トヨタ自動車は13日、スポーツ多目的車(SUV)「レクサスGX460」の販売を一時停止する方針を明らかにした。米消費団体が発行するコンシューマー・リポート誌が、同車種に対して安全上の懸念があると指摘したことを受けた動き。
同誌は同車種について、状況によって横転する恐れがあるとし、「購入を控えるべき」車種とした。同誌の自動車エンジニア4人が最近行った緊急時の運転操作に関するテストで、2010年型のレクサスGX460に安全上のリスクを認めたという。
レクサスの広報担当者ビル・クウォン氏は、同社が日米でテストを再現すると述べ、週内に原因を突き止めたいとした。同氏によると、トヨタの車種の大半では、ブレーキや場合によってはスロットルを調整して横滑りを防ぐ車両安定性制御システムが、コンシューマー・リポート誌のテストで陥ったような状況を防ぐという。
高速道路交通安全局(NHTSA)の幹部からの電子メールによると、同局は13日にレクサスのドライバーに対し、「スピードを出しすぎず、強引に車体のコントロールを維持しようとしないよう」注意を促した。同局は、レクサスSUVの電子制御システムが安全基準を満たしているかどうか確認中だ。同幹部は「指摘されたような車体後部の横滑りは(電子制御で)避けられるはずだ」と述べた。
コンシューマー・リポート誌が「購入を控えるべき」車種とすることはめったにない。前回は2001年、ミツビシ・モンテロ・リミテッドに対してだった。
ワシントンの民間非営利団体(NGO)「センター・フォー・オート・セーフティー(CFAS)」のディレクター、クラレンス・ディトロー氏は、コンシューマー・リポート誌による今回の指摘について、「リコール問題がなければ、トヨタは簡単に克服できたはず」と述べた。しかし、現在は同社に対する訴訟が増えており、米議会の調査が続いていることから、「消費者の信頼が損なわれるだろう」という。また、今回の問題はソフトウェアの調整で修正できるとの見方を示したが、それはリコールにつながると付け加えた。
これに対し、クウォン氏は、修正個所を特定するには尚早だと述べた。「タイヤ、サスペンションあるいは緩衝器の可能性もある。(車両制御システムの)作動を早めるだけですむかもしれない」としている。
コンシューマー・リポート誌は何年にもわたりトヨタ車を推奨してきた。2月に発行した今年の自動車特集号では、環境対応車部門で同社のプリウスを、自動車全体では同社レクサスブランドのセダン「LS460L」を、それぞれベストカーに選んでいる。