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きょうのコラム「時鐘」 2010年4月16日
また冬に逆戻り。うんざりする。いつまでこんな極端な日が続くのだろう
桜が満開の能登の海に、厳寒の波の花が舞う。雪の綿帽子をかぶる桜もある。見慣れぬ春に、体の変調を訴える人も目立つ。急激な寒暖の変化は、北極圏の寒気団のせいとも、海の温度の影響ともいわれる。原因が分かったところで、大自然が相手では、じっと耐え忍ぶしかない 年が明けてから、4月並みの暖かい日がしばらく続いた。相変わらずの暖冬か、と気を緩ませたが、甘かった。やはり春の扉は、そう簡単に開いてはくれない。とりわけこの地はそうである。だから、「北国の人は辛抱強い」と言われてきた。不遇の時、鈴木大拙も棟方志功もそう励まされた、と回想している 激しい不況風は、やっと勢いが衰えたという。が、まだ風の厳しさに苦闘する人は、周囲にいくらもいる。不況脱出の扉も、したたかに重いことを知らされる が、風の冷たさは同じでも、もう背を丸め、縮こまって歩いたりしない。もう少しの辛抱だと思えば、背筋は伸びる。そう思えば、人目を驚かせる雪中の桜も、美しく、頼もしく見える。 |