来日中のキーティング前米太平洋軍司令官(退役米海軍大将)は朝日新聞のインタビューに応じた。普天間移設問題に絡んで、海兵隊の沖縄県内の駐留は「より好ましいが、絶対に必要というわけではない」と語った。
キーティング氏は昨年10月まで、太平洋軍司令官として在日米軍や第7艦隊を指揮下においていた。「現在の司令官の考えを代弁するものではない」と断ったうえで、「沖縄は訓練の機会、(すでに投入して回収できない)埋没費用を考えると(駐留場所として)都合が良い」と指摘。しかし「関東平野など他に受け入れ先があるのなら、どうしても沖縄でなければならないとは思わない。海兵隊が(日本に)前方展開できるのであれば、太平洋軍として異存はない」と語った。
それでも「沖縄の方が好ましい」とする理由については「現に今、駐留しているからだ」と述べた。「計1万8千人の海兵隊を、日本のどこかに移すのに必要な費用は、日米いずれも負担できないと思う」と述べ、現実問題として、沖縄県外に移転することは不可能との見方を示した。
普天間移設を含む再編合意については「徹底的な分析、慎重な調査、集中的な協議」をへてできたもので、日本で政権交代が起きても「継続するものと思っていた」とし、「その後の展開に驚いた。失望している」と語った。
現在、普天間移設に関する両国間の協議が難航していることに関しては、「日米同盟の劣化、弱さの兆候だと周辺諸国に誤解してほしくない」と話した。(編集委員・加藤洋一)