一部輸出企業がウォン高で喜ぶ理由
中小の一部輸出企業がウォン高に目を細めています。本来、ウォン高は輸出競争力を弱めるため、輸出企業に打撃を与えるものですが、これらの企業はなぜ喜んでいるのでしょうか。答えは、「為替変動保険」という商品に加入しているからです。為替変動保険は、輸出、輸入、投資での取引額を現在の為替レートで固定し、為替変動によるリスクをなくすための保険です。
熱交換器輸出企業のS&TCは、輸出保険公社の為替変動保険を通じて1ドル当たり1193ウォン(約99円)の保障を受けました。しかし最近ウォンが急騰し、決済時の為替レートが1149ウォン(約95円)だったため、その差益として4億ウォン(約330万円)ほどの支払いを受けました。
同企業の場合、適正なレートによる営業利益も得ていたため、副次的な利益を得たわけになります。自動車用スプリング素材を輸出しているサムウォン鋼材とアルミニウム箔輸出企業のサムア・アルミニウムは、決済時の為替レートが1ドル当たり100ウォン(約83円)ほどウォン高になったため、2億8000万ウォン(約2320万円)程度の利益を得ました。
石油化学輸出企業の東洋P&Fも、64ウォン(約5ウォン)のウォン高で、保険会社から1億9000万ウォン(約1580万円)を受け取りました。為替変動保険は、世界的な金融危機とともに問題になった金融派生商品「KIKO」(為替相場の変動に伴うリスクに備えた一種の保険)とは逆に、輸出企業に為替利益をもたらすことになったわけです。
KIKOとは、いくつかの通貨オプションを組み合わせた商品です。これに対して為替変動保険は、そのほとんどが先物為替方式を利用するため、KIKOとは方式が異なります。リスクも低い方です。しかし、為替リスクの管理は常に用心しなければなりません。
誤った為替リスクの管理は為替投機と同じだからです。もしこれらの企業が期待とは異なりウォン安になっていたら、利益を輸出保険公社に収めなければなりません。そうなると、むしろ損することになります。為替や株価は変化が大きいため、いつどこでどうなるかが分かりません。多くの中小企業がKIKOで被害を受けたのも同じ原理です。為替変動保険が逆に輸出企業に被害を与えないよう、願うばかりです。
ユ・ユンジョン記者
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