中国車200台北朝鮮へ、中堅幹部懐柔用か

 北朝鮮で最大の祝日と位置付けられる故・金日成(キム・イルソン)主席の誕生日(4月15日、太陽節)を目前に控えた13日、金正日(キム・ジョンイル)総書記が幹部懐柔用として準備したとみられる中国製乗用車約100台が、中朝国境の遼寧省丹東市から北朝鮮に輸出されたことが確認された。

 消息筋によると、13日午前9時ごろ、丹東市の中朝国境に架かる中朝友誼(ゆうぎ)橋を通じ、同じ種類の乗用車約30台が北朝鮮側の新義州市に入るのが目撃された。車種は中国で昨年26万台が売れた比亜迪汽車(BYD)の人気車種「F3」だった。同日の午前、午後だけで100台以上が北朝鮮に入ったという。車を運転して北朝鮮に持ち込んだ運転手は、再び丹東に戻り、別の車を運転して北朝鮮に向かったという。

 北朝鮮は先週から数回にわたり、中国製「F3」約100台のほか、高級外車、小型四輪駆動車、大型乗用車など計200台以上を中国から持ち込んだという。総額は500万ドル(約4億6600万円)以上と推定される。

 北朝鮮はこれまで、金正日総書記の誕生日(2月16日)や金日成主席の誕生日に幹部に最新の外国車をプレゼントし、権力構造を固めてきた。しかし、今回持ち込まれた新車は中堅幹部用とされる。北朝鮮消息筋は「今回持ち込まれた車は、北朝鮮の検察、保衛部の中堅幹部に贈られるもので、車は贈られる人物、地域が指定されている」と説明した。

 北朝鮮専門家は、金正日総書記が昨年12月の貨幣改革失敗で最も被害を受けた中堅幹部の士気を高めるため、車を輸入したと分析している。北朝鮮関係筋は「士気が落ちた中堅幹部を放置すれば、三代世襲に向けたキム・ジョンウン氏(金正日総書記の三男)の推挙が危機に直面する可能性がある。不満勢力を懐柔するのが目的だ」と指摘した。

 拉致被害者や脱北者の人権問題に取り組む「被拉脱北者人権連帯」の都希侖(ト・ヒユン)代表も、「春の食糧不足期を迎え、餓死者が続出するとの見通しが示される中、北朝鮮の権力層に対するプレゼント攻勢などで住民の不満は最高潮に達している」と話した。

朴国熙(パク・グクヒ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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