ここから本文エリア 自民、共倒れを懸念 民主、3人目難航も2010年04月14日 ◆参院選 第3極に危機感 夏の参院選に向け、東京選挙区(改選数5)で各党の動きが慌ただしくなってきた。民主党は支持率低下に悩みつつ、3人を立てる方向で調整中、自民党は新党「たちあがれ日本」など第3極の動向に神経をとがらせながら、2人擁立の方針だ。ほかに公明、共産、国民新、社民など各党の候補者が乱立する見込みで、激戦は必至だ。(渡辺志帆、須藤龍也、岡雄一郎) ◆「大変な激戦」 「新党は自民党の補完勢力とか、民主党批判票の受け皿と言われるが、東京選挙区は大変な激戦になる」 10日、新宿区であった自民党新宿総支部の定期大会。参院選に立候補する現職の中川雅治氏(63)はあいさつで、与謝野馨元財務相らが結成した「たちあがれ日本」の動きに、強い危機感を訴えた。 自民党は中川氏のほか、もう1人擁立する予定で、女性の新顔を軸に調整中だ。だが、たちあがれ日本が候補者を立てる方針を表明したため、保守票が割れ、自民党の2人が共倒れすることへの懸念が強まっている。都連内には「中川氏に絞るべきだ」との声もある。 たちあがれ日本の10日の結党記者会見で、「応援団長」を自任する石原慎太郎知事は「フレッシュな、あっと驚くような候補者を立てて参院選を戦う」と宣言。同党は「打倒民主党」を掲げ、保守層に加えて無党派層の取り込みを狙う。与謝野氏は「自民党を分裂させるつもりはない」との立場だが、自民党の都連幹部はこぼす。 「対抗しないと言うなら、参院選で候補者を立てないでほしいよ」 自民党は勢力を伸ばす第3極、みんなの党にも危機感を募らせる。同党も参院選候補者の選考を進めている。 11日の多摩市長選は、民主党などの推薦候補が2万1千票近くを獲得し当選したが、みんなの党推薦候補が約1500票差まで肉薄。自民党などが推した候補には約7千票の差をつけた。ある自民党都議は「自民党への批判票がみんなの党に流れたのは間違いない。このままでは参院選は相当厳しい」と語る。 ◆「多摩」で警戒 一方、民主党は現職の蓮舫氏(42)、小川敏夫氏(62)に加え、3人目の擁立をめざすが、人選は順調とは言えない状況だ。5日にあった都連の総会でも具体的な話は出なかったという。出席したある都議は「今の低い支持率で3人立てては、現職の落選もありうる」と焦りを隠さない。 党本部は、改選数が複数の選挙区では2人以上の擁立を徹底する方針で、改選数5の東京選挙区では3人立てる意向だ。だが、党関係者によると、「3人擁立」を主張する小沢一郎幹事長に対し、「現有2議席の確保が最優先だ」と難色を示す党幹部もいる。 たちあがれ日本の登場で保守票が割れ、自民党が苦戦することへの期待はあるが、多摩市長選で「善戦」したみんなの党への警戒感は自民党と同じ。民主党都連の幹部は「みんなの党は、脱官僚、地域主権など民主党と重なる政策が目立つ。参院選でも票が食われるだろう」と話す。「3人目は、ゴールデンウイーク前に決めたい。それより遅れると、選挙態勢に影響が出る」 公明党は現職の沢雄二氏(61)の後継として新顔の竹谷とし子氏(40)を擁立する。世代交代をアピールしたい考えだ。都本部の幹部は「知名度不足を克服するため、都本部所属の全議員が候補者になったつもりで戦う」。 共産党は、比例区選出の現職で3期目を目指す小池晃氏(49)を東京選挙区で擁立する。知名度の高さを生かして無党派層にも浸透を図り、2007年の前回参院選で失った議席奪回を目指す。都委員会幹部は「雇用対策や景気回復策など、民主党政権が有権者の期待に応えていない分野を重点的に訴える」。 国民新党は亀井静香代表が先月、元格闘家の前田日明氏(51)を擁立する方針を示したが、「現在は立ち消え状態で白紙」(党幹部)。今後も人選は続けるという。 社民党は衆院議員秘書の森原秀樹氏(37)を立てる。子ども手当など連立政権の福祉施策の実績を訴える構えだ。 幸福実現党は党総務会長の矢内筆勝氏(48)、維新政党・新風は党幹事長の鈴木信行氏(44)の擁立を決めている。 ◆予想される主な顔ぶれ 小川 敏夫 62 民現 弁護士
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