米アップルは現地時間14日、「iPad(アイパッド)」について、4月後半を予定していた日本など米国以外での発売時期を5月末に延期すると発表した。米国で予想を上回る需要があり、生産が追いつかない状態が続いているためとしている。日本では5月10日に発売価格を発表し、オンライン予約の受け付けを始める。
アップルは声明で、米国では今月3日の発売後、1週間で「予想をはるかに上回る」50万台以上を出荷したと強調。近く投入する高速の携帯電話通信網に対応したモデルにも多くの予約が入っており、今後数週間にわたって供給不足が続くと予想している。
アップルは、発売延期は日本の顧客らを失望させるかもしれないが「米国での大成功が理由と聞いて理解してもらえると希望する」としている。
消費不況のなか、米国でのiPadフィーバーはかなりのもの。同国では3日午前9時(日本時間同午後10時)から店頭販売されたが、ニューヨーク・マンハッタンにあるアップルストアの旗艦店には4日前の3月30日から人が並び始め、当日には長蛇の列ができ上がった。
店頭と同時にネット上でも販売したが、米メディアによると、当初の予約販売分は完売。米国のアナリストは「爆発的な人気を呼ぶのは確実」とはやし立てたが、その通りになった。
米調査会社フォレスター・リサーチによると、米国での電子書籍端末の出荷台数は2010年に600万台に達すると予想。それとは別に300万台のiPadが売れるとみている。
iPadは電子書籍に対応した大きめの画面が特徴で、インターネット経由で多彩な情報を取り込める。電子書籍分野では、ネット通販最大手のアマゾン・ドット・コムの「キンドル」や、ソニーの「リーダー」が先行しており、今後、iPadも加えた三つどもえの激しい競争が演じられることになる。
■iPad(アイパッド) 最近、大ヒットした米アップルの携帯電話「iPhone(アイフォーン)」に次ぐ主力商品として開発された。価格は499ドル(約4万7000円)からで、出荷台数は今年だけで300万台に達するとの予想も。同社は有料の音楽配信サイト「アイチューンズ」を成功させた実績があり、米インターネット小売り大手のアマゾン・コムとソニーがほぼ二分してきた米電子書籍端末市場の拡大に、新聞や出版社の期待が集まる。(共同)