ワシントンでの核安全保障サミット出席の機会を利用し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題でオバマ米大統領に協力を求めた鳩山由紀夫首相。しかし、色よい返事はもらえず、大統領の決断で事態を打開させようとの期待ははずれた。「ますます出口が見えなくなった」(政府筋)。首相が約束した5月末までに決着できず、責任を問われる流れが強まった。
14日の衆院外務委員会。岡田克也外相は、ワシントンでの両首脳の話し合いの評価を問われると「どこがいいとか悪いとか、首脳間で議論する段階ではない」と述べ、さしたる進展がなかったことを認めた。その上で、岡田氏は、ルース駐日米大使と調整を進めていることを説明した。
そもそも、中国の胡錦濤国家主席ら十数カ国の首脳が大統領と会談する中、首相が会えたのはサミット参加国による夕食会での10分間。大統領が正式な会談に応じなかったこと自体、キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)を移設先とする現行計画の履行を求める米側の鳩山政権に対する厳しい空気を反映したもので、結果は予想できたと言える。
実際、日本側は、鹿児島県徳之島へのヘリ部隊の一部移転と、シュワブ陸上部にヘリ離着陸帯をつくる案の組み合わせを検討しているが、米側は海兵隊の機能分散への懸念と、受け入れ自治体の同意を得る見通しがないことを理由に実務者協議入りに難色を示している。条件を満たす案がなければ、現行計画以外の選択肢は、普天間の継続使用だけだ。
こうした状況を踏まえ、政府筋は「普天間を継続使用しつつ、基地負担の軽減や地元振興策を実現させる方が現実的だ」と指摘した。鹿児島県西之表市の馬毛島に訓練の一部移転する案が検討されているのも、負担軽減の一環と言える。
しかし、首相は国会で継続使用を否定。新たな移設先の地元と米側の双方から「了解」を取り付け、5月中に決着させると公言した経緯がある。自民党の石破茂政調会長は14日、都内での講演で「普通であれば『辞めろ』というのが当たり前」と、先送りの場合は退陣するよう迫った。(2010/04/15-01:12)