デイリースポーツ制定「2009年度ホワイトベア・スポーツ賞」の表彰式が14日、東京・千代田区の第一ホテル東京アネックスで行われた。バンクーバー五輪フィギュアスケートで銅メダルを獲得した高橋大輔(24)=関大大学院=は「来年の世界選手権で2連覇を目指す」と力強く宣言。さらには究極の“演技派スケーター”を目指すことを明らかにした。
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りりしき瞳は、もう次の夢を追っていた。「(五輪と世界選手権は)昔のことというか、いい感じで切り替えられてる」。本当なら高橋はバンクーバーで、現役に終止符を打つつもりでいた。ただ、シーズンを終え、芽生えたのは「まだ上を目指せる」という思い。2つの日本男子史上初の偉業も、今なら通過点と言い切れる。表彰式では「来年の世界選手権で2連覇を目指します」と、力強く宣言してみせた。
世界王者の肩書には、ピンときていない。それは世界選手権を欠場した五輪の上位2人(ライサチェク、プルシェンコ)と決着をつけられなかったから。「たぶんここ何年も勝ってない。意識はしますね」。そして「世界選手権は正直、イチかバチかだった。だからもう一度、重圧の中で勝ち取れた時に、本当の金メダリストになれる気がするんです」と、しっかり足元を見つめている。
世界選手権連覇、そしてその先にある目標は『究極の演技派スケーター』だ。「“別人なの?”っていうぐらい曲によって、違う姿を見せられるスケーターになりたい。究極的に言えば、ジャンプしないでも魅せられるのが理想」。五輪、世界選手権とも表現力を表す5項目の構成点では“世界一”の得点をマーク。それでも自分の演技に満足はしていない。
好きな役者談議になると、話が止まらなくなった。「勉強のためによくドラマは見ます。1番好きなのは、金城武さん。竹野内豊さんも好きですね。最近では北川景子さん。室井滋さんもすごいです」と、目を輝かせた。飽くなき向上心が、エースの進化を支えている。
まだ14年ソチ五輪挑戦は、明言していない。「やっぱり4年は長いんですよ」。かみしめる言葉に、実感がこもる。それでも1年1年の積み重ねの先に、3度目の夢舞台があることも否定はしない。「“もう現役はいいや”と思えたら、辞めるつもりです」。アスリートとして、アーティストとして、自らの究極の姿を追い求め、高橋はリンクに立ち続ける。