2010年2月17日 9時19分 更新:2月17日 20時1分
【ニューヨーク小倉孝保】不発弾が市民に被害をもたらすクラスター爆弾の使用や保有、製造を全面的に禁止するクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)の批准国が16日、30カ国に達し、同条約は今年8月1日に発効することが決まった。市民主導の軍縮条約が発効するのは対人地雷禁止条約(オタワ条約)の99年3月から11年ぶりとなる。日本を含めた条約加盟国は2018年までの廃棄を義務付けられる。
ブルキナファソ、モルドバがニューヨークの国連本部に16日午後(日本時間17日未明)までに批准書を寄託し、批准国が条約の規定で発効に必要な30となった。日本が09年7月に批准したほか、独、仏、ノルウェー、オーストリアなどが批准していた。米露中など大国は非加盟。
国連の潘基文(バンギムン)事務総長は「クラスター爆弾によって子供を含む多くの市民の命が奪われてきた。国連は爆弾の使用、貯蔵を終わらせるよう職務を遂行する」との声明を発表した。
発効後は、使用、製造、輸出入(移動)が即時禁止され、8年以内の備蓄の廃棄や、10年以内の不発弾除去が義務付けられる。また、不発弾除去への支援や、被害者への援助も求められる。
クラスター爆弾は、ベトナム戦争やイラク、アフガニスタン戦争などで使われ、不発弾として残る率が高く、市民を殺傷してきた。米露中などの軍事大国が禁止条約に難色を示す中、06年の第2次レバノン戦争でイスラエルが大量のクラスター爆弾を使用したことを機に国際的非難が高まり、ノルウェーなど有志国と非政府組織(NGO)主導の軍縮運動「オスロ・プロセス」が07年2月に禁止条約の協議を始めた。08年5月に条約案で合意、12月にオスロで署名式が行われた。現在104カ国が署名している。運動開始から3年半で発効にこぎ着けることになった。
日本もクラスター爆弾を保有しているが、条約で例外的に認められている最新型のクラスター爆弾も含めて全廃の方針を打ち出し、廃棄への準備を進めている。不発弾除去の支援にも取り組んでいる。
クラスター爆弾禁止条約を批准した国は次の通り。
アルバニア▽オーストリア▽ベルギー▽ブルンジ▽ブルキナファソ▽クロアチア▽デンマーク▽フランス▽ドイツ▽バチカン▽アイルランド▽日本▽ラオス▽ルクセンブルク▽マラウイ▽マルタ▽メキシコ▽モンテネグロ▽モルドバ▽ニュージーランド▽ニカラグア▽ニジェール▽ノルウェー▽サンマリノ▽シエラレオネ▽スロベニア▽スペイン▽マケドニア▽ウルグアイ▽ザンビア【ニューヨーク支局】