相続税なし
相続税 カナダ 0% 日本 50%(最高税率)は世界最高
日本の相続税の最高税率は、調査した国々の中で韓国を除き、どこよりも高い税率です(グラフ1参照)。調査した50カ国のうち、配偶者や子供が相続する資産にかかる相続税を平均化すると13%で、現在の最高税率は日本の50%です。通常、遠縁の者や血縁関係に無い者が相続する場合、より高い税率になることが多いです。調査した50カ国のうちアルゼンチン、オーストラリア、カナダ、中国、コロンビア、キプロス、チェコ共和国、エストニア、インド、インドネシア、イスラエル、ラトビア、リトアニア、マレーシア、マルタ、メキシコ、ニュージーランド、ポルトガル、ロシア、スロバキア共和国、スロベニア、スウェーデン、スイス、タイの24カ国は相続税を設けていません。残り26カ国の相続税平均税率は24%で、日本の相続税最高税率の半分ほどです。
表1 相続税 非課税国(調査対象国中)
アルゼンチン イスラエル インド インドネシア エストニア オーストラリア カナダ キプロス コロンビア スイス スロバキア共和国 スロベニア |
スウェーデン タイ チェコ共和国 中国 ニュージーランド ポルトガル マレーシア マルタ メキシコ ラトビア リトアニア ロシア |
【備考】表示されている税率は、配偶者または子供が相続した場合。それ以外の者が相続した場合、国によっては、より高い税率を課すこともある。税率は2005年のデータまたは公開されている最新のデータに基づく。ロシアのデータは2006年1月1日より有効。この表に記載されている国々は、調査した50カ国中、相続税が非課税となっている国である。 出典:プライスウォーターハウスクーバーズLLP,2005年 |
グラフ1 相続税各国比較表
貯蓄への影響
資本所得にかかる他の税金同様、相続税は貯蓄の利息を引き下げます。貯蓄は、経済成長に欠かせない生産性拡大の投資資金として必要であり、マイナス効果の程度を考慮しなくてはなりません。
資本コストへの影響
相続税は、事業の内部収益率である「資本のユーザーコスト」を引き上げます。その結果、キャッシュフローを市場収益利率に見合うように増やさなくてはなりません。
投資への影響
相続税は、所得税同様、投資における税引き後の配当を低減することになります。大手調査会社では、相続税が多少なりとも企業家努力に水をさすと提言しています。
雇用の影響
自営業者や企業家は、自らの税事情に敏感です。税率が上がると、優先順位の高い事項が優先されるため、追加雇用に対するリスクが高まり、結果雇用が減っていきます。
要約
このような高い税率によって起こり得るマイナス効果に対し、学識者や税務政策の専門家が相続税の恒久的な廃止を提唱してきました。この調査報告は、50の先進国および発展途上国における相続税の最高税率を比較しており、相続税が経済に与える影響を分析しています。
現行 | 改正案 | カナダ | ||
---|---|---|---|---|
各法定相続人の取得金額 | 税率 | 各法定相続人の取得金額 | 税率 | 税率 |
800万以下の金額 | 10% | 1,000万円以下の金額 | 10% | 0% |
1,600万円以下の金額 | 15% | 3,000万円以下の金額 | 15% | 0% |
3,000万円以下の金額 | 20% | 5,000万円以下の金額 | 20% | 0% |
5,000万円以下の金額 | 25% | |||
1億円以下の金額 | 30% | 1億円以下の金額 | 30% | 0% |
2億円以下の金額 | 40% | 3億円以下の金額 | 40% | 0% |
4億円以下の金額 | 50% | 3億円超の金額 | 50% | 0% |
20億円以下の金額 | 60% | |||
20億円超の金額 | 70% |