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<2>私たちを置き去りにしないで社会に求める「理解」全国から講演の依頼が相次ぐ。「被害者がきちんと伝えれば、周囲もわかってくれる。そう信じて活動していきたい」と小林さん(東京・千代田区の日比谷公園で)=源幸正倫撮影
2009年9月、青森地裁。性犯罪を裁く全国初の裁判員裁判が開かれた。「性犯罪被害にあうということ」の著者、小林美佳さん(34)も、法廷に足を運んだ。被害者の一人として、裁判の実相を知っておきたいと思ったからだ。 2件の強盗 <Aさんの背後から包丁を突きつけ、「言うことを聞け。殺すぞ」と言って脅し……>。検察官の冒頭陳述が、自らの記憶と重なる。男の弁明を聞くうち、憤りと悔しさがこみ上げた。たまらず法廷を飛び出し、廊下で泣き崩れた。 翌日、被害女性2人が別室からの「ビデオリンク方式」で意見陳述した。〈一生傷を負ったまま生きなくてはいけないなら、いっそ死にたい〉〈許せない。女性として一番ひどいことをされた〉。一言一言が胸に刺さった。「男と同じ建物内にいることさえ、耐えられないはずなのに」 判決は懲役15年。2人の声が裁判員に届いたのか、求刑通りの厳刑だった。 それでも、小林さんは思う。「いくら刑が重くなっても、心の傷は消せない。振り絞る思いで語った2人の □■□
内閣府の08年調査では、無理やり性交された経験のある女性の62%が「恥ずかしい」「無駄と思った」と誰にも言うことができず、警察に相談したのはわずか4%だった。 警察庁は10年度、性犯罪被害者対象の「ワンストップ支援センター」を試験導入する。女性の負担を減らすため、病院に民間の支援スタッフと専門の警察官が常駐。事情聴取と診療、カウンセリングを1か所で行う。 だが、被害者は「まず捜査ありきなら、敷居は高いまま」と不安を漏らす。精神科医の小西 □■□
小林さんと交流する2000人の「仲間」も、警察に届けたのは1%に過ぎない。小林さんは「普通に生活することさえどんなに大変か、わかってもらえなければ、一歩を踏み出せない」と語る。 社会に何を求める? 世間との溝を感じた時、仲間にメールで問いかける。 あったかい気持ち 聞いてくれる人 理解 〈声なき被害者〉の叫びが、小林さんの背中を支える。 (2010年2月13日 読売新聞)
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