県立中央病院(出雲市)が委託した民間検査会社のミスが原因で女性が死亡したとして、遺族が県と検査会社に約3300万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決が12日、松江地裁であった。同地裁は慰謝料として被告側に770万円の支払いを命じた。
判決によると03年4月、県内に住む女性(当時50代)は、同病院で乳がんと診断され、手術を受けた。手術後にホルモン治療の有効性を判断する検査をする際、同病院が検査を委託した検査会社(本社・東京都港区)の社員が書類に誤記入したのが原因で、女性はホルモン治療の有効性がないと判断され、治療は行われなかった。その後、がんが転移し、松江市内の病院で再検査した結果、ミスが判明。08年10月に死亡した。
裁判ではミスとがん再発による死亡との因果関係が争点になり、判決は「(因果関係が)認められるほど高度ではない」としながらも、「再発後の闘病生活において被った苦しみや怒りも相当激しいものであった」などして慰謝料を認めた。【目野創】
毎日新聞 2010年4月13日 地方版