望 〜都の空から
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【今日の読み物(スコープなど)】<スコープ>首相、具体論なく 普天間会談わずか10分2010年4月14日 紙面から 鳩山由紀夫首相は十二日夜(日本時間十三日午前)、オバマ米大統領に対し、米軍普天間飛行場の移設問題を五月末までに決着させる考えをじかに伝えた。「五月末決着」へ自ら退路を断った形だが、会談はわずか十分間で、突っ込んだ意見交換はできずじまい。待ち受けていたのは、米側の冷めた反応だった。(ワシントンで、竹内洋一) オバマ米大統領はワシントンで開かれた核安全保障サミットの夕食会の冒頭、「十分間みんな食事をしていてくれ」と各国首脳に呼び掛け、首相との非公式会談の時間をつくった。大統領にとっては、首脳会談を求めていた首相への最大限の配慮だった。 日本政府は、普天間の代替施設として米軍キャンプ・シュワブ(沖縄県名護市)陸上部を軸にしながら、在沖縄米軍の訓練を鹿児島県の徳之島など県外に移転する方向で検討している。 こうした案は、まだ詳細な計画の形になっておらず、米国には日本側と実務者協議に入るのは時期尚早だと映っている。だからこそ公式な日米首脳会談には応じず、夕食会冒頭の十分間という異例な会談になった。 実際、首相は大統領との会談で「具体的地名は私から一切、出さなかった」と同行記者団に説明。大統領に対し「沖縄の負担を軽減することが日米同盟を持続的に発展させていくためにも必要だ」といった一般論を繰り返した。 大統領としては、練り上げた具体案もなしに「五月末決着」だけを力説されても、簡単にうなずくわけにはいかない。首相は同行記者団から大統領の反応を問われると「私の方から申し上げるべきではない。大統領は大統領の立場で関心を持ってみていただけると思っている」と言葉を濁し、前向きな回答を得られなかったことをうかがわせた。 米側は既に、首相発言の信頼度を怪しんでいるのは否定できない。昨年十一月に東京で大統領と会談した際に「トラスト・ミー(信頼して)」と発言。普天間を米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行計画を最終的に認める方針だと、米側に期待させた経緯があるからだ。 この日の会談後、首相は「じっくりと二人だけで話ができた」と述べたが、実りある協議ではなかったことを一番実感したのは首相自身だろう。国内外で発した「五月末決着」の言葉だけが重い公約になり、進展のないまま時間が過ぎていく状況になりつつある。
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