2009-11-26 07:17:28

ひと段落

テーマ:日常

ようやく、『サッカー批評』のヴェルディルポを脱稿。

経営陣三者をはじめ、牛木素吉郎相談役にも話をうかがった。

この度、ヴェルディで起こったことを書き残しておきたかったのだ。

あらためて、危うい橋をどうにか渡ったのだなァと思う。


株式譲渡の時点から、やりたかったことの8割方はできた。

残りは現場サイドとスタッフの視点。

これがどうも定まらない。

大前提として、今回のような身売りに際し、プロ契約の立場はいったん白紙である。

そうではない立場の人も、新経営陣のやり方に合わせるか、クラブを離れるかの二択だ。

とはいえ、そう簡単に割り切れようものか。

誰しも、俺のヴェルディであり、意見を言う自由はある。


とりあえず、新しい風を歓迎するなら、その判断も尊重する。

そうでなければ、筋が通らない。

いまのところの僕のスタンスだ。


先週末は、この時期恒例の福岡に里帰り。

親しく付き合っていた友人の命日で、懐かしい顔と会える。

行き帰りの移動は、ずっとPSPの『サカつく6』。

まだ始めたばかりで、とても苦労している。


この前、いしかわごうくんにいろいろと教わる機会があったのだが、あまり活かせていない。

彼のPSPをいじりながら、

「このクラブハウス施設、撤去していいかな」

「やめてください」

「君のチームには長友がいるんだ。解雇ね」

「彼は大変いい選手です」

とかなんとか、ふざけるばかり。


ひょんなことから攻略本の製作にも一枚噛むことになり、大変ラッキー。

ギャラそのものより、いち早く見本をもらえるのがうれしい。





2009-11-09 21:22:49

ツールド湘南(後)

テーマ:日常

ツールド湘南、無事完走した。

誰ひとり欠くことなく、それぞれ目標の距離を走り抜いた。


行きは順調そのもので、立川を4名で出発し、多摩市の関戸橋で1名合流、町田市で2名が加わり全員集結。

みんな出で立ちが本格的で、僕とモリータはジーパンだったが、サイクリング専用のかっこよろしいタイツをはいていた。

そこから境川サイクリングロードをひたすら走り、湘南方面を目指す。

朝日に照らされ、きらっきら光る川面を眺めながら走るのは実に爽快な気分だった。


Tさんの入念な下調べによって、10時半には平塚付近に到着。

すると、モリータが疲労のせいで青っ白い顔をしている。

「おい、なんだその顔色は」

「それはおまえ白すぎるぞ」

「この指、何本に見える?」

「チョコ食え、チョコ」

と、世話を焼かれていた。


で、試合が終わって、問題は帰り道。

サイクリングロードはほとんど真っ暗である。

先頭付近を走るヤンキー先生が後方に声を掛けながら、闇夜を疾走する。

「左、人がいますッ」

「了解」

「右、チャリ来ましたッ」

「あいよ、右に自転車あり」

こうして走っていると、なんだか元気が出るから不思議だった。


そして、ようやく町田市にたどり着き、そこから多摩市へと向かう途中、鬼のような坂道が続く。

これが、えぐかった。

僕はもうへろへろの状態である。

Mr全力が僕の後ろを走ってくれている。

がんばれ、とは言わない。

こっちがひいこら懸命に漕いでいるのを知るがゆえの、無言のエールである。

最後は関戸橋を渡ったところで、恒例のヴェルディ締めをやって散会。

めでたし、めでたし。


家の近所に着いたときは、心底ほっとした。

ほとんど力が残っておらず、コンビニの冷蔵庫のドアを開けるのに難儀するほどだった。


湘南戦、ロスタイムに追いつかれたのは残念だったが、いいゲームを見せてもらった。

残すところ、あと3試合だ。






2009-11-07 20:56:02

ツールド湘南(前)

テーマ:日常

天気予報を気にしている。

そうか、明日、晴れるのか。


12:30キックオフの湘南戦、立川から自転車で向かう。

題して、ツールド湘南。

片道70キロ、往復140キロもある。


集合は早朝5時15分。

正気の沙汰ではない。

早すぎるよと言いたかったが、僕の発言権はないに等しい。

ほんの軽い気持ちで、湘南まで行こうと言い出しただけで、実務作業はゼロだからだ。

計画の立案に参加したところで、みんなに余計な手間をかける。

おとなしくしておくに限る。


久しぶりに冒険らしきことをしてみたかった。

メンバーは7名。

道中、脱落者は自力でどうにかし、ひとりでも多く湘南に届けることを目的とする。

人生で出合う機会のなかった、サバイバル定番のセリフ「俺のことはいいから、先に行ってくれッ」。

ついにこれが言える、あるいは聞けるかもしれない。

泣いちゃったり、するのかなァ。


今週はよく働いた。

『週刊サッカーダイジェスト』から依頼のあった森本貴幸の取材で、京都や長野に足を延ばした。

原稿をどうにか仕上げて、気分よく臨める。

さァ、走るぞ。






2009-11-01 19:30:12

男と女 その十

テーマ:男と女

女は寒さに震えて目を覚ました。

なぜ、こんなに身体が冷えてるのか。


ふと横に目をやると、男が掛け布団を独占していた。

何をどうやったのか、きれいにぐるぐる巻きだ。

男が好んで食べるフランクロールによく似ていた。

ちっともおいしそうには見えないが。


思い出した。

大昔、カフカの『変身』を読んだ男から、「もし俺が虫になっても一緒にいられるか」と、しつこく訊かれ辟易したことがあった。

そのとき、どう答えたかは憶えていない。

いまなら「踏み潰してやるわ」と答えるだろう。


女は、レトルトのおかゆを温め、簡単な朝食を摂った。

しばらくすると、寝室からのそのそ起き出す音が聞こえてきた。

さて、どうしてくれようか。

女は正座し、待ち構えた。


「あなたが、憎い」

「すまんかった」

「許さない」

「俺が悪かった」

「勝手な人。無意識の所業、それが本心。わたしのことをどうでもいいと思っている」


男は黙った。

窮地を乗り切る策を案じているようだ。


「フッキの代表入り、おめでとうッ」

「関係ない。昔の男よ」


男はまた黙り込み、洗面所に向かった。

ソファーに戻ってくると、ゆったりした動作で煙草に火をつける。


「聞いてくれ。美しい目のためには、他人の美点を探すこと。そう言った人がおる」

「誰?」

「オードリー・ヘップバーン」

「それで」

「いったんゼロにしよう。そして、互いのいいところを見よう」


女は考えた。

そして、ひとつも浮かばないことに愕然とした。


「それでよかろうもん。ヴェルディのことも、しばらくは。以前はやることなすこと疑わしかった。なにせ遮るものが多すぎた。いまは違うぞ。少なくとも、臭いものには蓋という対応ではない。この際、いいところを探して、育てよう」


男はいつの間にか、話をすり替えようとしていた。

見え見えの手であったが、信じられないことに女はこの餌にバクッと喰いついた。


「いつか……いいことあるの?」

「あるに決まっとるやんけ」


男は寝巻きを脱ぎ、素早く着替えている。


「朝霞のお義父さんとお義母さんに、来年のシーチケ買ってもらおうかな」

「いいやん。話してみ」


カバンの中身を点検した男は、玄関に向かった。


「でも、来年は上がるの無理だよね」

「ちょっとね。それはさておき、同志よ、変革の後押しをするんだ」


ささっとドアを開け、家を出る。

そこで、腹が減っているのに気づいた。

行きがけ、パン屋に寄っていくことにした。






ライター海江田の 『 シラフでは書けません。 』