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【在日 外国人参政権を考える】(6)自治体に外国人会議

「住民」として意見反映 着々と

 戦後最大の災害となった阪神大震災は在日コリアン社会に暗い影を落とした。

 在日3世の朴一(パクイル)大阪市大大学院教授(53)が、永住外国人への地方参政権付与に向けて積極的な言論活動を始めたのは、震災で在日の友人が妻と子供を亡くしたことがきっかけだった。

 平成7年1月17日未明。神戸市長田区の外国人密集地に住んでいた友人の妻と生後間もない幼児が激しい揺れの直後、生き埋めになった。5軒隣の家が火事になると、瞬く間に自宅も炎に包まれた。近くまで来ていた消防車は道が狭くて入り込めなかったという。

 朴教授はその後、地元市議らに道幅を拡張する区画整理を何度も陳情した。議員らは「分かった、分かった」と応じながら、だれも動いてくれなかった。

 「結局、私たちが選挙で投票できないから。参政権は命にかかわる問題。私たちの魂の叫びを聞いてくれる地方政治を求めたいだけだ」。朴教授は切実な思いを訴える。

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 参政権について、憲法は「国民固有の権利」と定める。平成7年2月の最高裁判決も「わが国に在留する外国人には及ばない」と判示している。

 ただ、永住外国人は日本人と同じく税金を納め、地域でともに生きる「住民」でもある。道路や水道など公共サービスを受ける対価である納税は参政権付与の理由になり得ないとしても、身近な行政に自らの意見を反映させたいという思いは十分に理解できる。

 地域社会の担い手として永住外国人を処遇する取り組みは進んでいるのか。

 ブラジル人を中心に外国人労働者ら約5千人が住む三重県伊賀市。ごみ出しなどで近隣住民とのトラブルが相次ぎ、市は17年、外国人を委員に加えた外国人住民協議会を設立した。

 市長に昨年提出された要望書には、教育や雇用確保のほか、大災害に備えた通訳の確保や外国人を含む防災訓練まで提言されている。意見を踏まえ、市が多言語で記載されたごみ収集日程表を地域に配った結果、住民同士のトラブルは減少した。

 同じような動きは外国人が多く住む自治体で広がっている。政令市では川崎市が8年、全国で初めて条例に基づく外国人市民代表者会議を設置した。公募で選ばれた代表者は特別職の地方公務員として処遇され、会議の意見に対し市長は尊重義務があるという。

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 こうした自治体の取り組みについて、外国人施策に詳しい谷聖美岡山大教授(60)=政治学=は「人口減少時代に入り、日本も外から多様な人を受け入れなくてはならない。民族同士の衝突を避けるためにも必要だ」と評価する。

 今後、重要になるのは、地方行政で外国人が関与できる範囲をどこで線引きするかという点に尽きる。

 「多民族共生」という美しいフレーズに流され、なし崩しに参政権を認めることになれば、地方行政にどんな影響が生じるのか。将来の“危機”が垣間見えた実例をみる。

 自治体の「外国人市民会議」 外国籍住民に対し、地域の問題を調査・審議する機会を保障する会合。川崎市では外国人市民代表者会議、浜松市では外国人市民共生審議会と名付け、外国人が主体となって会を運営、市に施策を提言している。外国人有識者の意見を聞く会合をもつ自治体は多く、大阪府は在日外国人問題有識者会議、大阪市は外国籍住民施策有識者会議を設置している。

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