150年超の歴史！3D映像はマニアの骨董趣味か？

2010年は3D映像元年なんていわれているけれど、3D映像の歴史は意外に古く、実は19世紀の昔からあったといったら、ちょっと驚きでは？

視点のずれた2つの画像を用意し、両目の焦点をずらすことで立体的に見ることのできる画像を「ステレオグラム」という。この原理は、英国のホイートストーンという人が1830年代に発表した論文ですでに解説されているのだが、この時代は、ちょうど写真術が発明された時代と重なる。写真の普及と同時に、写真でステレオグラムを実現した立体写真（ステレオ写真）も作られるようになり、やがては立体写真を撮影するための専用カメラ（ステレオカメラ）も登場した。

立体写真は、レンズが2つあるカメラで、両目の間隔と同じくらいに視点のずれた写真を同時に2枚撮影すれば完成。裸眼で立体的に見るには訓練が必要だが、うまくできない人のためにビューアも作られた。被写体として好まれたのは、名所旧跡や山岳風景、建造物といった誰でも楽しめる観光写真的なものから、着衣が少なめの女性像といった大人の殿方向けのものまで、立体的に見えてうれしいものならなんでもあり。現在、古い写真やクラシックカメラの愛好家の中には、特に立体写真や立体専用カメラを専門とする粋人もいて、なかなか奥深い世界。最新技術のようにいわれている3D映像も、実はつい最近まで一種の骨董趣味だったのである。

ところが昨年、富士フィルムから立体写真が撮影できる世界初のデジタルカメラが発売されて話題を集めた。一般的なコンパクトデジタルカメラより大きめサイズのボディにレンズを2つ搭載。これらがとらえた2つの画像を本体内部の画像処理エンジンが合成し、液晶画面には立体画像が表示される。誰でも裸眼で簡単に立体視ができるのが魅力だ。動画撮影にも対応しており、もちろんこちらも3D。同社は3Dプリントサービスの提供もはじめ、こちらも裸眼で立体視できる。

似たようなデジタルカメラばかりが並ぶ中、なかなかユニークな存在だが、価格.comの売れ筋ランキングでは100位以下と苦戦中のようだ。やはり、立体写真はマニアの世界にとどまるのだろうか？

（『シゴトの計画』編集部）

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