東京都文京区の椿山荘で8日から行われた第68期名人戦七番勝負の第1局(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛、藤田観光協力)は9日午後8時57分、102手で羽生善治名人(39)が挑戦者の三浦弘行八段(36)を降した。残り時間は三浦1分、羽生4分。第2局は20、21日、岩手県遠野市のあえりあ遠野で行われる。
羽生が三浦の攻めに苦しみながらも、終盤戦で持ち前の勝負強さを発揮して逆転。3連覇に向けて好スタートを切った。
三浦は馬を好位置に作り、と金も作って攻めた。羽生は6七角成(50手目)と大技をかけて反撃。三浦は2枚の角、羽生は2枚の飛車を生かし、互いの玉に迫った。三浦優勢の流れとなったが、決め手が見つからない。
羽生はそのすきをつき、8三飛成(92手目)と妙手を放って、先手玉を寄せきった。終了図からは6五金打、同角、同銀、8五金、8七玉、8六香以下、先手玉は詰む。【山村英樹】
▽羽生名人の話 気がついたら悪くなっていて、負けだと思って指し続けていました。でも、8三飛成(92手目)を見つけて、もしかしたら面白くなったかと思いました。
▽三浦八段の話 終盤は勝ちと思いましたが、いろいろ誤算があって、決め手を見つけられませんでした。もう少し中終盤の精度を上げて、第2局に臨みたいと思います。
毎日新聞 2010年4月9日 20時58分(最終更新 4月9日 22時10分)