(CNNGo) 日本人の食生活に欠かせない海苔(のり)は近年、巻きずしなどの普及で欧米諸国でも知られるようになった。ところが、海苔を体内で消化できるのは日本人だけで、欧米人には必要な消化酵素がないとする研究がこのほど報告された。
仏ピエール・アンド・マリーキュリー大の研究者らが、英科学誌ネイチャーに発表した。チームは海洋植物から得られる代替エネルギーの研究中に偶然、海苔の成分を分解する酵素が人間の体内にあるのを発見した。しかも、この酵素を作る遺伝子は、日本人の消化器内の微生物にしかみられないことが分かったという。
DNA配列などから判断すると、この遺伝子は、海中の微生物から体内の微生物に「乗り移った」とみられる。海中の微生物は、海藻などと一緒に飲み込まれたと推定される。日本人は日常の食事で海藻類を特に多く取っているため、遺伝子が乗り移る現象が起きやすいのではないかと、チームの研究者は話している。
食物とともに摂取された微生物の遺伝子が、体内の微生物に取り込まれる可能性は、これまでにも指摘されてきた。しかし明確な事例が確認されたのは、今回が初めてとされる。