長嶋塾！！ミスターがＧ球場で２時間熱血指導

２軍の練習の視察に訪れた長嶋・巨人終身名誉監督（右）は守備練習で選手に直接指導する（左から中井、大田、円谷、寺内、１人おいて岡崎２軍監督）

　巨人の長嶋茂雄終身名誉監督（７４）＝報知新聞社客員＝が１５日、東京よみうりランド内のジャイアンツ球場を訪れ、大田泰示内野手（１９）ら２軍選手を熱血指導した。ミスター流にアクション＆ボディータッチを交え、守備と打撃の奥義を２時間かけて伝授。２００４年３月の脳梗塞（こうそく）発症後では初めてとなる本格的な技術指南に、スター予備軍は感激いっぱいの様子だった。

　日中の最高気温は７度。４月中旬とは思えない寒さを、ミスターの熱気が忘れさせた。午前９時４５分にＧ球場の室内練習場に姿を見せると、輪になったヤングＧへあいさつ。「みなさん、頑張ってください。さあ行こう」と声をかけた後、まずは岡崎２軍監督から現状の報告を受けた。

自らグラブをはめ大田〈５５〉らに教えた長嶋・巨人終身名誉監督

　視察の目的は、ファームの今を自分の目で確かめること。しかし、松井秀（エンゼルス）を球界随一の長距離砲へ仕立て上げた「育成の血」が黙ってはいない。長嶋“臨時コーチ”による魂の熱血指導は、守備編からスタートした。

　勝呂コーチが６人の内野手へノック。岡崎２軍監督とともに眺めていたミスターが、途中で選手に集合をかけた。捕球時の構え方や足の運びといった基本動作を一から教えるためだ。「上半身は柔らかく、おへそから下に力を入れるんだ」などとアドバイスして練習を再開。しばらくするとまた集合。これを３度繰り返した。

　時に選手のグラブを自分の左手にはめ、身ぶり手ぶりを交えながら懸命の指導。三塁を守る大田には、「もっと背筋を伸ばして」「目線をもう少し上げないと」「グラブを差し出す位置は、もっと体より前！」と声をかけ「実践サード学」を伝授した。

　続いて打撃編。フリー打撃が始まると「ミートもうまくて、飛距離も出せる」と見込んだルーキーの市川に熱い視線を送った。「ＯＫ！　ＧＯＯＤ！」と何度も繰り返しながらサムアップ。同じ新人捕手で育成の河野の潜在能力にもひかれた様子で、手袋をはずさせたうえ、手を触ってその大きさ、分厚さをダイレクトにチェックした。

市川（左）に打撃指導した長嶋・巨人終身名誉監督

　異例の特別講座は１１時５０分に終了。「大田、中井だけじゃない。２軍には素質のある選手がいっぱいいるね。一生懸命教えたから汗かいちゃったよ」と振り返った。

　Ｇ球場訪問は、２００８年８月２日の北京五輪の日本代表の合宿を激励に来て以来となるが、本格的に選手を指導するのは、脳梗塞に倒れた０４年３月以降では初めてだ。「あっという間の２時間だった。やっぱりオレは野球が大好きなんだ」と珍しくエキサイトした面持ちで締めくくった。

　◆長嶋さんの主な指導
  ▼０７年２月１６日　脳こうそくで倒れた０４年３月以降、初めて宮崎キャンプを訪問。ナインを前に「勝つ、勝つ、勝つ！」と猛ゲキを飛ばした。
  ▼０８年２月２４日　宮崎キャンプを訪問し、ソフトバンクとのオープン戦を観戦。試合前に直接、体を触って激励した坂本が２安打と結果を残し、「最高だ。頂点を目指して頑張ってほしい」と絶賛。当時まだ無名に近かった勇人がブレークするきっかけにとなった。
  ▼０９年２月２１日　宮崎を訪問してＷＢＣ日本代表対巨人の練習試合を観戦。大田との初対面を楽しみにしていたが、２軍落ちしていたため、実現しなかった。
  ▼１０年２月２１日　宮崎キャンプを訪問し、新人・長野の左胸に“神の手タッチ”。「体が強そうだ。自分の打つポイントを持っている」と称賛した。発奮した長野は直後のソフトバンク戦で攻守に活躍。