学校給食の民間委託に反対する横浜市従の取り組み
2003年6月
1.横浜の学校給食をめぐる状況
中田市長は2002年9月10日「よこはまリバイバルプラン」(よこはま再開発戦略の推進)を新総合計画として発表しました。
政策・財政・運営の各分野の3つの計画の中にある運営部門の「新時代行政プラン」に「緊急に取り組むべき課題」として重点課題を設定、「民間活力の活用」分野に「ごみ収集運搬・水道メーター検針・学校給食調理・市立保育所運営・公園管理などの民営化・委託化の着実な推進」として、「学校給食は15年度中に一部の小学校において民間委託を試行し、その検証を行いながら16年度以降の事業方針を策定する」と言う内容になっています。また、2003年5月15日に出された各局区運営方針の教育委員会の部門で「7つの方針」のひとつとして「学校給食調理の民間委託を2〜3校試行、安全面やコストの比較研修を行う」と発表し、支部に対しても民間委託試行について具体的考え方を「説明」しました。
市従はこの間「学校給食の充実と効率」のために、正規職員の削減(効率化)3点献立・個人トレイの実施(充実化)について合意し、直営を堅持するために職場ぐるみで努力してきました。この間の当局の対応はそうした労使合意を踏みにじるもので許せるものではありません。
2.長年にわたる学校給食支部の実績
横浜市従学校給食支部は一貫して子どもたちの健康を守り、食を通した教育を推進するべく安全で安心な給食を追求してきました。この間の主な成果は次の通りです。
(1)子どもたちの健康を守り本物の味を子どもたちに教えるため、「だしの素」等の化学調味料の使用をやめさせました。
(2)ベトナム戦争で使用された枯れ葉剤のかかったサンキストレモンの購入中止の運動を多くの市民団体と協力して取り組みました。ビラを配布するなどの努力が実り給食では使わなくさせました。
(3)青酸ガスで燻煙されたバナナを子どもたちの口には入れさせないと、「バナナの一本付け」の廃止を要求し、教育委員会の「日本経済の混乱につながる」とする回答を跳ね返し、フルーツ和えなどの皮をむいたバナナの使用のみにし、一本付けは廃止させました。
(4)日本の農業を守り、発展させるためにも「地場産の野菜を」という要求を20数年来掲げ、1998年から農協や産直の野菜を使えるように献立変更が認められました。 3.民間委託の問題点とはなにか
学校給食に民間企業を参入させることは「教育の一環として学校給食」が変質させられることです。
(1)低賃金のパート・非正規労働者を使い回し、食の専門性よりも企業の利益を最優先させるものです。昨今の食品業界の不祥事を見れば、子どもたちの健康や食文化の教育がおろそかになることは明らかです。
(2)職安法に基づいて、栄養士は調理員に紙面以外の直接指導はできなくなります。その上、調理現場で何が起こっているのかを知ることが不可能となり、万が一の事故を未然に防ぐことができにくくなります。
(3)他都市の状況
1)年に何回も民間の調理員が変わっています。これでは安定した給食を提供できません。また民間企業で採用した人なので学校も教育委員会も民間調理員についての情報が把握できません。
2)コスト削減の手段として導入する民間委託ですが、逆に経費がアップしてしまい直営に戻すところも出てきています。
@千葉の木更津市ではたった2年で「直営の方が良い、今後は委託しない」との見解を出しました。
A神奈川県の相模湖町では民間企業が衛生基準をクリアできず導入後3ヶ月で委託休止になりました。
B東京都杉並区、千葉県市川市では民間委託の経費が直営を上回ってしまい、住民運動に発展している地域も出てきています。
このように民間企業の参入は学校給食の基本である「教育の一環」から著しくかけ離れるだけではなく、保護者や市民の「安心で安全でおいしい給食を」という期待をも裏切るものです。
4.私たちの基本方針
(1)学校給食の民間委託はもとより、「試行」についても反対です。
(2)「教育の一環」として自治体が責任を持ち、安全でおいしい豊かな学校給食をより充実させていきます。
5.基本的な取り組み
(1)全職員が闘えるように、情勢や要求についての学習・討議を通して、委託の問題点を明らかにします。
(2)試行も含めた民間委託を跳ね返す世論づくりをめざします。
(3)大きな共闘の輪を広げるため、従来の枠を越えた多くの住民団体、労組などと共同して取り組みます。
6.取り組みの具体的内容
直営堅持の必要性を共通の認識とした世論形成の確立を第一に置いた取り組みを追求します。
(1)対外的な取り組み
1)対市民向けの駅頭における駅頭宣伝署名行動を行います。
2)各地域への配布ビラ行動を行います。
3)各地域・PTAに向けた懇談会などを行います。
4)民間労組・市民団体への懇談・要請行動を行います。
また直営堅持を求める共闘組織の確立をめざします。
5)学校給食の問題を取り上げたシンポジウムの開催や地域のイベント参加に取り組みます。
(2)市従全体の取り組み
1)リバイバルプランで委託化・民営化が提起されている職場との共同の取り組みを行います。
2)市従内への理解と協力を求めるために各支部・各分会へのオルグ活動を行います。
3)市従機関紙等を活用し、闘いの現状や取り組みについて宣伝します。
4)各支部・分会に「学校給食直営堅持維持」要請の団体署名への協力を要請します。
5)教育委員会や市当局に対しての陳情行動などを全組合員の参加をめざして行います。
(3)学校給食支部の取り組み
1)全組合員対象の学習討論集会や決起集会を開催します。
2)各分会で直営堅持の必要性・民間委託の問題点についての活発な討議を行い意思統一をはかります。
3)市従学校給食支部が安全でおいしい給食づくりに一貫して取り組んだことを学び、地域の保護者や学校教職員との対話を積極的に行います。
4)教育委員会への全組合員参加をめざした陳情行動などを行います。
5)夏休みなどの三期休業中問題に対して、地域の要望に応えた「老人給食」や「学童保育」「はまっこふれあいスクール」などへの給食サービスを行えるように各分会で討議します。また、現在少数ではあるが「親子クッキング」を行っている学校を参考に、地域住民との連携を取った活動を積極的に進めていきます。
6)職場単位での食の充実にむけての取り組みを進めます。
@安全な地元の農産物を使用していく。
Aアレルギー食対応の実施を拡充する。
B自校炊飯による米飯給食を増やしていくなど。
7.闘争体制について
本部闘争委員会の体制は次の通りです
委員長 |
相 田 伸 久 (本部書記長) |
副委員長 |
小 林 茂 (本部組織部長) |
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荒 井 恵 子 (学校給食支部支部長) |
事務局長 |
伊 藤 みゆき (本部現業部長) |
事務局次長 |
城 取 未 来 (学校給食支部書記長) |
闘争委員 |
安 部 瑞 枝 (学校給食支部書記次長) |
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杉 崎 さえ子 (学校給食支部副支部長) |
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志 水 絹 枝 (学校給食支部副支部長) |
体制については、必要に応じて闘争委員を補強します。 |
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