個人がクレジットカードの利用や支払い状況など自分の信用情報の開示を求める動きが強まっている。信用情報機関のシー・アイ・シー(CIC、東京・新宿)が2009年度に個人本人に開示した信用情報の件数は前年度比6%増の10万9千件で過去最多となった。改正貸金業法の完全施行を6月に控え、貸金業者が融資などの審査を厳しくしていることを反映しているとみられる。
信用情報は通常、貸金業者がクレジットカードを発行したり、キャッシングの利用枠を設定したりする際などに照会するデータで、他社のカードでの利用や支払い実績などを確認できる。
CICによると、03年の個人情報保護法施行をきっかけに個人による信用情報の開示請求件数が増えており、09年度は11万件に迫る水準まで膨らんだ。住宅ローンを契約する際に、あらかじめ自分の信用情報を確認しておくなどの利用者も多いが、今年6月に迫る改正貸金業法の完全施行による規制強化も影響しているようだ。
個人向けローンの規制を大幅に厳しくする同法では、貸付総額を利用者の年収の3分の1以下に抑える総量規制が導入される。また貸付上限金利もこれまでの29.2%から20%に下がる。このため、カード会社を含めた貸金業者は返済能力の低い個人への融資の絞り込みや、カード発行の抑制に動いている。
こうした要因からキャッシングの利用枠を縮小されたり、カードの入会審査を通らなかったりした個人が、自らの信用情報を確認していることが開示請求を増やしているとの指摘がある。
総量規制が導入されると貸金業者は信用情報機関に登録された利用者の借り入れ状況だけでなく年収を正確に把握する必要がある。このため、急ピッチで源泉徴収票など年収証明の提出を利用者に要請しているが、思うように集まっていないのが実態。完全施行後にキャッシング機能を使えなくなる利用者が増える可能性もある。
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