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弁当体験 |
4月12日(月)
仮にそれがいいものであるにせよ、なぜか今まで利用していなかったものは多い。その一つが“ほっともっと”である。
「なんで?あんなにおいしいのに!」
ぐっさんこと山口智充の出ているCMを彼女と見ていてそう驚かれたのだが、なにしろ必要性を感じることがなかったのだ。
実家にいるときは母が食事を作ってくれた。一人暮らしになると外食か自炊。近くにあればまた話は別だったろうが、家にいてすぐになにか食べたい、というときには歩いて1分の距離にコンビニがあった。生活に“ほっともっと”の入り込む余地はなかったのである。
とはいえ今まで生活圏内になかったというわけではない。子どもの頃、足立区に住んでいたとき近くにあったのだ。今は“ほっともっと”に分裂したのでそのままかわからないが当時は“ほっかほっか亭”という名前だった。
そこに出入りしていたのは工事現場の人か、そうでなければどこか下品な風体のオッチャンという記憶ばかり。そのせいか“ブルーカラーの食い物”というイメージが定着してしまった。そういった背景もあり、オレとは無縁と今日までスルーしていたのだろう。
「谷さん、それって足立区特有の事情よ。別にドカタだけが食べてるわけじゃないんだから!」
そうなのかなあ。てか、オレ、ドカタって言ってないし。
「ねえ、今ならキャンペーンで安いから、今夜のご飯はそこで買ってかない?」
いいよ。実はCMを見てちょっと気になっていたところだったのだ。
店は高円寺駅北口から歩いて一分もしないところにあった。場所だけは前から知っている。だが、入るのはこれが初めてだ。
驚いたのはその人気だ。中にはズラリと列ができているではないか。注文している人が渡された番号が86番。「81番でお待ちのお客様、お待たせしました〜!」と店員が言っているから、少なくともあと5人は待っていることになる。
「なんにする?」と彼女。
唐揚げ弁当が390円のところ、90円引きの300円。なんとも安い。しかしボクのお目当ては290円ののり弁当だ。
「谷さん、そっちの方が確かに安いけど、値引きはないのよ?唐揚げ弁当にしたら?」
いや、でも…。『うわっ、魚がプリップリ!』というぐっさんのセリフが頭から離れないのだ。あの白身魚のフライが食べたい。
番号は90番。待っている間、店内を見回す。キレイな内装だなあ。当たり前のことだがガラスの自動ドア。入口そばには待つための腰掛けもあるし、弁当の割引がつく、ケータイをかざす機械まで置いてある。夕方ということもあるが、客だってドカタ風ではない。
はあ…。知らなかったものだ。時の流れによるものか、足立区のイメージがよっぽど悪かったのか。今にして思えば、弁当といえば“ほっかほっか亭”という頭だったため、あのとき見たのは別の店だったのかもしれない。
急いで帰り、お茶をいれるのももどかしくすぐに食べる。あっ、これはうまいではないか!揚げたてなのか、フライがザクッと歯触りがいい。
「でしょ?ご飯もね、のりの間にあるおかかがおいしいの〜!」
唐揚げ弁当を頼んだ彼女にフライを一口あげ、代わりに唐揚げを一つもらう。
うわっ、これもスパイシーでうまい!
う〜ん、これはみくびっていた。積極的に一つの食事として成立しているではないか。
今年で30歳になるが、初めて知った。“ほっともっと”はうまい。なぜもっと早くこれに気づかなかったのか。
「よかったわね〜!じゃあ、夕飯は今度からここでいい?安いし」
いや、それはちょっと…。
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