【コラム】独島ではなく「東海」のアピールを(上)

 大手医薬品・食品メーカー「柳韓洋行」創業者の柳一韓(ユ・イルハン)元会長(故人)は1920年代、米国で「もやしビジネス」を展開し、大金を手にした。米国の大学を卒業した柳氏は、安くて栄養価が高いもやしをビジネスにしようと期待を懸けたが、米国人にとっては非常になじみが薄い食材だった。そうしたとき、事業をあきらめかけていた柳会長を救ったのは、ニューヨークで起きた交通事故だった。

 朝の出勤時、もやしを積んだ柳氏の配達トラックは、道路沿いの商店にぶつかり横転、もやしが道にぶちまけられた。もやしのせいでニューヨークの交通はマヒし、ラジオや新聞は速報した。柳氏は「もうおしまいだ」と途方に暮れたが、想定外の事態が彼を待っていた。米国のメディア各社は連日、もやしに関心を示し、「米国人は肉をたくさん食べるから、栄養豊富で体にいいもやしもたくさん食べなければ」という野菜専門家の意見も伝えられた。それ以降、柳氏の会社には「もやしを食べてみたい」と注文の電話が殺到して、事業は大成功。「もやしで関心を集めようと、わざと事故を起こした」といううわさまで流れた。これを専門用語では、騒動を起こし関心を集めるマーケティングという意味から「ノイズマーケティング」という。

 柳氏が「もやし事故」を起こした、そのニューヨークのタイムズ・スクエアに「独島(日本名:竹島)は韓国領土」という広告が登場し、人々の注目を集めている。歌手キム・ジャンフンさんが私費を投じて出した広告だ。また、米国ロサンゼルスで韓国式サウナ店を経営している韓国系住民はこのほど、高速道路60号線沿いに「独島は韓国領土」という立て看板を立てた。誇らしいことだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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