審判が見る「お手本DVD」
キム・ヨナ高得点の謎
(AERA 2010年4月12日号掲載) 2010年4月8日(木)配信
「低難度でも勝てる」
この方式になったことで、技術と表現力の双方が求められるようになった。逆に言えば、高い難度の演技に挑戦して失敗するより、難度は低くても出来栄えがいい演技をすれば勝てるという道も開けた。
男子フィギュアで、4回転にこだわったプルシェンコは、
「高難度の演技に挑戦しなければ、フィギュア界の発展はない」
と、主張し続けてきた。しかし、五輪では4回転ジャンプは成功させたが、技術の出来栄えや演技構成が高い評価を受けられず、勝者になれなかった。
日本スケート連盟は、6月に開かれる国際スケート連盟の総会で、男子と同じようにトリプルアクセルも認めさせるよう提案するという。だが、女子選手でトリプルアクセルを跳べるのは浅田のみ。仮にルールが改正されれば浅田にだけ有利になるから、各国の反発が予想される。
だが、その連盟の対応を冷ややかにみる関係者も多い。
「いま改正を求めたら日本の独りよがりだと思われる。ルールそのものを変えるよりも、ルールに合わせた対策を優先させるべきです」
4年前、キム・ヨナ側は徹底したルール対策を行っていた。審判員の資格も持つ、スケートライターの野口美惠さんは話す。
「自分ができる精いっぱいの技術で、どうGOEを取れるのかに4年間をかけて取り組んできた。現行のルールから逆算して、高得点を取れるプログラムを組み立ててきたのが、彼女の強み」
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