屋に行き、あっさり味の好きな人はあっさり味のラーメン屋にいく。でもね、国民にとって国は一つだからね(とりあえず)。なかなか気に入らないからといって、別な国にもいけないものです。ビジョンを求めるというのは、或る意味で政治という一軒しかないラーメン屋にそれぞれが、「自分が旨いと思うラーメンはどういう味か」を表明することでもあるんですね。こってり味の好きの人が多くて「こってり味がおいしいと思うぞ」という声が多くなることで、ラーメン屋がこってり味を工夫したり、あっさり味を望むお客が「あっさり味」と注文して、そういうお客が多ければ、ラーメン屋があっさり味になったりする訳ね。私が「国民がビジョンを求めない」というのは、お客が「こってり」も「あっさり」も言わずに「旨いラーメン」を求めることに似ているかも知れません。
例えば、国民は「生活しやすい国」と望んだとしますね。私は「まあ、あまり貧富の格差が無い国の方が生活しやすいな」と思うかもしれないし、別な人は「アメリカンドリームみたいに、自分の才覚さえあれば、ボーナスが100億円貰える国が生活しやすい」と思うかも知れません。でもどちらもが、そういう自分にとっての住みやすさとは何かをはっきり出さずに「生活しやすい」だけ言ったなら、政治家が思う「生活しやすさ」でやるしか無いと言うことです。
>例えば、アメリカのブッシュ政権が地球温暖化対策に後ろ向きだったこと。
だから、当時から他国から批判され続けたのではないですか。それに、温暖化対策の国際枠組みへの特定の参加方法に消極的だったのであって(外交折衝それ自体は科学ではないですね)、温暖化を否定していたことはないはずです。
>地球温暖化否定論には科学的実績があったでしょうか?ないでしょう。
しかしながら、それには一定の支持がありましたよ。
なんの説明をしたいのかよくわからないな。否定論にも科学実績はありますよ。こういうのは要素技術というか、部分的な科学知見を取捨選択して全体像を組み上げるわけですが、その取捨選択に恣意性が高すぎると予測もあてにならない。
部分的にでも筋があれば、そりゃ「一定の支持」はあるでしょうが、それがなぜ「科学実績がなければ・・・」の反論になるのでしょうか。
>「いまの計画で大丈夫だ!」
という主張に対する"エビデンス"というか
"コンフィデンス"はないのかと。f(--;
やっぱり「エビデンス」の用語使いを誤解してますよ。
エビデンスというのは計画実行時の検証に出てくる「確定事実」ですよ。予測とか期待、推理は含みません。
「コンフィデンス」だけにしておいてください。
151. かとう — December 8, 2009 @15:13:13
>
>「子供は要らない」→将来ビジョンが無いというのは
>何か独自のアンケート、聞き込みなどして解析されたのでしょうか?
>それとも根拠の全く無い決め付けでしょうか?
根拠のまったく無い決め付けです。
1.「子供は要らない」
2.「自分が死ぬまでの問題(例として年金問題)には興味がある。
しかし、自分が死んだ後は、子孫は居ないので、無関心
3.「将来ビジョンなんてどうでもいい」
って三段論法です。
152. かとう — December 8, 2009 @17:04:37
>>政治にビジョンが無いと言ってるけど、国民が将来ビジョンを必要と
してない風潮みたいです。
>それは違うと思いますよ。
すいません。混乱させてしまいました。
上でかいものさんに書いた様に、「長期的(50年、100年後)ビジョン」
の話をしてました。
子孫の事を考慮しなければ、未来(紛らわしくないように、単語を変
えます。)の為に、現在の我々の世代で我慢しておこうという考えは
無くなってしまう、という事を心配した発言のつもりでした。
153. ゆうこ — December 8, 2009 @17:23:10
技術開発者さんの話にめちゃくちゃ納得してしまいました。
本当にこのブログは考えさせられることが多く、
為になります〜!
個人的には、私がもし母親になることがあれば、
自分が生活するお金を最低ラインまで減らしてでも、
子供たちの未来の為に投資してあげたいと思いますね。
この国もそんな大人たちが増えるような国になってほしいなと願います。
あと、中村さんの記事だけにこだわっているというわけでは
ありません。
みなさんの目線から見たスパコンの問題点と、
自分があの記事を読んで、
やっとこさ捉えられたスパコンの問題点に相違がないか、
一度、確認してみたかったのです。
なにせ私はゆとり世代ですので。。。
読解力に自信がないのです。
154. かいもの — December 9, 2009 @15:11:28
http://anime.geocities.jp/tougeki_blue/a.html
わざわざありがとうございます。
感謝します。
ほんですいません。。12月3日(木)の朝刊でしたね!
お恥ずかしい限りです。。。
156. Isshocking — December 10, 2009 @00:30:28
>中村維男先生の『次世代スパコン 計画をゼロから立て直せ』が引用されているサイトを見つけました。
うーん、スクラップ・アンド・ビルドせよ、ですか。
研究だけならそれでも良いのですが、実用目的にも確実な成果が求められるので、難しいところです。
CPUのアーキテクチャを全く新しくしてしまうと、OSとコンパイラ、ライブラリもゼロから作り直しということになります。
何もかも新しくする、というのは工学的には望ましいことではありませんね。「動いたものは動かすな」という格言があるくらいです。
CPUのアーキテクチャを変える試みはいろいろありました。
シャープやNECのデータフロープロセッサ、インモスのトランスピュータ、リコンフィギュアブルプロセッサ、等々。
(ちょっと例が古いかな。現場を離れているので最近の傾向はよく知りません)
しかし、どのプロセッサもインテルのx86アーキテクチャという古くてごちゃごちゃの設計を実用性で凌駕することはなかった、という厳然たる事実もあります。
157. かいもの — December 10, 2009 @10:41:21
パソコン世界で言うとシリアルATAやPCI Expressだって一つの躍進だし、そういうのも含まれた話だと思います。
CPUのアーキテクチャに限った話をしても、地球シミュレータで動かすためにアメリカのソフトが移植されたっていう話もちゃんとあるし。
158. SERG — December 10, 2009 @12:19:09
それはさすがにどうでしょうかねぇ。
過去を振り返ると、例えばDECのアルファ、MIPS、SPARC等のRISC系のCPUのほうがはるかにまともだったと思います。同じインテルの860というのもありましたか。
そもそも、x86と言っても初期のころとは中身はまったく別物と言って良いのではないでしょうか。
実用性という点では単にコストの問題がすべてで、半導体は(キラーアプリケーションがあって)数さえ捌ければ勝ちということで、スパコンのような科学技術計算用途のものとPCは別の話だと思います。
蛇足ですが、リコンフィギャラブルでも浜田さんはGRAPEのFPGA版でかなり性能を出していました。
159. Isshocking — December 10, 2009 @21:07:40
>過去を振り返ると、例えばDECのアルファ、MIPS、SPARC等のRISC系のCPUのほうがはるかにまともだったと思います。同じインテルの860というのもありましたか。
日立のSH4も混ぜといてね。
まともはいいんですが、同世代の同一クロック、同一アプリだとx86系より性能優位、競争優位だったケースはなかったんじゃないかと思います。
Wavelet変換とか電力網系統解析とかで比較したことがあったのですが。
RISC系ではクロックとパイプラインキャッシュ容量の絶対的な優位性がCISC系に対する優位性として必要なのですが、クロック速度もメモリ速度も頭打ちになっているので、速度差はあまりなさそうです。ストレージはいわずもがな。
だいいち、Pentium,Xeonでも主要な命令は1クロックで実行されるので、RISCの単純実行命令の優位性はほとんどないと言っていいんじゃないかと。
スパコンのTop500でもXeonとかOpteronベースのが実に多い。
ちなみに、Sparcマシン(ちょっと古い)と80860ボード(かなり古い。クロック25MHzくらい)を持ってます。
>そもそも、x86と言っても初期のころとは中身はまったく別物と言って良いのではないでしょうか。
いや、コンピュータアーキテクチャというのはそういうことでもないので。
単にレジスタが増えたとかバス幅が広がったか、命令が増えたかということではないです。
例えば、Pentiumには未だにリアルモードがあります。
めた、レジスタが汎用レジスタでなく、レジスタ毎に使える命令と使えない命令があります。命令に直交性がないのですね。
386のバグ、リアルモードからプロテクトモードに移行してセグメントレジスタでページサイズを変更し、リアルモードに戻るとページサイズの変更がそのまま生きている、という仕様もいつのまにか正式な仕様として今でも残っています。
FPUレジスタの数が少なく、パラメータがスタックメモリ経由でしか渡せない、というのも変わってません。
問題になっている次世代はSPARC64ですね。IBMはPower7で10PFLOPSを目指すとアナウンスしていますし、PCと同じチップではがんばりきれないのでは。
1コアで見れば圧倒的に速いのはNECのベクトルですよ。Top500のリストにコア数も出ていますが、地球シミュレータのコア数は桁が違います。
161. かいもの — December 10, 2009 @21:48:42
まあ、こんなのは噂ばっかりなんですが。
163. アルビレオ — December 11, 2009 @08:35:07
x86プロセッサでも命令デコーダから先の演算コア部分ではRISCプロセッサとそう大きな差があるわけでもなく、RISC/CISCはもはやアーキティクチャの違いというより命令セットの差でしかないでしょう。
命令体系に直交性が無いのもデコーダより手前の段階までの話で、x86命令のレジスタ名は演算ユニットから見れば単なるラベルであってプロセッサ内部のレジスタと直接結び付けられてはいません。
リアルモードやFPUの部分も過去の互換性を引きずっているだけで、それ以上の必要性があって残しているわけでもないですし。
今のx86プロセッサはRISCと大差ない演算コアに、x86として振舞うための命令デコーダやメモリ管理ユニット、FPU命令実行ユニットなどをゴチャゴチャ積み込んだものといっていいのでは。
>Pentium,Xeonでも主要な命令は1クロックで実行されるので
それももう過去の話です。
今は命令デコード後に実行順序を並び替えたり可能であれば複数の演算ユニットで同時実行しているので、命令あたりのクロック数というのは統計的にしか表せません。
>RISC系ではクロックとパイプラインキャッシュ容量の
>絶対的な優位性がCISC系に対する優位性として必要
演算コアの設計にはそれほど大きな差が無いのだから、どちらもクロックやパイプラインで優位に立たなければリードできないというだけの話だと思います。
そのため需要、市場の大きさからx86プロセッサの方が投入できる開発リソースが大きくてリードしただけで、別にアーキティクチャの本質的な構造が優秀だったわけではないでしょう。
単純に同クロックで同じパイプラインの長さを持つと仮定すれば、複雑な命令を内部命令に変換する作業が入る分x86プロセッサの方が不利になります。
でもx86はパイプラインを長くする力技でそれも乗り越えていった。
それに対してRISCの方は、元の命令が単純なのであまりパイプラインを長くしてもメリットが少ないわけです。
結局RISCに勝ったのはCISCではなくx86で、x86の「市場の大きさ」が結果的に性能面でもRISCを凌駕したという話になるのではないでしょうか。
164. kurita
— December 11, 2009 @09:54:16
Intel の技術で PowerPC を作ってくれればいいのに...と、かつて妄想しました。
> 1.「子供は要らない」
> 2.「自分が死ぬまでの問題(例として年金問題)には興味がある。
> しかし、自分が死んだ後は、子孫は居ないので、無関心
> 3.「将来ビジョンなんてどうでもいい」
「子供は要らない」と要約してしまうと色々語弊があると思うのですが、いかがでしょう?
元の調査というのはこれですよね。
http://www8.cao.go.jp/survey/h21/h21-danjo/2-2.html
設問は「結婚しても必ずしも子どもをもつ必要はないか」となっています。
面白いのは、「子供あり」の属性の人の4割が「結婚しても必ずしも子どもをもつ必要はないか」という問いに賛成しているんですよね。つまり、この問いは「自分が要ると思うかどうか」という問いではないということです。
僕は、
「先のことに明るい見通しがない」→「必ずしも子供をもつ必要はない」
「先のことに明るい見通しがない」→「もっと先のビジョンなんて考える気にもならない」
ということなのかなと考えてます。
166. かとう — December 11, 2009 @11:37:48
はい。その内閣府調査です。
指摘されて再考しましたが、指摘通り、だいぶ意味が変わってますね。
ご指摘の通り、訂正させて頂きます。
167. tadys — December 11, 2009 @11:56:29
>それももう過去の話です。
この辺の話は下記が参考になるでしょう。
http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20070916#p1
CPUといえばパソコンを思い起こす人が多いでしょうが
パソコン以外にCPUを使用した製品は世の中にあふれかえっています。
少し複雑な動きをする製品にはCPUが使われているといって間違いありません。
それらのほとんどはx86ではありません。
少し古い資料ですが
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0115/arm.htm
これによると
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携帯電話機の出荷台数はPCの出荷台数よりもはるかに多い。2006年の全世界の携帯電話機出荷台数は9億9,000万台であり、2007年には10億1,000万台に達しようとしている(アイサプライ調査)。これに対してPCの全世界出荷台数は、2007年に2億5,000万台になると予測されている(Gartner調査)。PCの4倍の出荷台数が携帯電話機の出荷台数というのが現在の状況である。
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その携帯電話に使われているCPUはほぼARMプロセッサになっています。
数から言えばx86よりARMプロセッサのほうが成功しているといえるでしょう。
168. nabe — December 11, 2009 @15:10:43
確かにtop500.orgのページにあるES2のcore数は桁違いに小さいですね.でもES2のこの数字はCPU数です.SX9のCPUにはベクターパイプラインが8本あるので,core数は8倍にするべきじゃないかと思うのですが,違うのでしょうか?
#top500.orgは勘違いをしているような気がするのです.
もしそうだとすると,core当りの性能は最新XEONとそんなには違わない性能に見えます.
#私はベクターはほとんど知らないので,単なる頓珍漢なら申し訳ありません.
マルチコアだと、L1キャッシュくらいまでは独立なCPUの集まりですけど、ベクトル・プロセッサーはそうではないので。
>Isshockingさんの見方はソフトウェア側からの視点になっているのでかみ合っていないだけのような気がします。
というより、わたしがいいたいのは、「スクラップ・アンド・ビルド」が「次世代スパコン」についてそんなに有効な手法なのか、という疑問をのべたまでで、x86アーキテクチャは、「こんなごちゃごちゃのアーキテクチャでも勝負になっているのは、基本アーキテクチャの問題ではないのだろう」ということを例示したつもりだったのですが。
何かちょっと原理論争のようになってきましたね。それは本筋ではないのでやめときましょう。
中村雅男氏の論は研究者の立場で出されたのだと思います。しかしながら、スパコンはそれ自身研究対象であると同時に実務に供する道具でもあります。また、(計画があるかどうかわかりませんが)よりリファインした状態で輸出し、外貨を稼ぐビジネス手段でもあります。
少なくとも「今の用に間に合う」という担保なくして議論は成立しないと思います。
171. Isshocking — December 11, 2009 @19:00:11
「基本アーキテクチャの問題ではないのだろう」=>これはもちろん、既存技術の延長として考える限り、です。
光インターコネクトで外部メモリがまるごとレジスタセットとしてシームレスに使えるようなとんでもない技術革新は考慮してません。
172. Isshocking — December 11, 2009 @19:08:00
>Intel の技術で PowerPC を作ってくれればいいのに...と、かつて妄想しました。
わたしの認識だと、あれはパチンコ台の制御用CPUです。
173. Isshocking — December 11, 2009 @19:10:01
ああ、もちろんアルビレオさんのおっしゃる動作解説はその通りです。
174. SERG — December 11, 2009 @19:38:24
「こんなごちゃごちゃのアーキテクチャでも勝負になっている」のはPCという巨大市場を抱えているからだと思うのです。
数値計算専用ならば、そこまでタフな互換性は必要ないと思いますし、例えになっているのかな?と思った次第です。
余談ですが、SH4にはかつてお世話になりました。なにせチップ単価数千円だったので、金欠でも大規模なマルチプロセッサシステムが作成できました。
これももともとセガのゲーム機用だから安価だったわけで、さすがに倍精度の計算は性能的にダメでしたが仕方ありません。
流用というなら昨今流行りのGPGPUも他分野で商業的に成功したものの流用でしたか。
で、やっぱり本当に大規模な科学計算をするなら、PC用のチップじゃなくて、ちゃんとそれ用に作ったほうがいいと思うんですよ。SPARC64VIIIfxでもPOWER7でもベクトルでもいいですが。
GPGPUは今のところ倍精度が弱いし、エラーコレクションも・・・なので、使い方しだいでしょう。
PlayStation2が出て速い速いと話題になった頃、牧野淳一郎さんが、浮動小数点の丸めが普通じゃないからだめだと言っておられたのが印象に残っています。
176. SERG — December 12, 2009 @00:53:33
いろいろやってみてますが、他からの流用してくると、程度の差はあれ、どこかしら「帯に短し、襷に長し」の感は否めません。
やはり、私も
> ちゃんとそれ用に作ったほうがいいと思うんですよ
ということなんだと思います。
それと、PCクラスタを除いて、用途(流すプログラム)をかなり絞り込む必要もありました。
PCクラスタでもネットワークトポロジーを問題依存にして凌いだりしたので同じことなのかもしれません。
177. kurita
— December 12, 2009 @02:00:54
うぅ、日本じゃそんなところに身の置き所を... 最新鋭ステルス機 F-35 とパチンコが同じCPU アーキテクチャを使用しているというのもスゴい気がしますが。
もともとは(もちろんご存知でしょうけど)、POWER アーキテクチャの廉価普及版(POWER to the PC ♬ )だったのです。 本家は7代目がまだがんばっているようですけど。
パソコン用よりも組み込み機器用の方が数も出るので、結局ひとつのファミリー内でも開発はそっちの方に注力されてパソコン向け市場からは消えてしまったわけですが。 そういえば CELL も PowerPC の系譜ですね。
178. Isshocking — December 12, 2009 @02:13:05
>いろいろやってみてますが、他からの流用してくると、程度の差はあれ、どこかしら「帯に短し、襷に長し」の感は否めません。
それが、CPUだけでは済まなくなるから(メモリ、ストレージ、インターコネクト)巨額の予算が必要ということになる、と。
その他にあまり表に立たないコストとして、実用運営での信頼性を担保するための寿命試験というか故障率推定のための各種試験があります。これがきちんとやると意外と金がかかる。
179. Seagul-X — December 12, 2009 @09:29:20
NEC 技報の SX-9 の解説を見つけました。
こちらはハードウェア:
http://www.nec.co.jp/techrep/ja/journal/g08/n04/080403.html
こちらは言語処理系:
http://www.nec.co.jp/techrep/ja/journal/g08/n04/080411.html
これを読んで私が受けた印象は、変な形容ですが「ベクトル演算のスーパースカラ実行」です^^;
それが正しいなら、2-way のスーパースカラプロセッサが 2 core にはならないように、SX-9 も 8 core にはならないと考えるべきじゃないかと思います。
もっと細かい話ですが、ベクトルパイプラインは全部で 48 本!あって、機能の違う 6 本をひとまとめにして 8 セットとしているようです。
>うぅ、日本じゃそんなところに身の置き所を... 最新鋭ステルス機 F-35 とパチンコが同じCPU アーキテクチャを使用しているというのもスゴい気がしますが。
私もパチンコに使われていることは知りませんでしたが、ネットワーク機器など速度が必要な分野での組み込み用に PowerPC や MIPS がよく使われていたと思います。
最近 ARM も高速版をいろいろ投入してきていますが、すこし前まではそういった分野があまり得意でなかったので。
tadys さん、
ARM はそこそこ性能が出るわりにコアが比較的小さく消費電力が少ないのが特徴で、コードサイズが小さく済む命令体系や IP コアとして供給する方針とあいまって携帯電話にちょうどいいプロセッサとして普及したんですね。
ARM は一応 RISC に分類されているようですが、個人的にはレジスタが少ない、命令体系があまりシンプルでない、などの理由で RISC に入れたくないです。けっして嫌いじゃないですけど。
182. nabe — December 13, 2009 @12:16:04
ありがとうございます.
きくちさんが言われるように,一つのスカラー部と8つのパイプラインからなるベクター部が一体として駆動しているので,その一体を単位とする,というのは理解しました.
またそれが,Seagul-Xさんの言われるスーパースカラーと同等という見方だと思いました.
ベクターパイプライン間のデータ共有はどうしているのかなぁ?と思っていたのですが,Seagul-Xさんが紹介してくださったハードウェア解説の
>ベクトルパイプ間相互のデータ転送においても、100Gバイト/秒の転送性能
を見て,納得しました.
183. Isshocking — December 13, 2009 @22:46:19
>私もパチンコに使われていることは知りませんでしたが、ネットワーク機器など速度が必要な分野での組み込み用に PowerPC や MIPS がよく使われていたと思います。
パチンコは、もちろんネットワーク機器で間違いありません。
>ARM は一応 RISC に分類されているようですが、個人的にはレジスタが少ない、命令体系があまりシンプルでない、などの理由で RISC に入れたくないです。けっして嫌いじゃないですけど。
レジスタが少ない? 30本の汎用レジスタですよ。
http://infocenter.arm.com/help/index.jsp?topic=/com.arm.doc.dui0204ij/CEGIBCCG.html
PowerPCとMIPSはそれぞれ32本ですから少ないといえば少ないには違いないですが。
命令体系がシンプルでないのは6502の命令をそのまま引き継いでいるからですね。きっとゲーム用のセットトップボックスでの使用を想定したのでしょう。
きくちさん:
>負荷の高くないOSなら、充分に実用的です。
割り込み処理がちょっと便利(MIPSと比較するとわかる)にできているので、シンプルな割り込みの処理が高速です。
ユーザー数からLinuxで使われる場合も多いですが、Linuxのタスクスイッチングはごっそりメモリアクセスする上、レジスタの数を有効に使っているとは言い難いため(もとが386向けだから)、ARMの特徴を有効に使っているとは言い難いですね。
184. Seagul-X — December 14, 2009 @08:22:46
あの〜、これでも私、毎日アセンブラで組んでるとまではいかないですが組み込み系で ARM プロセッサでの開発もやってる者です。ご紹介のページに
>現在のプロセッサモードに応じて、一度に 15 本までの汎用レジスタが認識されます。
とありますよね。実質プログラムから使えるのは r0〜r12 の 13 本、さらに THUMB モードだと 8 本まで使えるレジスタが減ります。
シンプルでない命令体系というのも、THUMB 命令の存在を筆頭に加減算とシフトを一命令でできる便利だけど変な命令があるとか、命令の条件実行ができるけれど THUMB モードにはないとか、6502 云々とは直接には無関係な話です。開発思想としては引き継いでいるのかもしれませんが。
この辺の話題だと VFP でベクトル演算ができるけどベクトル長がすごく短くて速度出なくて苦労するとか、いくらでも書けることがあるんですが、エントリの本題からかなり外れてしまったので、これくらいにしておきます。
たまたまGoogleの検索結果で辿り着いたところ、以下の文を発見しました。
>会場からの質問者の中に、きちんと仕分けの議論を踏まえたかたがおられて、僕の考えでは、あれが当日もっともまともな発言でした。しかし、残念ながら影響力はなかったようです。
恐らく、私のことを指してらっしゃるのだと思います。仰る通り、影響力はほぼ皆無でした。一次ソースに当たらず感情的な表現を並べられる先生方に対し、僭越ながら少しは舵取りできるかと思ったのですが、あの会の性質と時間制約のため、私の質問への返答は、残念ながらはぐらかされて終わってしまいました。本当は1次会で野依さんにあの質問をしたかったのですが、司会者から指されなかったために質問できずじまいで、マスコミの全くいない2次会のほうでの発言になりました。1次会で発言できていれば、マスコミも取り上げてくれたかもしれません。
私は一介のPDなので、「影響力」という面ではほとんどありません。また、もし影響を与えるほどこの件に首を突っ込んだ場合、それが私の研究生活において果たして良い方向に作用するかはかなり不安がありました。貴重な研究の時間を使うことはもとより、現在の大学・研究機関での研究システムの問題点や、実際に予算を浪費しているような点を真面目に指摘するのは、組織に属するPDという立場では、対人的な不安を感じます。
私の周辺でも、やはり「事業仕分けなど暴挙である」という論調が多く、研究者といえども既得権益(←ご存知の通り、もちろんお金は儲かりませんが)にしがみつく、悪い意味で非常に人間的な集団なのだと認識しました。研究者は「知的エリート」であることに誇りを持って、自らこの歪んだ国の財政状況を打破するくらいの心意気でいるべきはずですが、いざ自分に火の粉が降りかかると、一次ソースを調べることもできなくなるようです。これは非常に残念なことでした。
日本天文学会の声明文も、他の声明文に比べるとなかなか良い仕上がりではないかと思います。
http://www.asj.or.jp/news/091203
(私の意見もいくらか反映して頂いています。)
参考まで、一連の騒動に関しての私の意見は、
http://d.hatena.ne.jp/oxon/searchdiary?word=%2a%5b%BB%F6%B6%C8%BB%C5%CA%AC%A4%B1%5d
にまとめてあります。