2010年 2月 26日(金)

思ったより……女子シングル 

というわけで、オリンピック女子シングルが終わりました。

正直、よく浅田選手は銀を取れたと思いました。
ロシェット選手が終わった段階で、ホームアドバンテージを別としても、このオリンピックのフィギュアは難しい技よりも、プログラム全体の完成度を評価するジャッジングだと思ったからです。
浅田選手とロシェット選手を比べると、全体の印象としてまとまっていたのはロシェット選手という気がしました。
浅田選手はトゥループのミスを別にしても、最初に固めるしかなかったトリプルアクセルがどうしてもプログラムの中で浮いてしまう傾向にあり、まとまりとかバランスと考えるとロシェット選手の方をジャッジは評価すると思ったからです。
しかし、結果として、ジャッジは浅田選手に軍配を上げました。
これは女子シングル史上初の2回のトリプルアクセルとスピン、ステップ、スパイラルの精度を評価したものでしょう。
自分の力を完全に出し切れなかった浅田選手は涙を零していましたが、圧倒的に不利な状況の中で、ジャッジが認めざるを得ないだけのエレメンツを叩きつけた彼女のアスリートとしての力は素晴らしいものでした。
胸を張っていい銀だと思います。
そして、こうした思いをし、涙を零す度に彼女は美しく強くなっていきます。
かの伊藤みどりがそうだったように、彼女もまた伝説のスケーターとなり、殿堂入りすることになるでしょう。
よく戦い抜いたと思います。
ジャッジをねじ伏せたその力に賞賛を送ります。

キム選手はとんでもなく強かったと思います。
確かに、ジャンプはかなりの部分で回転不足であり、スピンのトラベリングやポジションの不正確、スパイラルのぐらつき等は気になり、見逃されているとは思いましたが、それを差し引いても、あれだけの状況の中で、プログラムをまとめ上げる力は凄いものがあります。
残念ながら、彼女の金メダルは韓国以外では価値はなく、いろいろな問題によって、アイスショーで成功する等の未来はないと思いますが(しかし、彼女自身スケートは好きではないと公言しているので、アイスショーには行かないかもしれませんね)、確かにこのオリンピックで彼女は勝ったのです。
それが事実です。
得点差は別として、はっきりと見えるミスをせずにまとめ上げたキム選手が勝ち、難プログラムに果敢に挑み、少しだけ力負けしてしまった浅田選手が敗れた。
それが結果です。

安藤選手はどっちつかずになってしまったのが敗因ではないかと思います。
SPでのセカンドループの回転不足を恐れて、安全策をとったようですが、それが全体に消極的な滑りになってしまった原因のように思われます。
勢い、パワーは明らかにSPの方がありました。もったいなかったです。
ジャンプで安全策をとるなら、他の部分でのアピールをオーバーなほどにする(皆様が顔芸と仰るアレですね(笑))。
アピールがどうしてもできないなら、ジャンプを飛ぶ。
前者を選んだのがキム選手であり、後者が浅田選手ですね。
安藤選手はどちらもとろうとして、両方失ってしまった感じです。

鈴木選手は生き生きとした素晴らしい滑りでした。
11位からよく8位まで駆け上がってきました。
今日の日本人選手の中で、いちばん生き生きしていたのがあっこさんでしたね。

さて、いろいろと不可解なことも多かった今回のフィギュア競技。
特に男子とアイスダンス。ホームアドバンテージがあまりにも露骨で、これは女子にも来るなと思っていました。
それだけに、女子のカナダ選手のジャッジングには少し驚きました。
もしかしたら、キム選手を上げる分だけ、ロシェット選手が割を食ってしまったのかもしれません。
いや……浅田選手の力が勝りすぎて、馬鹿なジャッジングができなかったと……そう考えましょう。
とにかく、合計三回のトリプルアクセルは、男子でも失敗する選手がたくさんいました。
あれだけの精度で飛べる浅田選手の力は素晴らしいものがあります。
これからがまだまだ楽しみです。
まず、次は世選ですね。

世選ですが、キム選手は出てくるんでしょうか。
オリンピックで金メダルを取った選手はたいてい出てこないものなので。
浅田選手は出ると思いますが。

エキシビション、笑顔の真央ちゃんが見たいです。
今回はプルと同じ色のメダルですね。
次のソチで、プルが持っているもう一つのメダルと同じ色がきっと手に入ります。

ホームアドバンテージもまったくない中で、よく日本フィギュア陣は闘いました。
シングルで、フルで枠を持っていて、出場選手全員が入賞なんて国、他にありますか?
(アメリカは女子の枠がふたつしかない)
トリノの四人出場、三人入賞メダル一個に対して、六人出場、全員入賞メダル二個は本当に立派でした。
わくわくどきどきのオリンピックをありがとう。
あとはエキシを楽しみにしましょう。




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